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 この優雅にお茶を飲んでいる魔王さんに心底殴りたいと思ってしまった。

 「セシルさん、ちょっとお聞きしたいんですけど……こちらの方はどなた様ですか?」

 「こちらは魔王さまです。
 森に何度も遊びに行ったときに知り合ったのです。
 てへっ」

 こればっかりはごまかしようがないのだ。

 この人は人間と友好的で、人を襲う魔物をどうにかしたいと日々頭を抱えているのだ。

 「どうしたんですか?」

 「ああ、そうだった!!!!
 セシルを呪う魔力に我が配下の者が惹かれ、セシルを襲うと言っていたんだ」

 「そうだったんですね……知らせてくれたのはいいのですが、遅かったです」

 すでに攻撃されている。

 「そうか、すまなかったな」

 絶対すまないと思っていないですよ、この人!!!!

 毎回そうなんです!

 本当にこの人使えないんですけど!!!!

 「セシル……ひどいぞ……合いに来てくれると言いながら一度も会いに来てくれないし……」

 こいつ……くどい……

 合いに行ける場所かよ!!!

 人間と言うだけで、襲ってくる輩がいるところに何か誰が好き好んでいくか!!!!

 こいつも人の話を聞かないタイプだった。

 疲れ果て、言う気にもならなかった。

 「大丈夫か?」

 「大丈夫じゃないです」

 「魔王さま、大変失礼とは存じますが、我々が捉えた女性を確認してくださいませんか?」

 ミシェルさまは捉えた女性を確認してもらうために声をかけた。

 「ああ、先ほど確認したがあの娘ではない、あの娘はただの贄だ」

 「贄ですか……最悪ですね」

 「そうだな、今はまだこんなもんですんでいるがこれから大変だ」

 そうなのだ、贄に味を占めた魔物がどんどん流れてくる。

 そうなれば弱いものはすぐに魔物に食われてしまい、人口が減ってしまう。

 この世界が、魔物の脅威にさらされてしまう。

 

 
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