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チビとの出会いは本屋

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「朝だよー起きてね。」

 ドアを開ける音と同時に天使のような甘い声が聞こえる。ご老人が聞けば昇天しそうな、そんな声だ。

「おう……今……起きる………」

 大きな欠伸をする。寝起きはあまりスッキリしない方だ。それに朝は苦手だ。

 太陽が無くなればいいのに! 何て考えてもいたが勉強をやっていくうちに太陽が無くなったら大変なことが

起きるじゃねーか! とリアルを突き付けられた。頭が良くないのも夢が沢山見れていいのかもな。

 そんなくだらないことを今日も考えながら体を起こし、洗面台へ行く。


 顔を洗い、歯を磨くとすっかり目が覚めた。

「朝食出来てるから食べよ?」

「ん」

 蓬莱にはこれだけで十分だ。俺の心は読むし、一言で分かるし。

 朝はパン派。日本男子はご飯派が多いだろうけど俺はそんな朝から食えない。コーヒー・パン・スープで十

分だ。

「今日はどうするの?」

 昨日、日曜日はテストがあり今日はその振り替え休日。皆はショッピングに行ったり、遊びに行ったりする

のだろうけど。

「いつも通り?」

「何で疑問系なのよ…私は別に何でもいいよ。」

 こいつは………別に出掛けたいなら行けばいいのに。俺には心は読めないから相手がどんなことを思っている

のか分からないけど。

 朝食を済ませ、食器を台所に持っていく。こいつはいつも何でもやってくれてる。だったら、皿洗いぐらい

手伝おうかな。考えてることが小学生染みてるが、手伝いは重要なのだ。俺はいつも本ばかり読んでいる。そ

の間に色々な作業をやってくれてる蓬莱を見てると罪悪感も沸く。

「不知火ちゃん!さ、皿洗いしてくれてるの!?」

 ちゃん付け止めろよ。恥ずかしいだろうが。

「別にしなくてもいいのに…私から不知火ちゃんの世話を取ると何が残るって言うの!!」

 皿洗いしただけでこの始末。て言うか色々残ると思うぞー。


 蓬莱の分の皿洗いも終わり、本棚で本を選ぶ。って言っても大体読み終わってしまった物ばかり。

 Am○zonとかで注文すれば3時間以内に届くが-------

「~~~♪」

 蓬莱の方を見て考える。優柔不断じゃない奴はここでバシッ、と決められるんだろうが俺は悩むんだよ。

 1:蓬莱を誘い、一緒に本屋に行くか。

 2:注文し、このまま寮にいるか。

 はぁ、と溜め息を尽く。

「ほ、蓬莱……」

「はーい、何でしょう聖様?」

 こいつ。いい加減呼び方統一しろって。

「あ、あの一緒に本屋行かないか?」

 おっしゃ!言えた!人生で一言は言ってみたいリストの『一緒に○○行かないか?』が言えた!

 顔こそ無表情だが、俺は物凄く歓喜に溢れてる。

 てか、その顔なんだ。気の抜けた表情して。長引くほど答えを聞くのが怖くなる。

「はっ!?不知火君に誘ってもらえる何て嬉しすぎて呆然としてた!ありがとうございましゅ!本屋ですよね!?早

速着替えして参ります!!」

 う~ん。噛んだところも可愛かったな。俺も着替えよ。


 着替え終わって、靴を履きドアを開ける。

「待ってました!さ、行きましょ!」

 今回は、黒の------ドレス!?

 おーー高校生とは思えないかっこよさ、華やかさ。いつも髪はロングヘアーだったがポニーテールにしてあ

る。うなじが余計にセクシーに感じる。

 腕を引っ張ってくるが実った果実が当たる。理性が吹っ飛ぶっての。

「不知火君はいつも通りの黒のスーツですね。傍から見れば大人のカップルに見えるかもね♪」

 寮のエレベーターを使い、1階まで降りる。そこから、真っ直ぐ本屋に向かうが、

「どうみても本屋に行く服装じゃないよな……」

 それに周りの目が痛い。うわ、なにあいつ。あんな美人さんと歩くなんて場違いでしょ、何て思われてるん

だろうな。悲しみ。

 周りの目を気にして胃を痛めてると、すぐ本屋についた。

 自動ドアを通って、一旦蓬莱と別れる。

 ラノベを見て気になったシリーズを全部手に取りかごに入れる。後は、小説。様々な種類があるがここはホ

ラー系を買おう。『花嫁の家』『鼻』『ハラサキ』『粘膜人間』一応これぐらいで。後は、蓬莱の買ったやつ

も見たいし。

 会計を済ませるため、並んでいる。人はやっぱり怖いな。目の前に居るだけで畏縮しちゃう。

「次のお客様どうぞ~」

「あっ……はいすみません……」

 めっちゃ泣きたい。誰か俺を慰めて。

 はぁ、会計は済んだし蓬莱を待ってよ。

ドンッ

「あいたっ!!」

「あ、、ごめんなさい……」

 あーぶつかった。ヤバイどうしよう。殴れた方がいいかな?相手の機嫌を損ねちゃ駄目だしな。

「あ、あの……どう、ぞ。」

「………え?」

 え?じゃないだろう。てか、こいつちっこいな。俺のみぞおち辺りしかないぞ伸長。

「何言ってるの?どうぞってどうゆうこと?」

 この娘は言わせないといけない系か?

「ぶつかった、、ので……殴られた方が………相手の機嫌を……損ねない、から?」

「何言ってるの不知火君。」

「痛」

 頭を本で叩かないで。痛いから。

「と、ねぇ。私以外のゾウリムシ(女)となにしてたの?」

「そこの美人さん。今私のことチビって言ったでしょ?」

 言ってないだろ。

「言ってないわよ。難聴かしら?」

「難聴じゃないわよ!今、ゾウリムシって言ったじゃん!」

 そっからチビに変換するのは何故だろう。

「ねぇ、不知火君。このチビ馬鹿だと思うわ。」

「馬鹿じゃないもん!ちゃんと科学推薦で入ったぐらい頭良いもん!」

 こいつ今何て言った。
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