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Chapter5:告白

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 唇が触れたのは、ほんの一瞬。

「えっと……ありがとうはなちゃん」

 だからこそ、離れた後の今が長く感じて

「うん……ありがとうあおくん」

 ずっとずっとキスし続けているような幸せと熱さを感じて

「……」
「…………」

 私だけでなくあおくんまで黙り込んでしまった。



「あのね、はなちゃん」

 日の光の、オレンジ色が濃くなってきた頃……

「なぁに? あおくん」

 私達は再び声を発し、見つめ合った。

「俺ね、はなちゃんの特別になりたい」

 あおくんの表情はとても真剣で、眼差しも熱い。

「うん」

 「特別になりたい」という言葉はすごく嬉しかったものの

「だからね、呼び名を変えてもいいかな?」
「呼び名?」

 急な「呼び名変えてもいい?」に首を傾げてしまった。

「うん……はなちゃんってさ、みんなから『はなちゃん』って呼ばれているでしょ?」
「うん」

 そう言われてみれば、私は「はなちゃん」と呼ばれる事が多い。お父さんお母さんは「華子」って呼ぶけど、大半の人からは「はなちゃん」って呼ぶ。
 
「俺もね、ここ半年『はなちゃん』って呼んでて……まぁ、それも良いなとは思うんだけど」
「うん」

 「うん」しか返事してないけど、あおくんの言いたい内容が分かってきた。

「親戚の久子さんやご両親に勝とうなんて思っているわけじゃないんだけど、その次くらいの存在になりたいから、まずは呼び名から変えてグッと近付きたいって思うんだ」

 だからあおくんの説明に私は笑顔になり

「うん!」

 元気に返事が出来た。

「じゃあ……『はな』って、呼んでもいい? 『はな』は誰からも呼ばせてないよね?」
「うん!」
「じゃあ早速……『はな』」

 あおくんは頬も耳も赤くしながらそう呼んだから

「はい!」

 私はあおくんの手をとって握手しながら元気よくまた返事そる。

「はな」
「はぁい♡」

 初めて呼ばれる呼び名だったけど、全然嫌じゃないし、大好きなあおくんから呼ばれる幸せや嬉しさが全身を包む。

「これからもよろしくね、はな」
「うんっ♪ よろしくね! あおくんっ」

 改めてお互いを呼び合い、ギュッとハグをした。

「ね、私も『あお』って呼んだ方がいいかな?」
「うーん……どっちでもいいよ。ただ、俺の場合『あお』も『あおくん』も同じくらい呼ばれているから特別な呼び名ってないんだよね」
「そっかぁ……じゃあ、私は『あおくん』のままにするね」
「うん。でも時々は『あお』も良いなぁ」
「あおくんって贅沢ぅ♪」
「うん♡ はなには色々呼ばれたいんだよね」
「ふふふ♡」
「えへへ♡」

 ギュッをしたまま幸せ気分で喋って、また更にギュッを強める。

(幸せだぁ♡)

 彼氏と彼女の関係になれたし、ファーストキスもしちゃったし、今日もまた一つ良い思い出になった。




「私の家ね、コンビニの上なんだ」

 帰りはきちんと送ってくれたので、あおくんに私のお家の場所を教えてあげた。

「あ、そうだったんだね」
「うん、コンビニの2階以上がワンルームマンションになっているんだ。私は3階なの」
「教えてくれてありがとう」
「あおくんのお家はここから近いんだよね?」
「うん。自転車で10分かからないくらいかな」
「近いねー♪ こんどあおくんのお家も教えてね!」
「もちろん!」

 ニコニコしあって……

「じゃあ、またね」
「またね。今週末は時間あるから、少しお出かけしようね」
「うん♪ 楽しみにしているね」

 それからバイバイの手を振る。
 名残惜しい気持ちもあるけど、「今週末に会える」と知れたから全然嫌じゃない。

「おやすみ、はな♡」
「おやすみ、あおくん♡」

 バイバイがこんなにも幸せでほっこりした気分になれるなんて、人生初めてだった。

(彼氏彼女って、良いなぁ♡)


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