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 あれだけのことがあったのに私は熟睡した。

 流石にそれはないだろと言うかもしれないが、私はこう見えてメンタル強いのです。

 それにしてもこの国は私たちが住んでいた世界と変わらない気がする。

 食事にしたって、私たちが食べれるものばかりで、変な独特の物がなかった。

 やっぱり聖女召喚するような世界だから、聖女から聞いた食文化だったりがあるのだろう。

 この世界なら私はやっていけると思った。

 それに……私には心配してくれる家族はいないからいいけど、聖女様は家族がいるはずだから寂しいだろうな。

 私は家族と死別したわけではない、ただ私の容姿が気に食わなくって出て行ったのだ。

 私の家族は近所でも美男美女家族と言われるぐらい有名な家族だ。

 私はそんな家族の中で一人だけブスだった。

 ブスな私を母や姉は恥ずかしいと思ったのかもしれないが、家族で出かける時も、私はいつも留守番を言い渡されていたのだ。

 父や兄は毎回注意してくれたが、うわべだけの注意でその後は私を残し出かけていくのだ。

 毎回、母と姉に言いくるめられてしまうようだけど……私は違うと思っている。

 私が高校生になったころ、私以外の家族が出て行ってしまったのだ。

 家も売りに出されてしまい、住むあてもなく近所に住んでいたおばちゃんたちが安いアパートを契約してくれ、何とか雨風はしのぐことが出来た。

 それからはバイトと学業の日々だった。

 学費と生活費を稼ぐためにバイトを複数掛け持ちもしていた。

 奨学金制度を利用して学校に通わせてもらっていたので、成績を落とすわけにもいかず、かなりハードな人生だったけど……近所のおばちゃんたちの優しさが私にはとってもありがたかった。

 ネガティブに考えるほど私はマイナス思考ではないので、前向きに頑張ってきたつもりだし、私の為に起こってくれたおばちゃんたちにも感謝だ。

 今の私があるのもおばちゃんたちのおかげなんだからね。

 着替えを済ませ部屋を出ようとすると草臥れた感じのおじさんが立っていたのにはびっくりしたが、食堂に案内してくれるということだった。

 一体いつから待っていたのだろうかと思ったが、流石に聞けませんでした。

 いくら図々しいとされるおばちゃんでもそればっかりは聞けません。
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