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Chapter9:甘える
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バスルームの中では私もあおくんめたやわらかく微笑みあい、きめ細かい泡に包まれながら優しく体を洗い合った。
彼氏彼女が一緒にお風呂入るだなんて、一見したら物凄くえっちなシチュエーションなんだけど……あおくんも私もそういった変な気分になる雰囲気はなくて、とっても楽しかったし私自身とっても癒される時間になったんだ。
「じゃあ、買い物してくるからね! ちょっとの間だけ待っててねあおくんっ!
」
私はサッと身支度を整え、急いであおくんの下着やお泊まりに必要な携帯歯ブラシやシェーバーを買いに行く為、スニーカーに履き替える。
「ごめんね、はな」
あおくんはわざわざ玄関の近くまで来て見送ろうとしてくれたんだけど
「着せられるものを持ってない私が悪いんだよ! だから気にしないで。お部屋の中で待っててね」
私は「気を遣わないで」とハンドサインを送りながら彼を回り右させて背中をトンッと押してあげる。
「ん……」
今現在、あおくんにはボートネックTシャツにニットカーディガンを羽織り、腰から下はバスタオルを巻く……というなんとも恥ずかしい格好にさせてしまっているから、家主の責任としてパンツを早急に調達しないといけないんだ。
「じゃあ、いってきまーす!」
あおくんがてくてくとリビングへと足を向けるのを確認した私は、すぐに玄関扉を開け閉めして階下のコンビニへ再び向かう。
「1時間ちょっとでまたみどりちゃんに会うのかぁ……」
仕方ないとはいえ、2度もバイトの後輩と顔を合わせなくてはならない。
しかもみどりちゃんから「あおくんを見掛けた」という話を聞いたばかりだっていうのに、今から男性モノの下着やシェーバーを購入するっていう状況が容易に想像出来るおまけ付き。
(チャコ叔母さんなら絶対ツッコミ入れる要素が満載なんだけど、相手はみどりちゃんだからなぁ)
多分、みどりちゃんの性格的にそういう事はしないし、なんたって幼稚園児の頃から恋愛に長けてきたような人だ。
「いらっしゃいませ、こんばんはー」
コンビニの自動扉と共に耳に入ったのは、1時間前は飲み物の補充を黙々とやっていた大学生の澤村くん。
(澤村くんかぁ……あんまり顔合わせないからこれはこれで気まずい)
カゴを取ってコソコソっとレジからの死界になるように日用品コーナーへと私は向かう。
(パンツは……トランクスがいいのかなぁ。この前履いてたのと似た色味にしようかなぁ)
あおくんがこの前お泊まりに来てくれた時に履いていた下着の色や柄を思い出しながら商品を手に取ると
「華ちゃん先輩っ……先輩!」
小声でみどりちゃんが声を掛けてくれた。
「あっ! み、みどりちゃ」
ビックリして、思わず大声が出そうになる。
「カゴ貸して下さい。私が代わりに買ってあげますから」
「ぇっ!!」
するとみどりちゃんは私からカゴを奪うと、下着だけでなくシェーバーや歯ブラシ、小さなヘアワックスなどをポンポンと入れ……
「澤村、華ちゃん先輩ほとんど会わないから知らないでしょ。アイツ拡声器なんです」
そう、コソッと教えてきただけでなく
「えっ? 拡声器?!」
「はい、アイツ絶対今の先輩見たらバイトのみんなに尾ひれつけて変なウワサ流します。
ここは私が買っておくんで、先輩は店の裏側に隠れて!」
早口で命令してきて私を急いで外へ出した。
「うっ」
(みどりちゃん、すっごくイヤな表情してたなぁ……)
澤村くんは先月から短期で入ったバイト。私が抜けているシフトに入ったので、みどりちゃんは澤村くんの色々を知っているんだろう。
私がササッと店を出たのとほぼ同時に
「えぇ~?! みどりさんなんで就業中に買い物するんですかぁ~?」
という、わざとらしい嫌味な声を出す澤村くんと
「ダンナが明日仕事で必要なのっ! ちょうどダンナが近く来てるから渡してくる」
「うわぁ~私情挟みまくりぃ~!!」
「うっさいなぁ! 今お客さん居ないんだからいいじゃんそんくらいっ!」
と、語気強めで言い返すみどりちゃんのやり取りが耳に入る。
(みどりちゃん……わざわざ自分の所為にしてくれてる。本当は私の買い物なのに)
みどりちゃんから言われた通り、店舗の裏側へ回って身を潜める。
(澤村くんはみどりちゃんを怖がってるとか何とか言ってたけど、あのイヤミな感じからして実情は少し違うのかも)
確かにお客様対応中にコンビニ従業員が就業中に買い物するのは良くない……けど、臨機応変にすればチャコ叔母さんだってうるさく言わない。澤村くんにグチグチ言われるほどでもないんだ。
(澤村くんってあおくんと同じ四年生で、真面目そうな大学生だなって印象持っていたけど、ネチネチした性格なのかなぁ……だったらイヤだなぁ)
規則違反でもなんでもない事であんな言い方をするんだから、私が男性のお泊まりセットを買おうものならそれこそイヤ~な感じで囃し立てるに違いない。
(それに比べて、みどりちゃんは……)
状況を把握しているとはいえ、みどりちゃんの対応は素早く私が明日以降のバイトで気まずい思いをしないで済むようにしてくれた。
「はい、買い物分です。必要最低限のものを買っておきましたよ」
「ありがとうみどりちゃん」
私はみどりちゃんに「おつりは受け取って」と付け加えながらお金を渡し、みどりちゃんの手から買い物袋を受け取ると
「先輩、今日はしっかり支えてあげて下さいね」
優しくニコッと微笑み返してくれ、サッと店内に戻っていった。
(みどりちゃんの言う通りだ……今からは私があおくんを支えてあおくんを甘えさせてあげる番だ!)
私はキュッと唇に力を込め、あおくんの待つ部屋まで急いで戻る。
彼氏彼女が一緒にお風呂入るだなんて、一見したら物凄くえっちなシチュエーションなんだけど……あおくんも私もそういった変な気分になる雰囲気はなくて、とっても楽しかったし私自身とっても癒される時間になったんだ。
「じゃあ、買い物してくるからね! ちょっとの間だけ待っててねあおくんっ!
」
私はサッと身支度を整え、急いであおくんの下着やお泊まりに必要な携帯歯ブラシやシェーバーを買いに行く為、スニーカーに履き替える。
「ごめんね、はな」
あおくんはわざわざ玄関の近くまで来て見送ろうとしてくれたんだけど
「着せられるものを持ってない私が悪いんだよ! だから気にしないで。お部屋の中で待っててね」
私は「気を遣わないで」とハンドサインを送りながら彼を回り右させて背中をトンッと押してあげる。
「ん……」
今現在、あおくんにはボートネックTシャツにニットカーディガンを羽織り、腰から下はバスタオルを巻く……というなんとも恥ずかしい格好にさせてしまっているから、家主の責任としてパンツを早急に調達しないといけないんだ。
「じゃあ、いってきまーす!」
あおくんがてくてくとリビングへと足を向けるのを確認した私は、すぐに玄関扉を開け閉めして階下のコンビニへ再び向かう。
「1時間ちょっとでまたみどりちゃんに会うのかぁ……」
仕方ないとはいえ、2度もバイトの後輩と顔を合わせなくてはならない。
しかもみどりちゃんから「あおくんを見掛けた」という話を聞いたばかりだっていうのに、今から男性モノの下着やシェーバーを購入するっていう状況が容易に想像出来るおまけ付き。
(チャコ叔母さんなら絶対ツッコミ入れる要素が満載なんだけど、相手はみどりちゃんだからなぁ)
多分、みどりちゃんの性格的にそういう事はしないし、なんたって幼稚園児の頃から恋愛に長けてきたような人だ。
「いらっしゃいませ、こんばんはー」
コンビニの自動扉と共に耳に入ったのは、1時間前は飲み物の補充を黙々とやっていた大学生の澤村くん。
(澤村くんかぁ……あんまり顔合わせないからこれはこれで気まずい)
カゴを取ってコソコソっとレジからの死界になるように日用品コーナーへと私は向かう。
(パンツは……トランクスがいいのかなぁ。この前履いてたのと似た色味にしようかなぁ)
あおくんがこの前お泊まりに来てくれた時に履いていた下着の色や柄を思い出しながら商品を手に取ると
「華ちゃん先輩っ……先輩!」
小声でみどりちゃんが声を掛けてくれた。
「あっ! み、みどりちゃ」
ビックリして、思わず大声が出そうになる。
「カゴ貸して下さい。私が代わりに買ってあげますから」
「ぇっ!!」
するとみどりちゃんは私からカゴを奪うと、下着だけでなくシェーバーや歯ブラシ、小さなヘアワックスなどをポンポンと入れ……
「澤村、華ちゃん先輩ほとんど会わないから知らないでしょ。アイツ拡声器なんです」
そう、コソッと教えてきただけでなく
「えっ? 拡声器?!」
「はい、アイツ絶対今の先輩見たらバイトのみんなに尾ひれつけて変なウワサ流します。
ここは私が買っておくんで、先輩は店の裏側に隠れて!」
早口で命令してきて私を急いで外へ出した。
「うっ」
(みどりちゃん、すっごくイヤな表情してたなぁ……)
澤村くんは先月から短期で入ったバイト。私が抜けているシフトに入ったので、みどりちゃんは澤村くんの色々を知っているんだろう。
私がササッと店を出たのとほぼ同時に
「えぇ~?! みどりさんなんで就業中に買い物するんですかぁ~?」
という、わざとらしい嫌味な声を出す澤村くんと
「ダンナが明日仕事で必要なのっ! ちょうどダンナが近く来てるから渡してくる」
「うわぁ~私情挟みまくりぃ~!!」
「うっさいなぁ! 今お客さん居ないんだからいいじゃんそんくらいっ!」
と、語気強めで言い返すみどりちゃんのやり取りが耳に入る。
(みどりちゃん……わざわざ自分の所為にしてくれてる。本当は私の買い物なのに)
みどりちゃんから言われた通り、店舗の裏側へ回って身を潜める。
(澤村くんはみどりちゃんを怖がってるとか何とか言ってたけど、あのイヤミな感じからして実情は少し違うのかも)
確かにお客様対応中にコンビニ従業員が就業中に買い物するのは良くない……けど、臨機応変にすればチャコ叔母さんだってうるさく言わない。澤村くんにグチグチ言われるほどでもないんだ。
(澤村くんってあおくんと同じ四年生で、真面目そうな大学生だなって印象持っていたけど、ネチネチした性格なのかなぁ……だったらイヤだなぁ)
規則違反でもなんでもない事であんな言い方をするんだから、私が男性のお泊まりセットを買おうものならそれこそイヤ~な感じで囃し立てるに違いない。
(それに比べて、みどりちゃんは……)
状況を把握しているとはいえ、みどりちゃんの対応は素早く私が明日以降のバイトで気まずい思いをしないで済むようにしてくれた。
「はい、買い物分です。必要最低限のものを買っておきましたよ」
「ありがとうみどりちゃん」
私はみどりちゃんに「おつりは受け取って」と付け加えながらお金を渡し、みどりちゃんの手から買い物袋を受け取ると
「先輩、今日はしっかり支えてあげて下さいね」
優しくニコッと微笑み返してくれ、サッと店内に戻っていった。
(みどりちゃんの言う通りだ……今からは私があおくんを支えてあおくんを甘えさせてあげる番だ!)
私はキュッと唇に力を込め、あおくんの待つ部屋まで急いで戻る。
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