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私の「日常」は彼と共に

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 私は初めて彼と唇を重ねた日の事を思い出しながら唇を寄せ、彼の薄い皮膚に触れた。

「んっ……んん」

 次に、甘くて蕩けるような大人のキスを交わした時の事を思い出しながら舌先で彼の唇をゆっくりとなぞり……それからこじ開ける。

「んっ……ふぅっ」
「んん……」
 
 その中にある粘質的な彼の舌を求めて、自分の舌をめいいっぱい伸ばして彼の口内に押し込めた。

「んふうん」
「んんぅ」

 私の積極的な動きは、彼の舌を妖しげに動かし、互いに絡まり合う。

「……っく」
「ふっ……んふぅっ」

 抱き締め合い密着する体の熱が高まっていくのを感じ、互いの吐息も熱くなっている事も感じ取った。


 彼の腕は私の腰に回され、脚も濃密に絡めていく。

「んっ……」

 キスだけで絶頂してしまいそうになる感覚のまま、彼の方から唇を離して

「あーちゃんの気持ちは嬉しいし幸せな気持ちになるけど、幸せ過ぎて『野獣くん』になっちゃうよ……俺」

 熱い吐息をたっぷりと私にかけながら余裕のない表情をして、大きくなった熱いモノを私の内股にコツンと当ててきた。

「ふふっ……うん♡」

 りょーくんが今どんな気持ちになっているか理解している私は、深く頷く。

「あーちゃん本当に分かってる?」
 
 ベッド脇にあるチェストの引き出しに一旦しまって置いた、上原さんご用意のゴムの個装をりょーくんは取り出しながら私にそう訊く。

「分かってなかったらあんなキスしないもん」

 私は口を尖らせながらそう答えたら、りょーくんは少年みたいな笑い顔を見せて「可愛い♡」と言い返してきた。

「ねぇあーちゃん……このままエッチ、してもいい?」

 長くて男性的な10本の指が私の全身を優しく愛撫しながら、彼は私に訊く。

「りょーくんは大丈夫?体はしんどくない?」

 とにかく、彼の心身が気になって仕方なかった。

「あーちゃんを抱きまくりたい気持ちでいっぱいだよ」

 彼はそう言って私の唇を舌でくすぐる。

「気分が悪くなったらすぐに言ってね。無理しないで」
「平気だよ、だってあーちゃんは俺がどうなっても……ずっと一緒にいてくれるんでしょ?」

 一瞬、りょーくんが寂しそうな表情をした。

「大丈夫だよ。りょーくんに嫌われない限り、私はずっとりょーくんのそばにいるからね」

 今は彼をこれ以上寂しい気持ちにさせたくない。
 私はその想いを込めながらりょーくんの首に自分の腕を絡めて、私の方からまたキスをして、彼の舌を愛撫した。


 2人の唾液が口の中から溢れ出て、飲み込む余裕さえなく舌を絡め合う。



 やがてりょーくんの両手が私の両脚を開いて……

 かたく熱いモノが私のナカを掻き回した。


「ん……」

 りょーくんは小さく息をすると私を抱え上げ、胡座をかいた脚の上に乗せる。

「っ……ふぅん……」

 私は息を鼻から漏らしながら快感に酔いしれる。

 全ての感触や衝撃
 肌がぶつかる乾いた音
 ねっとりと這うお互いの舌

 その全てがとても気持ちよくて……全身がとろけていきそうで……


「んんっ!!!」

 唾液を必死に飲み込んで喉を鳴らしながら、私の体は大きく震えた。

「っはぁ……はあ……はあ」

 ようやく口が離れて 2人とも大きな息をして互いの顔に振りかける。

「イッちゃった♡」
「俺も♡」

 互いに絶頂したなんて、体がちゃんと理解している。けれども声を出して告げずにはいられなかった。

「ふふっ♡」
「ふふ♡」

 互いに照れ臭くなり微笑み合うのも、私達が大好き同士でいる合図みたいなものだから。

「あーちゃん気持ちよかった?」

 りょーくんの問いにコクンと頷く。

「りょーくんは? まだ繋がっていたい?」

 気持ち良くて満足はしているんだけど
私の体はまだ満足していないとばかりにキュンキュンうずいていて大好きな彼を求めてしまっている。

 ドキドキキュンキュンしながらりょーくんの目を見つめると、彼は照れ臭そうに顔をフニャッとゆがませていた。

「あーちゃん、し足りないんだ?」
「りょーくんも、でしょ?」
「当たり前だよ。だって『野獣くん』だもん」

 そして彼に私の疼きがバレてる事が照れ臭く、それでいて嬉しい。

「ゴム、もう一個あるし……」
「あーちゃんエロ過ぎ♡」
「あん♡ だってぇ♡」

 私を見つめながらゴムの処理をするりょーくんの目付きばまだギラギラとしていて、目だけでイッてしまいそうな感覚にさえなる。

 そして、2回目は仰向けの私に彼が覆い被さりながら繋がった。

「んっ」
「んん……」

 深いキスで舌同士もねっとりと絡まり合う。

「ふ……」
「っ……ふぅん」

 口内は激しく絡まり合っていて互いの唾液も混じり合い口の端から漏れているのに、肝心の部分は繋がったまま動かさないでジッとしている。
 そんなりょーくんがなんだか愛おしくなった私は、勇気を出して自ら腰を動かしみた。

「っあ……あーちゃん」

 慌ててキスを解くりょーくんの首に両腕を巻き付けてホールドしながら、私は更に大きく動いてみせる。


「こういうの、ダメ?」

 自分で動く恥ずかしさも相まって、喘ぎながらりょーくんに声を掛けた。
 
「ダメじゃないけど、我慢出来なくなるよ」
「我慢しなくていいよ、私の中でいっぱいいっぱい気持ちよくなって欲しいから」

 私がそこまで言うとりょーくんの目付きが鋭くなって、私の腰をガシッと乱暴に掴み、ガツガツと激しく突き始めた。

「ああっ!! もっとぉ……あああっ」
「あーちゃん好きっ……大好きっ!!」


 全てが幸せで、あったかくて、ふわふわホワホワしてて……気持ち良い事だらけで脳が埋め尽くされていた。
 私も彼も、快楽を一心に追い求めて腰や口を動かしているのが分かる。

「私もっ……だいすきぃ♡」
「やば……すぐイく」
「いいよ……私もっ…すぐイッちゃうっ」
「ああっ」


 りょーくんの先からまた温かいものがいっぱい吹き出す感覚がして……

 まるでそれをゴクゴク呑んでいるかのように私の体はキュンキュン動いていた。










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