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あざとい王様に心が挫けそうになりながらもどうにかこらえた。
「危なかった……」
「よく耐えました」
「父上の一番怖いところはダメと言われるとあざとく見せてうなずかせるんです」
「それでどれだけ騙されたことか……」
「そうですよね、母上がなくなった時もジェーン様に来てもらったのも父上の我儘で実現したのですから」
「……」
「やっぱり帰りたくなってきちゃいました」
俺は上目遣いに母を見ると、母はにやりと笑い人差し指を口元に当てていった。
「そうね、こんな我儘な王様に付き合うのもいい加減うんざりだし帰りましょうか」
「この際だから領地に帰るか」
「あらいいわね」
「では荷造りを始めるように侍女たちに行ってきます」
王様は慌てて母に縋り付き、何度も何度も謝り赦してくださいと懇願した。
「こんな王様でよく国が傾かないよな」
「そこは部下が優秀ということだな」
「普段はしっかりしてるんですが、今回はかなりぶっ飛んでしまって」
「仕方ないわ、マリー以外魔力循環できないと思っていたんですもの」
「私はそれほど魔力は強くないですが、魔力の強い方はどのように魔力を発散させるのですか?」
「魔力は大小関係なく身の内に貯まるの、あまり貯まりすぎると魔力は暴走してしまうわ」
「その場合水晶に魔力を込めて魔石を作りだすんだ、そうしなければ自分だけでは済まないからね」
「周りを巻き込む魔力の暴走は危険しかないのよ」
「では、父上は魔石を毎回作りだしていたのですか?」
「彼は毎日よ」
泣いて縋り付く王様を眺める第一王子の目は少し複雑そうだった。
「それだけ相性のいい相手を見つけると手放したくなくなるのよ」
「では、父上が母上にしてきたのは暴走をさせないためにいちゃらぶしていたと」
「そこはいちゃらぶしたかっただけだから大丈夫よ」
王様は誰も聞いていないと気付くと、今度はいじけ出した。
「本当に昔から変わっていないわね」
母はうざそうに王様の頭をハリせんで叩いた。
王様にこんなことができるのは国中で母一人だろうと思う。
「危なかった……」
「よく耐えました」
「父上の一番怖いところはダメと言われるとあざとく見せてうなずかせるんです」
「それでどれだけ騙されたことか……」
「そうですよね、母上がなくなった時もジェーン様に来てもらったのも父上の我儘で実現したのですから」
「……」
「やっぱり帰りたくなってきちゃいました」
俺は上目遣いに母を見ると、母はにやりと笑い人差し指を口元に当てていった。
「そうね、こんな我儘な王様に付き合うのもいい加減うんざりだし帰りましょうか」
「この際だから領地に帰るか」
「あらいいわね」
「では荷造りを始めるように侍女たちに行ってきます」
王様は慌てて母に縋り付き、何度も何度も謝り赦してくださいと懇願した。
「こんな王様でよく国が傾かないよな」
「そこは部下が優秀ということだな」
「普段はしっかりしてるんですが、今回はかなりぶっ飛んでしまって」
「仕方ないわ、マリー以外魔力循環できないと思っていたんですもの」
「私はそれほど魔力は強くないですが、魔力の強い方はどのように魔力を発散させるのですか?」
「魔力は大小関係なく身の内に貯まるの、あまり貯まりすぎると魔力は暴走してしまうわ」
「その場合水晶に魔力を込めて魔石を作りだすんだ、そうしなければ自分だけでは済まないからね」
「周りを巻き込む魔力の暴走は危険しかないのよ」
「では、父上は魔石を毎回作りだしていたのですか?」
「彼は毎日よ」
泣いて縋り付く王様を眺める第一王子の目は少し複雑そうだった。
「それだけ相性のいい相手を見つけると手放したくなくなるのよ」
「では、父上が母上にしてきたのは暴走をさせないためにいちゃらぶしていたと」
「そこはいちゃらぶしたかっただけだから大丈夫よ」
王様は誰も聞いていないと気付くと、今度はいじけ出した。
「本当に昔から変わっていないわね」
母はうざそうに王様の頭をハリせんで叩いた。
王様にこんなことができるのは国中で母一人だろうと思う。
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