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サーシャは城に戻ってから何度も抜け出したが、そのたびにすぐに見つかり連れ戻された。
連れ戻されるとその日の夜は朝まで抱かれて解放されればいいが、何日も寝室から出してもらえずに食事以外はずっと抱かれっぱなしということもあった。
そのおかげかはわからないが、サーシャを城に連れ戻してから早や八か月が過ぎ懐妊したと報告が来た。
初めての時と違い体に変化が現れなかったのもあり気づくのに時間がかかったが、母子ともに順調だと言う。
「楽しみだよ」
「……何が楽しみなんですか?」
「これで子育てに参加できるだろ」
「乳母をつけるんじゃないんですか?」
「つけるわけないだろ、俺も母上も育てる気満々なんだからな」
「当たり前だろ、前回は育て損ねたけど今度こそこの手でわが子を抱きたいんだ」
「レオン様に似ていないかもしれませんよ?」
「それでもみんなの子供だからな、誰の子でもサーシャが産んだことには変わりないだろ」
そこまで言われてしまえば他に言う言葉が見つからず、大人しくのんびりと過ごすことにした。
レオン殿下たちは大変だった。
サーシャ殺害を企てた容疑者から実行犯に至るまで一斉に検挙したのだ。
その中には町でゼンさんやジンさんと噂されていた女性も含まれていた。
かなりの騒動になったようで、いまだに城下はその話で持ちきりだった。
「どうにか一網打尽にできたが、まだ油断はできないんだ」
「そうですか、でもこれで少しは安心して眠れます」
「そういってくれると嬉しいよ」
「……お聞きしてもいいですか?」
「何かな?」
「王宮はいつ侍女を入れ替えましたか?」
「入れ替えたという知らせは……」
「このまま聞いてください。
私の食事に毒が仕込まれています」
「なっ!」
大声を出そうとしたレオン殿下の口をふさぐと続けた。
「浄化魔法で無効にしてから食してますので大丈夫ですが、私の体に異変が現れないのを不審に思って仕掛けてくるかもしれませんのでよろしくお願いします」
「……わかった」
「レオン様はお仕事お忙しいのならだれかこちらに来ていただけませんか?」
「わかったよ、ダークとリュークを向かわせるから安心してくれ」
「最近一人寝がさみしいんです良かった」
手を合わせ、心底安心したように言った。
そうすれば犯人もあせって出てくるだろうと見込んで、罠を仕掛ける。
後は犯人が罠にかかってくれるのを待つだけだ。
もちろんかかるのがわかって仕掛けたものだからすぐに効果は表れるのは仕方ないことだが、もう少し歯ごたえがないとつまらないと思うのであった。
連れ戻されるとその日の夜は朝まで抱かれて解放されればいいが、何日も寝室から出してもらえずに食事以外はずっと抱かれっぱなしということもあった。
そのおかげかはわからないが、サーシャを城に連れ戻してから早や八か月が過ぎ懐妊したと報告が来た。
初めての時と違い体に変化が現れなかったのもあり気づくのに時間がかかったが、母子ともに順調だと言う。
「楽しみだよ」
「……何が楽しみなんですか?」
「これで子育てに参加できるだろ」
「乳母をつけるんじゃないんですか?」
「つけるわけないだろ、俺も母上も育てる気満々なんだからな」
「当たり前だろ、前回は育て損ねたけど今度こそこの手でわが子を抱きたいんだ」
「レオン様に似ていないかもしれませんよ?」
「それでもみんなの子供だからな、誰の子でもサーシャが産んだことには変わりないだろ」
そこまで言われてしまえば他に言う言葉が見つからず、大人しくのんびりと過ごすことにした。
レオン殿下たちは大変だった。
サーシャ殺害を企てた容疑者から実行犯に至るまで一斉に検挙したのだ。
その中には町でゼンさんやジンさんと噂されていた女性も含まれていた。
かなりの騒動になったようで、いまだに城下はその話で持ちきりだった。
「どうにか一網打尽にできたが、まだ油断はできないんだ」
「そうですか、でもこれで少しは安心して眠れます」
「そういってくれると嬉しいよ」
「……お聞きしてもいいですか?」
「何かな?」
「王宮はいつ侍女を入れ替えましたか?」
「入れ替えたという知らせは……」
「このまま聞いてください。
私の食事に毒が仕込まれています」
「なっ!」
大声を出そうとしたレオン殿下の口をふさぐと続けた。
「浄化魔法で無効にしてから食してますので大丈夫ですが、私の体に異変が現れないのを不審に思って仕掛けてくるかもしれませんのでよろしくお願いします」
「……わかった」
「レオン様はお仕事お忙しいのならだれかこちらに来ていただけませんか?」
「わかったよ、ダークとリュークを向かわせるから安心してくれ」
「最近一人寝がさみしいんです良かった」
手を合わせ、心底安心したように言った。
そうすれば犯人もあせって出てくるだろうと見込んで、罠を仕掛ける。
後は犯人が罠にかかってくれるのを待つだけだ。
もちろんかかるのがわかって仕掛けたものだからすぐに効果は表れるのは仕方ないことだが、もう少し歯ごたえがないとつまらないと思うのであった。
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