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第6話 見学 中編
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「はう~、まだ足がジンジンします」
私は、まだほのかに痛みの残る足を踏み出して言う。
「だなー」
律さんもまだ足は痛そうです。
私たちは、茶道部の部活動見学を終えて次の文芸部へと向かっています。
文芸部は図書館で活動しているため、私たちは一度グラウンドに出て私たちの教室がある第四教棟に行っています。
「外はー、陸上部が使ってるんですねー」
「……他の運動部が見当たらない」
柚季さんの言葉につられてグラウンドを見ると、トラックを走る人、グランド中央で走り嵩跳びなどのフィールド競技の練習をする人、グラウンドの隅でバーベルを持って筋トレする人など、確かに陸上部員の姿しかありませんでした。
「まぁ、お世辞にも広いグランドとは言えないからな。確か、他の部活は校外にあるグランドで練習してるみたいだよ」
「そうなんですか」
「……部活見学に行くのも一苦労だ」
「確かにな。校内だけ回るのでコレだから」
律さんは、ビッと自分の足を指します。
「そうですね~。やっぱり痛いです」
「そういえばー、屋内の運動部もそんな感じじゃなかったー?」
「えっ! そうなんですか。足痛いです~」
「大丈夫。確かに屋内の部活動は、日替わりで体育館を使用してるけど、今日はバレー部が使用してるのちゃんと確認してるから、校外に出て行かなくていいよ」
「よかったです」
そうこうしている内に、第四教棟にある図書館の前に着きました。
「図書館に入るのって少し勇気いりません?」
「……んっ」
「確かに」
「独特な雰囲気を感じますー」
そうやって私たちが図書館前で立ち往生していると、図書館のドアが急に開きました。
「もしかして部活動見学で来た子たちかな」
「あっ、はい。そうです」
「やっぱりー。この時期図書館前で入れずにいる子が多いからそうなんじゃないかって思ったんだよ」
柚季さん程じゃないけど、おっとりした優しそうな先輩に誘われて、私たちは図書館に入りました。
「思ったより和気あいあいとした部活動なんですね」
図書館――もっと言えば文芸部のイメージとは違って、部員達は仲がよさそうにおしゃべりをしていました。おしゃべりをしていると言っても、パソコンやタブレットで作業をしている人や、ノートや原稿用紙を広げている人、大量の本を積み重ねている人など、きちんと作業を進めている。
「そうだね。うちは基本的に楽しくやってる感じだから。提出ノルマも厳しくないしゆる~く活動している感じかな」
「へー、そういうスタイルの部活もあるんだな」
「……これ」
夕奈さんは、手作り感のある本を手に持ってきました。
「あー、それはうちが作ってる部誌だよ」
「わー、可愛いイラストですねー」
「イラストだけじゃなくて、小説や詩、俳句なんかも載ってるから是非読んで見てね」
「はい」
文芸部の見学は、初めに会った先輩が優しく教えてくれたから、楽しく見学することが出来ました。
「そろそろ行くか」
「そうですね。もう一か所回る場所がありますし」
「そう? もしよければまた来てね」
先輩は出口まで見送りに来てくれました。
「次は、バレー部ですね」
「そうだな」
「スポーツは苦手ですー」
「まぁ、着替えてないし見るだけだと思うから大丈夫だよ」
「………」
「夕奈さん?」
気づけば、図書館を出たばかりの所で夕奈さんは立ち止まっていました。
先輩はなぜか動かない夕奈ちゃんに少しオロオロしています。
「……リッちゃん、あたしここで待つ」
私は、まだほのかに痛みの残る足を踏み出して言う。
「だなー」
律さんもまだ足は痛そうです。
私たちは、茶道部の部活動見学を終えて次の文芸部へと向かっています。
文芸部は図書館で活動しているため、私たちは一度グラウンドに出て私たちの教室がある第四教棟に行っています。
「外はー、陸上部が使ってるんですねー」
「……他の運動部が見当たらない」
柚季さんの言葉につられてグラウンドを見ると、トラックを走る人、グランド中央で走り嵩跳びなどのフィールド競技の練習をする人、グラウンドの隅でバーベルを持って筋トレする人など、確かに陸上部員の姿しかありませんでした。
「まぁ、お世辞にも広いグランドとは言えないからな。確か、他の部活は校外にあるグランドで練習してるみたいだよ」
「そうなんですか」
「……部活見学に行くのも一苦労だ」
「確かにな。校内だけ回るのでコレだから」
律さんは、ビッと自分の足を指します。
「そうですね~。やっぱり痛いです」
「そういえばー、屋内の運動部もそんな感じじゃなかったー?」
「えっ! そうなんですか。足痛いです~」
「大丈夫。確かに屋内の部活動は、日替わりで体育館を使用してるけど、今日はバレー部が使用してるのちゃんと確認してるから、校外に出て行かなくていいよ」
「よかったです」
そうこうしている内に、第四教棟にある図書館の前に着きました。
「図書館に入るのって少し勇気いりません?」
「……んっ」
「確かに」
「独特な雰囲気を感じますー」
そうやって私たちが図書館前で立ち往生していると、図書館のドアが急に開きました。
「もしかして部活動見学で来た子たちかな」
「あっ、はい。そうです」
「やっぱりー。この時期図書館前で入れずにいる子が多いからそうなんじゃないかって思ったんだよ」
柚季さん程じゃないけど、おっとりした優しそうな先輩に誘われて、私たちは図書館に入りました。
「思ったより和気あいあいとした部活動なんですね」
図書館――もっと言えば文芸部のイメージとは違って、部員達は仲がよさそうにおしゃべりをしていました。おしゃべりをしていると言っても、パソコンやタブレットで作業をしている人や、ノートや原稿用紙を広げている人、大量の本を積み重ねている人など、きちんと作業を進めている。
「そうだね。うちは基本的に楽しくやってる感じだから。提出ノルマも厳しくないしゆる~く活動している感じかな」
「へー、そういうスタイルの部活もあるんだな」
「……これ」
夕奈さんは、手作り感のある本を手に持ってきました。
「あー、それはうちが作ってる部誌だよ」
「わー、可愛いイラストですねー」
「イラストだけじゃなくて、小説や詩、俳句なんかも載ってるから是非読んで見てね」
「はい」
文芸部の見学は、初めに会った先輩が優しく教えてくれたから、楽しく見学することが出来ました。
「そろそろ行くか」
「そうですね。もう一か所回る場所がありますし」
「そう? もしよければまた来てね」
先輩は出口まで見送りに来てくれました。
「次は、バレー部ですね」
「そうだな」
「スポーツは苦手ですー」
「まぁ、着替えてないし見るだけだと思うから大丈夫だよ」
「………」
「夕奈さん?」
気づけば、図書館を出たばかりの所で夕奈さんは立ち止まっていました。
先輩はなぜか動かない夕奈ちゃんに少しオロオロしています。
「……リッちゃん、あたしここで待つ」
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