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こんなに好きなのに。
悪魔の契約。
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クレハの顔を思い出す。笑った顔、怒った顔、優しい顔、艶っぽい顔。そして綺麗な銀髪のストレートヘアに優しい赤い目をした貴方を誰よりも欲しいと願う。
厭らしい声、響く水音。全部が君じゃない。
「上がって」と部屋に上がり、情事に身を焦がした。そうして俺は、クレハ以外を初めて抱いたんだ。
アッサリだった、君以外ほかのおんなとした罪悪感。熱情なんてものはなかった。
揺れる身体、君より小さい胸、綺麗なこじんまりした小柄な体。黒い髪、小刻みに震える声。抱いている途中なのに、君のことばっかり考えた。言い訳だけども、君以外を抱いても、虚しさが集うだけ。彼女から指輪を強引に奪おうとしたけれど、いや、奪おうとしたけれど、部屋に上がり、目の前の女が脱ぎだし、やめろと止めようとした瞬間、バランスを崩してしまい、気が付いたら彼女から味のない虚無感の長いキス。糸を引き、白い吐息を抱きしめながら胸に感じる。
―ああ、こんなに簡単にSEXって出来てしまうんだ。
そうぼんやり思いながら、自分の身体の造りが悲しかった。
気が付いたら、女は横に寝ていて、指輪を返してくれた。
彼女ほかのおんなの「ありがとう」「上手だった」は意味がなく。
自分でも童貞に戻れたらなぁとぼんやり思う。
手に入れたときの方が遠い蜃気楼。彼女がどんどん遠ざかっていく。
そうしたら、クレハをずっと信じて、気が付かないふりをして、彼女だけを抱いて生きて来られたのにね。
それが幸せだったかは別として。
彼女の気持ちが信じられない。ネットリハチミツのようにどろどろな嫉妬は渦を巻く。でも、何か他の女と出来てしまう辺り、そういうものなのかなとミネラルウォーターを口に含んで、俺は、落ちようと思った。
「なぁに、もう一回?」
その煩い口を口で閉じてしまおう。唇を合わせれば、俺は地獄に落ちるよ。
「もう…獣みたい」
くすくす笑うな。
俺はこうしてもう一度クレハじゃない女を慰めに抱くことにする。
そうじゃないと、弱い俺の心は折れて、もう二度とクレハを抱けない気がするから。抱きしめるだけの優しい時間も、初めてキスしたときの温かみ。そういうものが他の人の苦いタバコ味のキスで薄まってく気がしたんだ。
君クレハだけを抱いて。クレハも、俺だけに抱かれてくれればいいのに。この苦い口づけは、悪魔の契約。そうして、俺は知らない女と初めての朝を迎える。前にも、何度でも、俺だけに抱かれて、俺も君だけがいいって願うんだ。何度でも。そう何度でも。
厭らしい声、響く水音。全部が君じゃない。
「上がって」と部屋に上がり、情事に身を焦がした。そうして俺は、クレハ以外を初めて抱いたんだ。
アッサリだった、君以外ほかのおんなとした罪悪感。熱情なんてものはなかった。
揺れる身体、君より小さい胸、綺麗なこじんまりした小柄な体。黒い髪、小刻みに震える声。抱いている途中なのに、君のことばっかり考えた。言い訳だけども、君以外を抱いても、虚しさが集うだけ。彼女から指輪を強引に奪おうとしたけれど、いや、奪おうとしたけれど、部屋に上がり、目の前の女が脱ぎだし、やめろと止めようとした瞬間、バランスを崩してしまい、気が付いたら彼女から味のない虚無感の長いキス。糸を引き、白い吐息を抱きしめながら胸に感じる。
―ああ、こんなに簡単にSEXって出来てしまうんだ。
そうぼんやり思いながら、自分の身体の造りが悲しかった。
気が付いたら、女は横に寝ていて、指輪を返してくれた。
彼女ほかのおんなの「ありがとう」「上手だった」は意味がなく。
自分でも童貞に戻れたらなぁとぼんやり思う。
手に入れたときの方が遠い蜃気楼。彼女がどんどん遠ざかっていく。
そうしたら、クレハをずっと信じて、気が付かないふりをして、彼女だけを抱いて生きて来られたのにね。
それが幸せだったかは別として。
彼女の気持ちが信じられない。ネットリハチミツのようにどろどろな嫉妬は渦を巻く。でも、何か他の女と出来てしまう辺り、そういうものなのかなとミネラルウォーターを口に含んで、俺は、落ちようと思った。
「なぁに、もう一回?」
その煩い口を口で閉じてしまおう。唇を合わせれば、俺は地獄に落ちるよ。
「もう…獣みたい」
くすくす笑うな。
俺はこうしてもう一度クレハじゃない女を慰めに抱くことにする。
そうじゃないと、弱い俺の心は折れて、もう二度とクレハを抱けない気がするから。抱きしめるだけの優しい時間も、初めてキスしたときの温かみ。そういうものが他の人の苦いタバコ味のキスで薄まってく気がしたんだ。
君クレハだけを抱いて。クレハも、俺だけに抱かれてくれればいいのに。この苦い口づけは、悪魔の契約。そうして、俺は知らない女と初めての朝を迎える。前にも、何度でも、俺だけに抱かれて、俺も君だけがいいって願うんだ。何度でも。そう何度でも。
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