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La Vie en rose :薔薇色の人生

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──あれから7年の月日が流れた

ある日の昼下がり。
公爵家のガゼボにクリス様を膝枕して、アーリスはオリヴィエ様からの手紙を読んでいた。

ガゼボには、息子たちそれぞれが描いた家族の絵が、天井近くの柱に幾つも飾られていた。よく見ても、誰が誰だか分からない幼い絵だが、絵の中の家族は幸せに満ちていた。

「お母様!ほら見て、四葉のクローバーだよ」
「僕も見つけたよ!ギルバート兄上より大きいよ!見て見てっ!」

ギルバートとメンディスが先を争ってアーリスに四葉のクローバーを見せに走ってきた。

「しっー!お父様がお休み中よ。静かに。小さい声で喋ってちょうだい」

「お父様、午睡してるの。いーなー。僕もお母様のお膝で午睡したい。」
「ダメだよメンディス。前に僕もそういったけど、お父様がお母様のお膝はお父様だけのものだから、お前は早く大切な人を見つけてその人にやってもらいなさい。っていわれたもの。」
「えっー。お父様だけずるいー。」

えっそんな話してたんだ。しかも息子にダメだししてるし。アーリスはちょっと遠い目になった。

「そうだぞ、お母様のお膝はお父様専用だ。お前達は早くお母様みたいな素敵な人を見つけなさい。」突然、膝枕で寝ていたはずのクリス様が起き上がった。微笑んだ顔がキラキラ輝く。
〘 うっ目が眩しい 〙何年たってもエフェクトキラキラには慣れず反射的に目を眇めてしまう。

「お父様おーぼー。」
「ダメよお父様にそんな口の聞き方したら!」
「お母様、お父様のことになるとこわーい(笑)行こうメンディス」

仲良く手を繋いで走り出した息子たちの背中を見送っていると、優しく抱きしめられる。ゆっくりと髪を撫でられ、優しくバードキスをされる。「愛してる。アーリー」合間に囁かれる言葉は蜂蜜のように甘い。
「私もです。クリス様」
「様はいらないって何度も言っただろう。私は君の夫なのだからクリスと呼んで。」
ホラッ。と促され囁くように「・・・クリス」と名を呼ぶと、心底嬉しそうに笑った。
「そうだよ。君のクリスだ。君だけの。愛してるよアーリー。僕は幸せだ」
きつく抱きしめられ、深いキスをする。

クリス様はいつもはと仰るが時々と仰る。僕と言う時は、離宮で見た危かった目をしている。
不安な時、激しい感情に揺さぶられている時、というのだ。
そんな時、いつも「私も愛しています。」と返すことにしている。彼の瞳の何かに執着したような仄暗い色が収まっていく・・・ニコニコと互いを見つめて微笑み合う。

「今度は私が膝枕をしよう。こちらにおいで」
クリス様の膝を枕に横たわると優しく髪を撫でられながら、小さな声で子守り歌を歌ってくれる。それはかつて、このガゼボで私が歌った「La Vie en rose」だった。私はゆっくりと瞳を閉じた。







―――――――――
アーリスの物語は完結となります。
次の話で最終話になりますが、また違う読後感になるかもしれません。


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