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序章

4,準備回(2日目)

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 さて、20分後に東の大門に集合なのでそれまでに準備を済ませないといけないんですが、この街にあるお店とか施設の場所をギルド以外一切知らないんですよね。どうしましょうか、やはり現地人の方に聞くのが1番でしょうか。八百屋さんのようなお店がありますからそこで聞きましょう。

「すいません、この街の冒険者がよく行く店とスキル屋の場所を教えてもらってもよろしいでしょうか?」





 ふむふむ、八百屋のおばさんによるとこの商店が集まった通りの先にスキル屋があると、そして冒険者がよく行く場所ということで教会と鍛冶屋、さらに雑貨屋の場所まで知れたのは僥倖でしたね。


 まずはスキル屋に行って最低限必須そうなスキルを買わないとですね。

「こんにちは!本日はどのようご要件ですか?」

「こんにちは、まずはスキルの代金を教えていただきたいのですが。」

「かしこまりました。まず武器スキルが1000ユル、魔法スキルが1200ユル、生産スキルが500ユルとなっていてこのどれにもあてはまらないその他のスキルが750~1500ユルとなります。
お探しのスキルがあればお出ししますが何かございますか?」

 なるほど、今更ですがユルというのがこの世界のお金の単位みたいですね。下が500で上が1500までですか、かなり幅がありますね。
 始まりの街でこの値段ということはもっと攻略が進んで先の街でここよりレアなスキルを買うとすればさらに高い値段になりそうです。

 初期資金が2000ユルに対してスキルがこの値段なので普通は武器やアイテムなどを買ってクエストに行きお金を稼いでからここでスキルを買うんでしょうね。

「『気配察知』と『気配遮断』、またはそれに該当するスキルは何かありますか?」

「『気配察知』と『気配遮断』ですね、ございますよ。それぞれ750ユルになります。」

 この2つはスキル屋ではその他枠なんですね。もし魔法よりも高ければ探知魔法のようなスキルがないか聞こうと思いましたがその他枠の中で最低限ですか、これは買いですね。

「ではその2つをいただきます。」

「毎度ありがとうございました!」

 ふぅ、これで残り500ユルですね、武器が買えればいいのですが・・・いや、そう言えば初心者用アイテムの確認をまだしていませんでしたね。
 おそらくほぼ使い捨てレベルの武器と回復系アイテムが数個入ってるような感じだと思いますがどうでしょうか。

アイテム
不思議な木の棒 ★
レア度:固有級 
持ち主の望む武器種に変化する不思議な棒。どんなことがあっても壊れることが無いがあくまで木の棒なので能力もお察し。

売却値 1000ユル
装備効果
[所有者固定]
[完全破壊不能]
[形状変化・基本武器]
[耐久無限]

 おぉ、耐久値無限ですか、基本武器種というのはチュートリアルで選択できる武器スキルと同じ種類のもののことですね。
 これはかなり色々出来そうな武器ですね。攻撃力が低いのは初心者用武器の宿命ですし問題ありません。形状変化は2度以上変化できるならこちらもかなり優秀そうです。
 このアイテムの売却値である1000ユルですがこの街の武器屋最安武器である銅剣と同じ額ですね。銅剣の攻撃力が5なので普通はこれを売って買い換えるんでしょうが。私は絶対売りませんね。
 だって上手く使えば色々出来そうですから。

 さてさて残りはっと……
アイテム
初心者用体力ポーション ★
レア度:固有級
この世界に降り立ったばかりの渡人に神から支給されるポーション。使うとHPを100回復する。
渡人の種族レベルが5になるまでこのアイテムは消費されない。

アイテム
初心者用魔力ポーション ★
レア度:固有級
この世界に降り立ったばかりの渡人に神から支給されるポーション。使うとMPを100回復する。
渡人の種族レベルが5になるまでこのアイテムは消費されない。

 やはり初心者用アイテムセットの中身はテンプレ通りでしたね、まぁ武器が様々な武器に変化する木の棒、ポーションは種族レベルが5になるまで無限に使えるなど多少差異はありますが。

 そろそろ時間が近いですし大門に行きましょう。



「全員準備おわったかな?そう言えばシオンは武器何買ったんだ?」

「ん?何も?これで十分です。」

「それ木の棒じゃねーか!初期資金は?」

「スキル2つと他に少し買ったらなくなった。」

「マジか・・・ま、まぁ今から行くところは普通にしてれば倒されることは無いからな。これ終わったら何かしら買った方がいいぞ。」

「んー、多分いらないと思いますけど。考えときますよ。」

「じゃあ行くか!」

 さて大門を出るとそこは平原が広がっていますね。ですが今は周りには沢山のうさぎとそれを狩るプレイヤーでうまっています。

 これは平原でレベルを上げるのはやめた方が良さそうですね。2日目でまだここにこれだけの数がいるということはここが普段通りにまで人が減るのはまだまだ時間がかかりそうです。

 今から行く平原の奥にある森林ですがそこは人がまだ少ないんですかね?


 さて、道中飛んできたうさぎはほとんどレオくんとマナさんが剣と魔法で迎撃してたので全くやることがないまま目的の場所に着きました。

「ここはさっきまでと違ってウルフや稀にボアがいる、両方ともさっきまでのうさぎとは段違いだから気を抜くなよ。」

 ウルフが狼でボアがイノシシでしょうかね。
 さすがに現実的に考えてもうさぎよりは狼やイノシシの方が脅威になり得るのは分かりますが正直どれくらいの強さなんでしょうね。私、気になります。

「よし、気配察知に反応があったぞ。少し前から数は3体、サクラ、マナ、イナリは後ろに下がって詠唱準備、シオンはとりあえず初戦は遊撃を頼めるか?」

「「「了解!」」」

「分かりました、先に削り入れますね。」

「はぇ?」

 さてまずは足裏に硬糸をスプリング状にしたものを準備して一気に踏み込むと同時に前方に跳躍します、そしてウルフの群れが見えてきたので木の棒を取り出し形状変化を発動。
 このままだと攻撃力が低いので粘糸を先に棒に巻きその上から硬糸を巻き付けさらにエンハンスを発動。

 群れに突入する瞬間に木の棒を構えて思い切り振り抜きます。

 ライトエンハンスで速度を上げダークエンハンスでHP吸収効果を付与したことで本来のダメージよりさらに上昇しているためウルフを一撃で瀕死に持っていくことが出来ました。

 【断ち切る者】の効果で斬撃系攻撃の効果が上がっているのもあるでしょうが補正もりもりとはいえこれだけの攻撃ができるなら木の棒でもやっていけそうですね。

「おーい、シオンちょっと下がれっ!マナは魔法で牽制サクラとイナリはバフとデバフを頼む!」

「ん、りょうかい。ウォーターバレット!」

「ストレングスブースト!アジリティブースト!!」

「スピードダウン!ディフェンスダウン!」

「はぁっ!ファイヤエンハンス!ライトエンハンス!ダブルスラッシュ!!」

 マナさんが水弾で飛びかかろうとしていたウルフを牽制しその間にサクラさんとイナリさんががバフとデバフを行いレオくんが自バフからの剣術スキルのダブルスラッシュによって一気に2匹倒しました。

 やはり手慣れてますね。ですが奥から来てる気配には先頭に集中して気づいていないみたいです。

「奥からなにか来てます!気配は5つ!」

「分かった!全員準備!」

 さて次は私もちゃんと連携に参加しませんとね。

「レオさん、何体まで安定して同時に相手出来ますか?」

「ソロなら2、サポありで3が安定!」

「わかりました!では私が2匹持ちます。」

「りょうかい、体力危なくなったら引けよ?」

「当然です!ここでデスりたくないですからね!」

 さて2匹同時ですか、どう捌きましょう。まず自バフ更新は当たり前としてとりあえず2匹釣りましょう。

「マナバレット!」

 自分の受け持つ2匹に無属性魔法で攻撃します、これでこちらにヘイトを向けることに成功したのでレオくんたちの方から少し離れましょう。

 さてとこのゲームは自由さも売りにしているということでスキルとして設定されていないことでもシステム統括AIが認可すれば実際に行うことが出来るらしいのでやってみましょうか。

 糸生成で硬糸を生み出しそれを手のひらから腕に纏わせガントレットのようにした後、さらに足にも纏わせグリーブのようにします。

 さらに木の棒を双剣に変化させそれぞれに糸を巻き付かせて糸で剣の強化を施し、そのあと双方にそれぞれ光と闇のエンハンスを施します。検証抜きに変化を発動しましたが最初に変化させた武器に変化先が固定されたりはしないみたいですね。
 その間狼を警戒しつつ近づいてくれば牽制に魔法を発動し、それと並行して糸での剣作成と武器に対するエンハンスを行うことを同時に処理してやっていましたがやろうとすれば案外出来るものですね。

《『思考拡張』を習得しました》

 おや?ゲームだから並列処理も意外とできるものだと思っていたらスキルを習得しましたね。先程の並列処理もどきが習得条件なんでしょうか。
 さて試しに並列処理をやろうとしてみましょう……

 ほう、これは先程までと比べるとかなり楽ですね。狼さんと私自身と周囲の3つに同時に意識を割くことが出来ます。

 思いがけず優秀なスキルを習得出来ましたしそろそろ狩りませんと、彼の方のパーティーを待たせることになりますからね。

 1匹は思考拡張を利用して一度に別のことをしながら操れる糸の数が増えたので片方に向かいながら地面を這わせるように糸を展開します。そしてこちらに来ようとしたところで足に巻き付かせ動きを制限しそのまま体にまで巻き付かせて完全に動きを止めます。
 そしたらチュートリアルの時と同じように首筋に向けて刃を振り下ろします。一撃で体力を削りきることが出来ましたね。

 無論この間も思考拡張をフル活用してもう1匹も牽制しています。本当は2匹目も止めれたらいいんですがさすがにまだそこまで慣れてないので無理です。

 さてこうなってしまえばあとはもう作業みたいなものです、1匹目と同じように簀巻きにして動きを止めたあとは首筋に同じように刃を振り下ろして討伐完了です。

 さてと、彼のところにもどりましょうか。

「あ、シオンさん!ソロで大丈夫でしたか?回復とかいりませんか?」

「はい、大丈夫ですよ。サクラさん達も問題なかったみたいですね。」

「(クイクイ)……お腹空いた」

 サクラさんと話していると後ろから引っ張られました。

「?え、はい。そうですか。では街に戻ったらみんなでご飯食べましょうか。」

「ん、違うそうじゃない。私が食べたいのはシオンの料理。」

「あれ?私マナさんに料理できること言いましたっけ?」

 料理スキル取ったことはレオくんにも言ってないはずなのになんでこの人知ってるんでしょうか?

「シオンは言ってない、けどさっき待ってる間レオから聞いた。」

 あれ?じゃあなんで料理スキル取ったことバレてるんですかね?

「シオンはゲーム内の料理が話題にならないレベルなら自分で試行錯誤しながら美味しいの作るって聞いた。あと「美味しいもの食べるのに妥協はしない」って言ってたっていうのも聞いた」

 あー……確かにNPCが作った料理のクオリティがあまり高くないと思ったゲームでは自力で作ったりしてましたね。レオくんにも何度か味見を頼んだこともあります。

「わかりました、でもまだスキルレベル低いのでそこまで期待しないでくださいね?あと食材アイテム買わないといけないので街に1度戻りますよ。」

「ん、期待してる。」

 さて、街に戻る途中で狩ったうさぎと狼をギルドで売却してそのお金で現地人の方のやっている八百屋さんに行って野菜を買いましょう。
 あとは、スキル屋を聞いた時に教えて貰った雑貨屋さんに料理用アイテムを買いに行きましょうか。途中露天商でいくつか気になるものを買えましたし今回は何度かレオくんに食べさせたあれでいいでしょう

 さて、それではギルドの生産室を借りて作りますか。
 まず野菜の下処理とウサギ肉の処理を行います。処理を済ませたウサギ肉を鍋に入れ強火で焼きそのあと野菜を入れて中火で炒めます。

 次に露店で購入した物の1つを鍋に入れ弱火でじっくり煮込みます。生産施設のオプション効果で本来なら長い時間がかかる工程を鍋の時間を早めることで時短します。さらに途中で本来なら捨てるところも錬成スキルのアーツである抽出を使い旨みを取り出して鍋に投入し、さらにそれを同じく錬成スキルの浸透を使って味を馴染ませていきます。

 ある程度煮込んでお肉が柔らかくなったら露店で購入したものの2つ目を入れて鍋の中身をかき混ぜながら煮込んでいきます。

 そろそろいいでしょうかね?味見してみましょう。

 うん、もう大丈夫みたいですね。では完成品をお皿に盛って先程からこちらを眺めている4名を呼びましょうか。

「みなさん出来ましたよ!注ぐので持っていってください!」

 このゲームでは初めての料理ですが出来栄えはどうでしょうか?
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