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 カイが戻ると城の中は変わらず機能していた。

 カイはまず陛下と王妃の元を訪れると二人は頭を押さえ首を振っていた。

 「大丈夫ですか?」

 「すまん一応抵抗しているが相手の力が強いのか抵抗しきれない」

 「わかりました」

 カイは状態正常の魔法をかけブレスレットもさらに強化した。

 「すまんな、ローズは大丈夫か?」

 「俺が気づくのが遅れてしまいかなり危なかったですが、命に別状ありません」

 「そうか、よかった」

 「悔しいわ、あの子をどうにか懲らしめられないかしら」

 「ロディを正常にすれば何とかなるだろ」

 「ではすぐにでも他の者たちにも状態正常の魔法をかけます」

 「そうしてくれ」

 「でもなぜローズをそこまで嫌うのか不思議です」

 「それもとらえてからじっくり白状させよう」

 陛下と王妃は怒っていた。

   彼らにとってローズは家族なのだ。

   家族を傷付けられなんとも思わないものなどいない。

   「今はまだ魅了にかかっていると思わせておいて下さい」

 カイは城を探し回り何とか全員に状態正常魔法をかけることができ、ブレスレットの強化も済ませた。

 「許せない!」

 「まさか、また同じ過ちを」

 「……思い出した……あの女……屋敷のメイドの子供でたまたま話したんだ」

 「なんだって!」

 「変なこと言っていたんだよ。
 それからだと思う」

 「なんて言っていたか覚えているか?」

 「ああ、自分はこの世界のヒロインで僕や兄さんとアーリー王子は攻略対象なんだって、姉さんは悪役令嬢で断罪の後国外追放か処刑だと言っていたんだけどローズ兄さんに関してはモブくせになんでよとか言って僕にあいつ邪魔だからどうにかしてと言われたんだ。
 そしたら僕はそうしなきゃいけないような気がして気づいたら皆に魅了の魔法をかけていたんだ」

 「そうなると、今まで送り込まれていた令嬢たちはあいつに操られていたんだな」

 「そうなりますわね。
 私の弟を貶めようなんていい度胸ですわ」

 「確かに、この落とし前つけさせてやる」

 その後陛下と王妃と合流し今後のことを話し合った。

 にっくき女は今頃騎士団長にいかされまくりもうろうとする中ご満悦だったのはここだけの話。

 騎士団長はそれなりの魔力を保有しているので魅了にはかからないが、この女がローズとの接近を邪魔するので不本意ながら相手しているがはじめだけで後は団員に相手をさせていたが、ローズに近づこうとすると誰かしらの邪魔が入り今に至る。

 




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