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6 侯爵&陛下1
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これはある日の昼下がりのことです。
王宮のある一室で陛下と侯爵家当主が話していた。
「お前の言っていたリリア嬢は今年デビューじゃなかったけ?」
「……あの馬鹿姉が、リリアの為に用意したドレスを自分のだと思い込み、堂々と着てきたおかげでリリアは出れなかったんですよ!!!!!!」
「ああ、確かにいたな……清楚なドレスにも関わらず、顔はやたらと化粧で誤魔化しているのが、あれがそうか随分と図々しい輩だな」
「リリアの為のドレスをダメにしやがったんだ。
それ相応の罰は与えないといけませんよね?
あれは、自分が美しいと本当に思い込んでいるみたいですよ」
「確かにあれはないな」
「親友の頼みだから親切な態度で接してやっているのに、何勘違いしてるんだか……」
「あいつはどうなんだ?」
「時折もとに戻るが……魔石の効力が切れてきてるようで……
そろそろ新しい魔石に取り換えないとやばいな……」
俺たちはため息を付いた。
俺と陛下と王妃は同級生だ。
その中に後もう一人いるのだが……そいつは今……
俺たちは六歳から学園で一緒に学び、一緒に遊び兎に角仲が良かった。
あいつの家に赤ん坊が生まれ、とにかくかわいいから見に来てくれと言われ見に行ったこともある。
兄バカだろうと思っていたが、本当に天使のようだったのだ。
それから俺たちは赤ちゃんを見に行くようになり、なお一層仲良くなった時それは起こった。
友達の伯爵家のお茶会に招待され、渋々行くと親友がリリアを抱っこして談笑していたのだ。
俺も近づき挨拶しに行こうとした時、ローザ嬢がリリアを親友からひったくると二階の窓から放り投げようとしたのだ。
その時ばかりは周りの大人たちも騒然となり、あちらこちらで悲鳴が聞こえた。
素早く対処してくれたのはお茶会の主催者の長男で、俺たちと同学年の俺のライバルがリリアを助け、ローザ嬢をを叩いてくれたのだ。
リリアにケガがなかったのが不幸中の幸いだった。
あの時は今思い出しても肝が冷える思いだ。
俺たちは十二歳になり、来年寮生活が始まろうとしていた時、親友のウィリアムから相談されたのだ。
俺は話を聞きながら、寒気を覚えた。
とりあえず使用人とウィリアム用に状態異常回復の魔石を用意し、何とかリリアの最低限の生活を確保させた。
ウィリアムの両親にも魔石を用意し付けさせたが、かなり強い魔道具らしく中々回復には至らなかった。
ウィリアムも寮にいる時は良かったが、長い休みになり実家に戻ると、頭ではわかっているのに逆らうことができずにリリアを虐めてしまったと、後悔し泣いていたぐらいだ。
ウィリアムに聞くとローズ嬢からは甘ったるい匂いがするのだそうだ。
俺たちはリリアを守るためにできうる限りのツテと権力を使い、それの正体を探したのだ。
王宮のある一室で陛下と侯爵家当主が話していた。
「お前の言っていたリリア嬢は今年デビューじゃなかったけ?」
「……あの馬鹿姉が、リリアの為に用意したドレスを自分のだと思い込み、堂々と着てきたおかげでリリアは出れなかったんですよ!!!!!!」
「ああ、確かにいたな……清楚なドレスにも関わらず、顔はやたらと化粧で誤魔化しているのが、あれがそうか随分と図々しい輩だな」
「リリアの為のドレスをダメにしやがったんだ。
それ相応の罰は与えないといけませんよね?
あれは、自分が美しいと本当に思い込んでいるみたいですよ」
「確かにあれはないな」
「親友の頼みだから親切な態度で接してやっているのに、何勘違いしてるんだか……」
「あいつはどうなんだ?」
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そろそろ新しい魔石に取り換えないとやばいな……」
俺たちはため息を付いた。
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俺も近づき挨拶しに行こうとした時、ローザ嬢がリリアを親友からひったくると二階の窓から放り投げようとしたのだ。
その時ばかりは周りの大人たちも騒然となり、あちらこちらで悲鳴が聞こえた。
素早く対処してくれたのはお茶会の主催者の長男で、俺たちと同学年の俺のライバルがリリアを助け、ローザ嬢をを叩いてくれたのだ。
リリアにケガがなかったのが不幸中の幸いだった。
あの時は今思い出しても肝が冷える思いだ。
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俺は話を聞きながら、寒気を覚えた。
とりあえず使用人とウィリアム用に状態異常回復の魔石を用意し、何とかリリアの最低限の生活を確保させた。
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ウィリアムに聞くとローズ嬢からは甘ったるい匂いがするのだそうだ。
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