上 下
2 / 22

2

しおりを挟む
 女の足ではかなりあった。

 家を追い出されてから早一週間……まだ着かないのだ。

 「何でこんなに遠いのよ!!!!!!!」

 人の目があるからと飛行術を使うことができなので、こうして歩いているのだ。

 それだって普通の人が歩く倍の速さで歩いてるんだよ!!!!!

 それなのに着かないってどんだけ遠いいんだ!!!!!

 私は少し休憩をするとまた歩き出したのだ。

 さらに一週間ようやく着きました。

 二週間もかかるなんて……普通に行けば一か月以上かかる道のりだよね。

 身支度を整え領主さまに合いに行った。

 領主さまは私が家を出ていることを知っていて、訪ねただけで領主さまのところまで案内してくれた。

 「ようやく決別の意思が固まったんだね」

 「はい、いくら持ち返したからとすぐに贅沢するなんて……少しは協力してくれた領民を大切にしてもらいたかったです」

 「そうだね、少しやつれたんじゃないか?
 当分はゆっくり休みなさい、君は頑張りすぎたよ」

 領主さまは私の頭を撫でてくれた。

 そんなに年は変わらないが、けして恋愛対象としては見てもらえていないのは確かなのだ。

 「わかりました。
 後のことはよろしくお願いします」

 深々と頭を下げ部屋を後にした。

 領主さまの思い人は妹だ。

 口ではああやって言っているが……口うるさい人間がいなくなることを何より喜んでいる。

 私はどうなってもいいから、領民さえ無事に過ごせればと思いここまで来た。

 これで私の役目も終わる。

 ここは他の領地から見たらとても大きく町も整備されているのでギルドもきちんとあった。

 「すみません。登録お願いします」

 「登録ですね、冒険ギルドと商業ギルドがありますがどうしますか?」

 「両方お願いします」

 私は両方登録し、当面の生活費に自作のポーションのを売った。

 以前領地に来た冒険者に作り方を教えてもらい毎年作って、領民に渡していたのだ。

 ケガをしてもケガを見てくれる医師はいない、頼み込み教えてもらった。

 それからかかさずに作っていたのだ。

 それを数本売るとかなりのいいお値段になった。

 「こんなにですか?」

 「はい、誰に教えてもらったか知りませんが、随分と性能の良いポーションです。
 出来れば定期的に卸してもらえるとありがたいのですが……」

 「大丈夫です!!!!
 ありがとうございます!!!!

 いきなり手元に大金が舞い込み焦ったが、ギルドに預けると変わったブレスレットを渡された。

 「これにはあなたの情報が入ってます。
 これを買い物したお店でかざすと精算することができますので、現金を持たなくても大丈夫です」

 「便利ですね、これで心置きなく仕事に取り組めますね」

 「ただ気を付けてくださいね、よからぬことを考えている輩はたくさんいます。
 どうもあなたは先ほどから、見張られている気がしますので……どうしますか?
 目くらましぐらいならできますよ」

 「ありがとうございます。
 見張っている人間に心当たりがあります。
 ここの領主は少々恋愛ボケしてしまったようですね」

 「……マスターも勧告してました。
 妹はろくな人間じゃないと……でも一度も得たものは中々沈下しないものですね」

 「同感です。
 あの子の言いなりになって色々買いあさっていればいつかは……」

 「そうですね、とりあえず裏から逃げてください」

 「ありがとうございます」

 結界を張り声が漏れないようにしてから、喋っていたので大丈夫だと思うが受付嬢がいい人で良かった。

 「では、すべての手続きは終了しました。
 マスターより今後の活動についてお話がありますので中にお入りください」

 私は言われるがままに中に入った。

 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹に出ていけと言われたので守護霊を全員引き連れて出ていきます

兎屋亀吉
恋愛
ヨナーク伯爵家の令嬢アリシアは幼い頃に顔に大怪我を負ってから、霊を視認し使役する能力を身に着けていた。顔の傷によって政略結婚の駒としては使えなくなってしまったアリシアは当然のように冷遇されたが、アリシアを守る守護霊の力によって生活はどんどん豊かになっていった。しかしそんなある日、アリシアの父アビゲイルが亡くなる。次に伯爵家当主となったのはアリシアの妹ミーシャのところに婿入りしていたケインという男。ミーシャとケインはアリシアのことを邪魔に思っており、アリシアは着の身着のままの状態で伯爵家から放り出されてしまう。そこからヨナーク伯爵家の没落が始まった。

私のことなど、どうぞお忘れくださいませ。こちらはこちらで幸せに暮らします

東金 豆果
恋愛
伯爵令嬢シャーロットは10歳の誕生日に魔法のブローチを貰うはずだった。しかし、ブローチは、父と母が溺愛していた妹に与えられた。何も貰うことができず魔法を使うことすら許されないという貴族の娘としてはありえない待遇だった。 その後、妹メアリーの策略で、父と母からも無視されるようになり、追いやられるように魔法学園に通うことになったシャーロット。魔法が使えないと思われていたシャーロットだったが、実は強大な魔力を秘めており… さらに学園に通ったことが王族や王子とも出会うきっかけになり…

私のことが大嫌いらしい婚約者に婚約破棄を告げてみた結果。

夢風 月
恋愛
 カルディア王国公爵家令嬢シャルロットには7歳の時から婚約者がいたが、何故かその相手である第二王子から酷く嫌われていた。  顔を合わせれば睨まれ、嫌味を言われ、周囲の貴族達からは哀れみの目を向けられる日々。  我慢の限界を迎えたシャルロットは、両親と国王を脅……説得して、自分たちの婚約を解消させた。  そしてパーティーにて、いつものように冷たい態度をとる婚約者にこう言い放つ。 「私と殿下の婚約は解消されました。今までありがとうございました!」  そうして笑顔でパーティー会場を後にしたシャルロットだったが……次の日から何故か婚約を解消したはずのキースが家に押しかけてくるようになった。 「なんで今更元婚約者の私に会いに来るんですか!?」 「……好きだからだ」 「……はい?」  いろんな意味でたくましい公爵令嬢と、不器用すぎる王子との恋物語──。 ※タグをよくご確認ください※

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~

Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。 そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。 「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」 ※ご都合主義、ふんわり設定です ※小説家になろう様にも掲載しています

【本編完結】はい、かしこまりました。婚約破棄了承いたします。

はゆりか
恋愛
「お前との婚約は破棄させもらう」 「破棄…ですか?マルク様が望んだ婚約だったと思いますが?」 「お前のその人形の様な態度は懲り懲りだ。俺は真実の愛に目覚めたのだ。だからこの婚約は無かったことにする」 「ああ…なるほど。わかりました」 皆が賑わう昼食時の学食。 私、カロリーナ・ミスドナはこの国の第2王子で婚約者のマルク様から婚約破棄を言い渡された。 マルク様は自分のやっている事に酔っているみたいですが、貴方がこれから経験する未来は地獄ですよ。 全くこの人は… 全て仕組まれた事だと知らずに幸せものですね。

どーでもいいからさっさと勘当して

恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。 妹に婚約者?あたしの婚約者だった人? 姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。 うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。 ※ザマアに期待しないでください

裏切りのその後 〜現実を目の当たりにした令嬢の行動〜

AliceJoker
恋愛
卒業パーティの夜 私はちょっと外の空気を吸おうとベランダに出た。 だがベランダに出た途端、私は見てはいけない物を見てしまった。 そう、私の婚約者と親友が愛を囁いて抱き合ってるとこを… ____________________________________________________ ゆるふわ(?)設定です。 浮気ものの話を自分なりにアレンジしたものです! 2つのエンドがあります。 本格的なざまぁは他視点からです。 *別視点読まなくても大丈夫です!本編とエンドは繋がってます! *別視点はざまぁ専用です! 小説家になろうにも掲載しています。 HOT14位 (2020.09.16) HOT1位 (2020.09.17-18) 恋愛1位(2020.09.17 - 20)

処理中です...