43 / 55
42
しおりを挟む
ギルドの依頼も一人でできることが多く、声が出なくてもどうにかなっていた。
はじめは戸惑うこともあったが、何とか依頼をこなしていた。
家出してから早や一か月が過ぎようとしていたが、ここまで探しに来る気配はない。
「頑張ってるか?」
ギルドマスターに声を掛けられ俺は頷いた。
始めのうちに声が出ないことは伝えてあるので返事をしなくても大丈夫だ。
ただ初めて会う人は受付嬢の仲介は毎回なのはこれも名物と化していた。
ようやくEランクからDランクになったのでそれなりに依頼内容もランクアップしている。
その分報酬もいいのだが、ただ魔物も強くなっているので要注意だ。
「すまんが上まで来てくれないか?」
「……」
頷きギルドマスターの後に続いた。
ギルドの中には俺が貴族の出と言うのは数人知っているが、ギルドマスターには正直に話しているので、もしかしたらギルドに俺を探すような依頼が来たのかもしれない。
覚悟を決めてギルドマスターの部屋に入ると、そこにはまさかの姉さまと兄さまがいた。
「やはり……」
「お人が悪いですよ」
「……名前まで変えてギルドにきて登録した。
俺にとって彼も家族の一員だ」
「……」
「まさか家出するとは思わなかったわ」
「そんなに王子たちとの合同結婚が嫌だったんだね」
俺は合同結婚に首を傾げた。
合同結婚に俺は関係ないと思うのだが、なぜ俺の方を見るのかわからない。
「……もしかしてわかっていなかったのか」
「ローズ落ち着いて聞いてね。
王子たちが開発している魔道具が完成したの、ちゃんと検証実験もやったわ」
「この国は同性同士で結婚したがる者が多いので実験に協力してくれる人には困らなかったんだが、見事成功して子供も生まれた」
「……」
「あなたが寝ているときに魔道具を装着したらしいのだけど、そろそろ体と馴染むころだろうと言っていた」
「そのために結婚式を速めていたんだが、まさかその間に逃げられているとは思わなかった」
いつの間にそんなものを人に埋め込んだんだ!
知らない間に着実に逃げ道を塞がれているのは気のせいなんかじゃないと思う。
それに逃げたのはそれだけじゃない。
「待ってくれ、彼が逃げたのは実家のメイドが飯を持ってこなくなったのも原因だ」
「なんですって!」
「それは本当かい?」
俺が頷くと、二人はその場を立ちまた来ると言って帰っていった。
本当に嵐のような人たちだと思うよ。
その日からちょくちょくと誰かしら来るようになり、一緒に依頼をこなしたりまったりしたりして過ごしているのだけど王子たちがこんなところ来ても大丈夫なのか?
はじめは戸惑うこともあったが、何とか依頼をこなしていた。
家出してから早や一か月が過ぎようとしていたが、ここまで探しに来る気配はない。
「頑張ってるか?」
ギルドマスターに声を掛けられ俺は頷いた。
始めのうちに声が出ないことは伝えてあるので返事をしなくても大丈夫だ。
ただ初めて会う人は受付嬢の仲介は毎回なのはこれも名物と化していた。
ようやくEランクからDランクになったのでそれなりに依頼内容もランクアップしている。
その分報酬もいいのだが、ただ魔物も強くなっているので要注意だ。
「すまんが上まで来てくれないか?」
「……」
頷きギルドマスターの後に続いた。
ギルドの中には俺が貴族の出と言うのは数人知っているが、ギルドマスターには正直に話しているので、もしかしたらギルドに俺を探すような依頼が来たのかもしれない。
覚悟を決めてギルドマスターの部屋に入ると、そこにはまさかの姉さまと兄さまがいた。
「やはり……」
「お人が悪いですよ」
「……名前まで変えてギルドにきて登録した。
俺にとって彼も家族の一員だ」
「……」
「まさか家出するとは思わなかったわ」
「そんなに王子たちとの合同結婚が嫌だったんだね」
俺は合同結婚に首を傾げた。
合同結婚に俺は関係ないと思うのだが、なぜ俺の方を見るのかわからない。
「……もしかしてわかっていなかったのか」
「ローズ落ち着いて聞いてね。
王子たちが開発している魔道具が完成したの、ちゃんと検証実験もやったわ」
「この国は同性同士で結婚したがる者が多いので実験に協力してくれる人には困らなかったんだが、見事成功して子供も生まれた」
「……」
「あなたが寝ているときに魔道具を装着したらしいのだけど、そろそろ体と馴染むころだろうと言っていた」
「そのために結婚式を速めていたんだが、まさかその間に逃げられているとは思わなかった」
いつの間にそんなものを人に埋め込んだんだ!
知らない間に着実に逃げ道を塞がれているのは気のせいなんかじゃないと思う。
それに逃げたのはそれだけじゃない。
「待ってくれ、彼が逃げたのは実家のメイドが飯を持ってこなくなったのも原因だ」
「なんですって!」
「それは本当かい?」
俺が頷くと、二人はその場を立ちまた来ると言って帰っていった。
本当に嵐のような人たちだと思うよ。
その日からちょくちょくと誰かしら来るようになり、一緒に依頼をこなしたりまったりしたりして過ごしているのだけど王子たちがこんなところ来ても大丈夫なのか?
0
お気に入りに追加
838
あなたにおすすめの小説
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
転生したら乙女ゲームの攻略対象者!?攻略されるのが嫌なので女装をしたら、ヒロインそっちのけで口説かれてるんですけど…
リンゴリラ
BL
病弱だった男子高校生。
乙女ゲームあと一歩でクリアというところで寿命が尽きた。
(あぁ、死ぬんだ、自分。……せめて…ハッピーエンドを迎えたかった…)
次に目を開けたとき、そこにあるのは自分のではない体があり…
前世やっていた乙女ゲームの攻略対象者、『ジュン・テイジャー』に転生していた…
そうして…攻略対象者=女の子口説く側という、前世入院ばかりしていた自分があの甘い言葉を吐けるわけもなく。
それならば、ただのモブになるために!!この顔面を隠すために女装をしちゃいましょう。
じゃあ、ヒロインは王子や暗殺者やらまぁ他の攻略対象者にお任せしちゃいましょう。
ん…?いや待って!!ヒロインは自分じゃないからね!?
※ただいま修正につき、全てを非公開にしてから1話ずつ投稿をしております
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
ざまぁ!をされるつもりが… こんな展開、聞いてないっ
慎
BL
そう、僕は姉上の戯言をいつものように聞き流していた。ここが乙女ゲームとやらの世界の中で自分は転生者なのだと。昔から、それはもう物心ついた頃には子守唄の代わりに毎日毎日、王太子がどうで、他の攻略者があーで、ヒロインがこんな子で、自分はそんな中でも王太子の婚約者でヒロインを苛め抜く悪役令嬢に転生したのだと、毎日飽くほど聞かされていた。
───だから、僕はいつもと同じように気にも留めず聞き流していた。
それがまさか自分の身に降りかかる受難の始めになろうとは… このときはまだ思いもしなかった。
『…すまない、アラン。姉の代わりに殿下の… 王太子の婚約者を務めてほしい』
「は?」
呼び出された父の言葉に、一瞬 自分が何を言われたのか理解が出来なかった。
───… これは王太子の婚約者だった姉上が平民と駆け落ちしたことにより、降りかかる僕の受難の物語である─。
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
転生した俺が触手に襲われるなんてありえない
西楓
BL
異世界に転生した俺は前世の知識を活かし充実した人生を送っていた。ある時呼ばれた茶会で見目麗しい男性達と出会う。どこかで見かけたような…前世でプレイしたゲームの攻略対象?
※後半触手によるRシーンありますのでご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる