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プロローグ
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私が目的の場所に行くとすでに相手は来ていた。
私を見るなり睨みつけすごく嫌そうな顔をしてこちらを見てくる。
彼は意を消したように私に言ってきた。
「本当にいいのか?」
「次期侯爵さまにはかわいい婚約者様がいらっしゃいます。
婚約者様の悲しむ顔は見たくありませんでしょ?
それに次期侯爵さまは跡継ぎなのですよ。」
「それはそうだが……」
「その点わたしなら、婚約者もいないし……私に親しい友人や知人はいないので大丈夫ですよ」
「そんなはずは!!!!
あんなに皆と楽しくやっていたではないか!!!!」
「楽しくですか……
あの後わたしは階段から突き落とされ全治一か月でした」
「そんな知らせはきていない」
「そりゃーそうでしょ。
わたしの学年には第一王子がいたのですよ。
わたしを突き落とすよう命じたのは王子ですから先生たちも何もいえません」
私が次期侯爵さまと言っているが彼はれっきとした私の実兄であるが、お兄さまはそれはそれは厳しい人で、特に出来の悪い私には人一倍厳しかった、まずは他の姉弟がお兄さまと言って抱き着けばそれはそれは嬉しそうに彼らを抱き止め笑いあっているが、私が同じことをすれば気絶するまで殴られてしまうぐらい私は嫌われているのだ。何がきっかけなど私は覚えていないけど、乳母たちの話や執事たちの話を要約すると三歳になったお姉さまが私に虐められたというようなことを言ったのが原因らしいけど……乳母たちはそれはあり得ないと言う。
彼女が私に虐められたと言った時私はまだ一歳になったばかりで言葉も話していない次期だったのだ。けど何故かそれは浸透してしまっている。
物心つく頃にはわたしの部屋は外にある小屋で食事も一日一回もらえるかどうかだった。
見かねた周りの人間がわたしに救いの手を差し伸べてくれたのだ。
執事は勉強を侯爵家の騎士の方たちははわたしに剣術を教えてくれ、侍女たちは礼儀やマナーなどを教えてくれた。
そのおかげで、冒険者ギルドに入れる年齢になるとすぐに入り、お金を稼ぎお腹いっぱい食べることができた。
そんなこともあり、学校に入る年になるとおのずと騎士科に入学していたのだが。
それを聞いた両親は何も言わなかったと執事が言っていたので呆れているのだろう。
「……大丈夫です。一人は慣れてます。
学年も学科も違う私がわざわざ姉に合いに行き姉を罵ったと……」
「そんなの今に始まったことじゃないだろ、お前はすぐにあの子の物を欲しがる」
「わたしが通う騎士科からお姉さまの通う学園まで徒歩で一時間かかるのにそれでもわたしが罵ったと言われ、姉の部屋を調べてください。私の部屋は裏庭にある物置小屋です」
「そんなわけないだろ!!!!!」
何をいまさら怒鳴る必要がある。
「一緒に食事をしたことが一度もないのに……」
「……それは」
姉の婚約者はこの国の第一王子様で、姉のつく嘘を鵜呑みにし親しくしてくれていたのにある日突然私を突き放したのだ。
今更何を言っても信じてもらえるはずもなく甘んじて彼らの暴言を受け入れた。
石を投げられるだけならいざ知らず階段から突き落とされたこともある。
そんな時お兄さまに来た戦地招集命令に私が赴くことにしたのだ。
そうすれば誰も傷つかずに済むし、私が死んでも誰も悲しまないと思ったからだ。
「……もしそれが本当であれば……」
「今更です。どこの世界に一歳になったばかりの子が三歳の姉を虐めるんですか?本館に入れてもらえない私がどうやってお姉さまの物を取り上げるのですか?
「それは……」
「それでもすべてわたしが悪いとののしってきたのに今更です」
「帰還を待っているぞ」
「……ありがとうございます。
でも誰も望んでません。私が生きて帰ることを……」
「……」
私は兄と別れ騎士の宿舎に戻った。
明日出発する為の準備といらない物の処分をするためだ。
長年住み慣れた宿舎だが物は少ない。
だからすぐに終わってしまうがそれでも戻ることのない部屋を次に入る人の為にきれいにした。
私を見るなり睨みつけすごく嫌そうな顔をしてこちらを見てくる。
彼は意を消したように私に言ってきた。
「本当にいいのか?」
「次期侯爵さまにはかわいい婚約者様がいらっしゃいます。
婚約者様の悲しむ顔は見たくありませんでしょ?
それに次期侯爵さまは跡継ぎなのですよ。」
「それはそうだが……」
「その点わたしなら、婚約者もいないし……私に親しい友人や知人はいないので大丈夫ですよ」
「そんなはずは!!!!
あんなに皆と楽しくやっていたではないか!!!!」
「楽しくですか……
あの後わたしは階段から突き落とされ全治一か月でした」
「そんな知らせはきていない」
「そりゃーそうでしょ。
わたしの学年には第一王子がいたのですよ。
わたしを突き落とすよう命じたのは王子ですから先生たちも何もいえません」
私が次期侯爵さまと言っているが彼はれっきとした私の実兄であるが、お兄さまはそれはそれは厳しい人で、特に出来の悪い私には人一倍厳しかった、まずは他の姉弟がお兄さまと言って抱き着けばそれはそれは嬉しそうに彼らを抱き止め笑いあっているが、私が同じことをすれば気絶するまで殴られてしまうぐらい私は嫌われているのだ。何がきっかけなど私は覚えていないけど、乳母たちの話や執事たちの話を要約すると三歳になったお姉さまが私に虐められたというようなことを言ったのが原因らしいけど……乳母たちはそれはあり得ないと言う。
彼女が私に虐められたと言った時私はまだ一歳になったばかりで言葉も話していない次期だったのだ。けど何故かそれは浸透してしまっている。
物心つく頃にはわたしの部屋は外にある小屋で食事も一日一回もらえるかどうかだった。
見かねた周りの人間がわたしに救いの手を差し伸べてくれたのだ。
執事は勉強を侯爵家の騎士の方たちははわたしに剣術を教えてくれ、侍女たちは礼儀やマナーなどを教えてくれた。
そのおかげで、冒険者ギルドに入れる年齢になるとすぐに入り、お金を稼ぎお腹いっぱい食べることができた。
そんなこともあり、学校に入る年になるとおのずと騎士科に入学していたのだが。
それを聞いた両親は何も言わなかったと執事が言っていたので呆れているのだろう。
「……大丈夫です。一人は慣れてます。
学年も学科も違う私がわざわざ姉に合いに行き姉を罵ったと……」
「そんなの今に始まったことじゃないだろ、お前はすぐにあの子の物を欲しがる」
「わたしが通う騎士科からお姉さまの通う学園まで徒歩で一時間かかるのにそれでもわたしが罵ったと言われ、姉の部屋を調べてください。私の部屋は裏庭にある物置小屋です」
「そんなわけないだろ!!!!!」
何をいまさら怒鳴る必要がある。
「一緒に食事をしたことが一度もないのに……」
「……それは」
姉の婚約者はこの国の第一王子様で、姉のつく嘘を鵜呑みにし親しくしてくれていたのにある日突然私を突き放したのだ。
今更何を言っても信じてもらえるはずもなく甘んじて彼らの暴言を受け入れた。
石を投げられるだけならいざ知らず階段から突き落とされたこともある。
そんな時お兄さまに来た戦地招集命令に私が赴くことにしたのだ。
そうすれば誰も傷つかずに済むし、私が死んでも誰も悲しまないと思ったからだ。
「……もしそれが本当であれば……」
「今更です。どこの世界に一歳になったばかりの子が三歳の姉を虐めるんですか?本館に入れてもらえない私がどうやってお姉さまの物を取り上げるのですか?
「それは……」
「それでもすべてわたしが悪いとののしってきたのに今更です」
「帰還を待っているぞ」
「……ありがとうございます。
でも誰も望んでません。私が生きて帰ることを……」
「……」
私は兄と別れ騎士の宿舎に戻った。
明日出発する為の準備といらない物の処分をするためだ。
長年住み慣れた宿舎だが物は少ない。
だからすぐに終わってしまうがそれでも戻ることのない部屋を次に入る人の為にきれいにした。
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