【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

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　久々に訪ねた実家は、私がいたころとは打って変わって薄暗く、本当にここで生活している人間がいるのかと思ってしまうぐらいだった。

　出迎えてくれた執事もどこか目の焦点が合っていない、何より部屋に充満するこの匂いに嗅ぎ覚えがあった。

　「手分けして窓を開けていってください！！！」

　一緒に来ていたザンザたちに頼み、部屋に残る匂いを消すために窓を開け、執事にブレスレットをはめた。

　リーフが修道院に入ったから一件落着とばかりに状態異常回復のブレスレットを外していたのあだとなった。

　やはり苦しみだしたのだ。

　私たちは、屋敷の者たちにブレスレットを装着させていき、正常に戻していったのだ。

　屋敷のどこを探してもお父様と、伯母さまが見当たらないのだ。

　ようやく意識を回復した執事が慌ててかけて来たのだ。

　「旦那様と奥様は新婚旅行だからと隣の国に出かけて行ってます」

　「この状況になったのはどれぐらいからなの？」

　「私の覚えている限りではお嬢様が屋敷をお出になってからすぐだったと思います」

　「……ずいぶんと用心深い人だったのね」

　「とにかく、屋敷の使用人たちは皆正常に戻ったし、屋敷のあっちこっちにの魔石を埋め込んで、これ以上の被害はでないと思うぞ」

　「油断してしまいました。
　リーフさまに薬で操られていたので、まさか同じことをしてくるとは思いませんでした」

　「油断させるのが狙いだったんだろ」

　「それにしても……まさか夢の通りまさか他の国にターゲットを変えたのかしら、そうすると新婚旅行に行った国で何かやらかすかもしれないわね」

　そう思うが、それ以上は何もできない。

　キースさまに連絡すればいいのかもしれないけど……一緒に歩いていた人が誰かわからない以上は無理だ。

　悔しかった。

　魔女の正体を突き止めたのにそれ以上のことができないのが……

　「一応、屋敷だけでも正常に戻ったんだ、今はそれでよしとしよう」

　私たちは実家から自宅に戻った。

　それ以上のことができない自分が情けなかった。