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Chapter7:おうちデート
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しおりを挟む(あおくんの睫毛だぁ)
翌朝、目を開いてすぐに気付いた事があった。
「ふふ♡」
それは、大好きな彼の睫毛がクルンと巻いていて長さも結構あるという事。
(なんか得した気分だし、幸せだぁ♪)
新しい発見をするとよりもっと好きが高まる。
(あおくんを起こさないように……っと)
いつまでも寝顔を見つめていたいけど、今日は2人共大学があって数時間後にはバイバイしないといけない。
物音を立てないようにしながら私はベッドから体を下ろし、キッチンまで静かに歩いてパジャマの上からエプロンをキュッと締めて気合いを入れた。
(昨夜のハンバーグ、あおくんに褒められて嬉しかったから朝ごはんも負けないくらいに喜ばれたいっていうか……)
それから昨夜に使用したスキレット2つを取り出してコンロの火にかける。
(ハンバーグよりもコレの方が何回も作っているし自信はあるんだけど……)
冷蔵庫を開けて、前日から仕込んでいたものとバターを取り出して調理に取り掛かった。
(あおくんのお口に合うといいなぁ~)
しばらくすると、ベッドから物音がして
「あっ、はなぁ。おはよう」
寝ぼけまなこのあおくんが私のそばまでノソノソと近付いてきた。
「おはよう、あおくん」
ちょうど2人分の朝食が出来上がり、起こそうかなと思っていたところだったから好都合だ。
「バターの良い香りで起きちゃった」
フニャフニャとしたやわらかな表情や口調で喋るあおくんはとっても可愛らしい。
「うん♪ちょうど今、出来上がったところなんだよー」
私はあおくんをテーブルに座らせ、スキレットに蓋をした状態で運ぶと
「あっ、昨夜のハンバーグと同じでスキレット使ったんだね」
彼の目は子どもみたいにキラキラと輝き、ワクワクした声に変わったので
「うん、そうなんだ♪ 実家に居た時はよくキャンプしてた話をしたでしょ? この料理はね、キャンプ2日目の朝によく作っていたものなんだよ~」
私もウキウキした気持ちになって……
「そうなんだぁ! どんな料理だろう?」
「じゃあ蓋をオープンしまぁす♪」
あおくんの目の前でその蓋をパカッと開けてみせた。
「わあああぁぁ~! すごーい!!」
次の瞬間、あおくんは拍手しながら想像以上の喜び方をしてくれる。
「長岡家特製のフレンチトーストでぇす♡」
「すごいすごーい!! バナナも乗っかってる~!!」
「チョコソースとメープルシロップ、お好みの方をかけてね」
テーブルに置いたフレンチトースト用のソース2種類を手のひらで紹介したら
「も~♡ はな大好き♡ 俺の好みバッチリだよ♡」
あおくんがギュウッと私を強く抱きしめたんだ。
「えっ? あおくんの好みバッチリだったの?」
「うん! 焼いたバナナにチョコかけるの、めちゃくちゃ大好きなんだ♡」
「そうなんだぁ~それは良かったよ♪」
実は「あおくんのお口に合うかどうか」と悩んでいた点がソレだった。フルーツを温めるのが苦手な人も居ると聞くから。
(良かったぁ~♡ あおくん、私と食の好みが一緒みたい♡)
内心ホッとしたし、より嬉しく心がほっこりと温まる。
「じゃああおくん、冷めないうちに食べちゃおうよ! 紅茶淹れてあげるね」
私が立ち上がると
「ありがとうはな、紅茶俺も手伝うよ」
あおくんも次いで立ち上がりトコトコと私の後をついていく
「紅茶はティーバッグだからすぐだよぅ」
振り向いてそう言っても
「それでも一緒にやりたいんだよぅ♡」
私の口調を真似てマグカップを一つ持ってくれた。
「えへへ♡ じゃあ一緒に紅茶持って行こうか」
「うん♪ えへへ♡」
今朝も「えへへ」と笑い合い、マグカップの中にお湯とティーバッグを入れて……
「じゃあいただきます」
「いただきまーす」
一緒に作った紅茶入りマグカップをそれぞれ手に持ってテーブルにもどり「いただきます」の手合わせをする。
「えへへ♡ はなぁ、おいひぃよぅ♪」
アツアツのフレンチトーストを頬張るあおくんは可愛らしくてキュンとしちゃう。
「えへへ♡ ……おいひぃね♡」
だから私も口の中いっぱいにフレンチトーストを頬張りながら彼の口調を真似てみせた。
「はな、可愛い♡」
「あおくんも可愛いよぅ♡」
昨夜も幸せだけど、今朝は今まで以上に幸せを感じている。
「「えへへ♡」」
あともう少ししたらバイバイしちゃうのはさみしいけど、今が幸せいっぱいで過ごせているんだから……この次のお泊まりでは、もっともっと……
「はな、だぁいすき♡」
「あおくん、だぁいすき♡」
大好きな気持ちや心地よい感覚が増して高まっていくといいなって……そんな事を思えたんだ。
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