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猫になる
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しおりを挟む「へぇ~! これが本物のカフェオレなのか~」
りょーくんの「コーヒーが飲みたい」というリクエストに答えるべく、私達はりょーくんのお部屋から隣の私の部屋へと移動し、私が今日店で飲んだカフェ・オ・レの再現をしてみせた。
(カフェ・オ・レ用の豆、この前焙煎しといて良かったぁ……)
私は普段コーヒーを飲む時はブラックで飲む事が多く、焙煎度も中煎りにする事が多い。
とはいえ私は夕紀さんの右腕となるべく修行してる身だ。店で出しているスペシャルメニューの豆もしっかり触っておきたいし、カフェオレボウルを使ったカフェ・オ・レも沢山練習しておきたいから一応焙煎豆のストックを切らさないようにしていた。
(何よりも、今日飲んだ夕紀さんのカフェ・オ・レが本当に美味しかったからなぁ「私が淹れたカフェ・オ・レの1000倍美味しい」って私が夕紀さんに言った言葉は冗談じゃなくてマジの意味だったんだもん……)
「カフェオレボウル、1つしかないんだ。私と食器がバラバラでごめんね」
テーブルには、りょーくんが夕方に買ってきてくれたらしいオシャレなケーキが2切れと、カフェオレボウルと大きめのマグカップが並んでいる。
「ううん! ありがとうあーちゃん。急にお願いしたのにここまでしてくれて嬉しい♪」
「りょーくんはカフェオレボウルで飲んでみてね。マグカップみたいに取っ手がないから、両手で持って飲むの。フランスの飲み方らしいよ」
「へぇ~……フランス式かぁ。焙煎の豆? もさっき見せてもらったけど深めだったね。昨日と同じだった!」
「覚えててくれてありがとう。フレンチローストっていう焙煎度なんだ。最近の傾向だとこういう豆も中煎りにするのがトレンドらしいんだけど、私やマスターの思いれ深い焙煎度なんだよ」
「そうなんだ! 素敵なエピソードだね♪ しかもフランス揃いだ♡俺が今日買ったケーキの店はね、フランスで修行した人が開いた店らしいよ」
「本当だ♪ フランスばっかり♡」
りょーくんとクスクス笑い合い、ほぼ同時に「いただきます」をしてケーキやカフェ・オ・レに舌鼓を打つ。
「ケーキ美味しい♡」
「あーちゃんのカフェ・オ・レも美味しいよ♡ カフェオレボウルで飲むのって良いね!」
「りょーくん、今日は色々とごめんなさい」
「あーちゃんは謝らないでよ本当に。俺の方がごめんなさいだから」
「りょーくんこそ謝らないで。りょーくんに色々と我慢させちゃってるのは事実だし、確かに私も痴漢被害から解放されて1ヶ月経って……少しずつりょーくんに歩み寄りたいって感じてるし」
お互いに頭を下げて謝り、私は言葉を選びながらりょーくんに自分の気持ちを伝えていく。
「りょーくんの手も体もあったかくて、昼間のキスや耳のも嫌じゃなかったんだよ。気持ち良くてドキドキした……」
「うん」
「あとね、りょーくんの金色の頭を撫でている時も、指がゾワゾワっとして……こんな事りょーくんに言っちゃって良いのか分かんないんだけど……」
「うん」
伝えている最中、恥ずかしくなってきちゃった私。
りょーくんはそれでも私の目をジッと見つめて真面目に聞いてくれていた。
「ちょっと気持ち良くなってきちゃって……頭を撫でているのにエッチな気分になってきたんだ。
こういう事を感じたり正直に言ったりしたらりょーくんに迷惑がかかるかもしれないんだけど、それでもやっぱり大好きなりょーくんには伝えておきたいなって思って」
「うん……嬉しいよ。ありがとう。
あーちゃんのそういう正直で素直なところが俺は大好きだし、そういう事なら遠慮なくいっぱい俺に言ってほしい」
「野獣くん」と噂されていてりょーくん自身も自認してるっていうのに、私がエッチな気分になった話を聞いても変わらずやわらかな微笑みを彼は向け続けてくれている。
「ほんと? りょーくんの『男の部分』とか『野獣くん』とかを刺激し過ぎないかな?」
「そりゃあするよ。あーちゃんのそういう話は刺激たっぷりだから。
だけどちゃんと抑え込める! だって俺はあーちゃんを悲しませたくないんだから」
変わらず優しい言葉をかけ続けてくれていて……
「手、繋いでいい?」
「うん♪俺も繋ぎたい♡」
変わらず彼の大きな手は温かくて落ち着くし、彼が愛おしく私の手を指でスリスリ撫でる姿にキュンキュンきてしまった。
「あのね……りょーくん」
「何? スリスリ、嫌だった?」
「そうじゃなくて……今、胸がキュンキュンするのが止まらなくて、その……」
「うん、俺も胸がキュンキュンしてて止まらないよ」
私のキュンキュンを、彼も同時に感じてくれているみたいで嬉しさと幸せが倍増する。
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