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第二章:川石男・『陸・海・空』三制覇?編
『海』
しおりを挟むある時、私がテレビを見ていたら、『北海道のナマコが密猟で乱獲されている』ってニュースをやっていました。
なんでもナマコは『黒いダイヤ』なんて呼ばれる中華の高級食材らしいのです。乾燥させたナマコが1キロ10万円もするびっくり価格でした。
次の日、バイトのみんなの前でそのナマコの話をしたら、急にロックマンの目の色が変わりました。
「俺、次の休みに、海に行ってナマコ獲って売ってくる」
みんなの注目が一気にロックマンに集まります。そんな中、ロックマンは悠然と語りだしました。
「ここは山に囲まれているからナマコの売り先は絶対にないだろうけど――」
いやいや、いくら山間地域でも魚屋も魚市場もありますが?
まあ、よく分からない男がにょこっと持ってきたナマコを買い取るかどうかは知りませんけどね。
「――海の町なら、ナマコの売り先はいくらでもある!」
そういう問題じゃない。
山=× 海=○
なんとなく正しい気もするけど、根本的になにか間違ってるよ。
「ナマコは一匹500グラムはありそうだから……2匹で10万! こりゃ儲かる」
ひとりテンションの上がるロックマン。
この男は、人の話を聞いていないのでしょうか?
「……『北海道の乾燥ナマコ』が、って言ったよな」
「え!? ウソ!? 聞いてないよ!?」
聞いていなかったようです。
先ほどまでのテンションは泡と消え、一気に沈むロックマン。
ちょっと考えれば分かると思いますが、ナマコが2匹で10万円稼げるなら、誰もまともに仕事なんてしないでしょうが……。
こうして、ロックマンの『海』制覇の野望は終わりました。
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