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 キースさまにエスコートされ会場に入ると、すでに着いていたのかセーラ様がいた。

 「アリス、きれいよ」

 「セーラ様はさらに磨きがかかって女神です!!!!」

 「アリスは嬉しいことを言ってくれるのね」

 セーラ様と私は和気藹々と話していると、次々に会場入りした令嬢たちも輪に入り一足先に盛り上がっていた。

 時間となり卒業パーティーは始まったのだ。

 私は嬉しかった。

 本当であれば私はここには立っていない。

 能力のお陰で回避することができ、未来を歩いていけるのだ。

 周りの人に恵まれ、理解してくれる父がいたからこそなしえたことだ。

 感謝してもしきれない。

 今のところ夢見の夢は見ていないので、このまま自分の思う道を進めばいいと思う。

 今の夢はアリスティア商会を大きくして、領地の人たちが少しでも裕福に暮らせるようになればと思っている。

 優しい領民の皆が幸せに暮らせる領地を目指したい。

 お父様も再婚し子供ができたと言っていたので、もしその子が男の子なら領地も安泰だ。

 そうすれば私はわらなる夢に向かって歩めばいいと思っているのだ。

 色々な魔道具を皆と一緒に開発し、暮らしやすい世の中にしたいのだ。

 彼らと一緒に歩む未来もいいと思っている。

 彼らに結婚はしないのかと聞いたことがある。

 彼らは商会と結婚したので要らないと言われてしまったのだ。

 言っている意味が分からないのだが、両親は彼らに私のことを頼むと言っていたのだ。

 本当に意味が分からない。

 パーティーも終盤に差し掛かり、思い思いにダンスを楽しんだりおしゃべりしたりと皆が楽しんでいる中で、キースさまは何を思ったか、私にプロポーズしてきたのだ。

 すでに両親にはプロポーズすることを伝えてあると言っていた。

 何もこんな公衆の面前でいうことか!!!!!

 これって断れない案件だよね!!!!!

 私が答えに困っていると、キースさまは呟いたのだ。

 「ここでいえば、君は断れないだろ」

 ニヤリと笑う姿は、黒いです!!!!

 この人腹の中まで真っ黒です!!!!

 私の出した答えはもちろん保留です。

 今までは生きぬくことだけを考えていたのです。

 まだ結婚とか考えていませんでした。

 キースさまはゆっくり考えなと言ってくれたのでホットしました。

 「逃がさないけどね」

 やっぱり保留ではなくお断りした方がよかったのではと今更ながらに思ってしまいます。
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