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「ちょっとだけ、ユウちゃんをビックリさせられたらいいなって思うんだ。
 イチゴの花のイヤリングを見つけた時もね、それを思ったんだ。イチゴってありふれてるけど、花をプレゼントする人ってなかなか居ないでしょ?
 その上、ユウちゃんの口から『妹さんは白くて小さな花をいつも渡してきた』なんてエピソード聞いたし。ちょっと今燃えてるっていうか」
「……」
「勝てるわけないって分かりきってるし、もしかしたらその『珍しいお花』ってのも妹さんからもらっちゃってる可能性もあるんだけどね」
「……」
「花屋で売ってないようなレベルの珍しさだといいなって思うんだけどねー♪ どうなんだろうねー」

 ジュンは私の想像していた以上に、真面目な人なんだと……その時思った。

(根っからのチャラ男だと思い込んでいたんだ……私は。ずっと、昔から)

「…………ごめんねユウちゃん。
 気が付いたら、俺ばっかり喋ってるよねぇ? バカだよなぁ~♪ うるさくてごめんね、本当に」

 私が黙ったままでいるから、ジュンは咄嗟にそう謝ってきた。

「ううん……」

 彼は私が「話がつまらないから黙っている」と感じたのかもしれない。

「そうだ! 食べ終わった事だし、散歩してみよっか♪ 展望台から見る夜景、めちゃくちゃ綺麗だから」

 ソファから私と同時に立ち上がりながら2人分のトレイをヒョイっと持ち上げ

「食べ終わった食器くらい私が片付けるのに」
「いいのいいの。力仕事は俺に任せてよー♪」

 そう言って素早く返却口へ持っていきササッと戻ってきた。

「力仕事なの? 返却するのが」
「重たいもの持つ事全般を力仕事って言わない?」

 真面目なジュンの喋る内容がやはりおちゃらけていて、また笑いが込み上げる。

「ふふっ♪ そうかもね」
「でしょ♡」

 私の表情を、ジュンは嬉しそうに見つめ返した。

「外、寒いだろうから俺のジャケット貸してあげる」
「ああ……ありがとう」

 自動ドアを通過する直前、私の肩にジュンのジャケットが覆い被さる。

「体デカくないからユウちゃんの全身をあっためらんないんだけど」

 彼の言う通り、身長がさほど変わらない細身のメンズジャケットは私の体にピッタリとフィットしていて

「ううん……充分あったかいと思う。ありがとう」

 私にとっては充分に嬉しかった。



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