上 下
28 / 55

27

しおりを挟む
 お城は今日ものどかです。

 ただ一人の令嬢がまた、アーリー王子とルカ王子を追いかけまわして知ること以外は本当にのどかなんですよ。

 「あんたたち王子たちに何したの?」

 「何もしてませんわよ」

 「嘘おっしゃい!
 私のように可憐でかわいく、庇護欲を誘うような子に声をかけられて嫌がるはずないじゃない!
 それなのに王子たちは私になびかないなんておかしいわ」

 おかしいのはあんたの頭だ!

 と言えたらいいのだけど、周りがひいてるしそろそろ騎士たちが来る頃だけど、いい加減わからないのかな自分がここで俺たちを非難していることが王子たちに筒抜けになっているってことに……

 「自分でそこまで言います。
 今のあなたのお顔を鏡でご覧になってみたらよろしいですわ、まるで般若のようですわよ」

 「なっなんですって、あんたみたいな性悪女すぐに悪事を暴いてあげるんだから!」

 それだけ言うと騎士たちに引きずられるようにして退場した。

 「どこの令嬢なのかしら?」

 「姉さまでも知らないような令嬢なんて初めてですね」

 「調べさせるわね」

 すぐに姉さまは兄さまにコンタクトを取り先ほどの令嬢のことを調べた。

 するとすぐにわかった。

 彼女は最近平民から子爵令嬢として養子に来たとのこと、血のつながりはありようやく迎え入れたそうだ。

 そのほかにもその令嬢は他のご子息たちにも声をかけていたとのこと、マジ怖いんですけど、でもこれで対策はできます。

 王子たちも彼女の香水臭さや媚を売るようにしなだれてくるのが嫌で何度も言っているのですが聞かないそうでかなり参っているみたいです。

 確かに俺も姉さまも香水ではなく香油を体に塗ってもらっていますね。

 そんなことを踏まえ対策です。

 もちろん魔道具を屈指して証拠集めをしますよ。

 姉さまを怒らせると恐いですからね。

 ましてや今回で二回目です。

 対処法は心得ています。

 ルンルン気分でやっているとどこからか聞きつけてきたのか何人もの令嬢やら子息が協力を申し出てくれたのでありがたくてつだってもらった。

 「本当にむかつきますのよ」

 「ですよね。
 婚約者の方もでれでれして本当にむかつきますわ」

 「ちょっとかわいいからって色々な方に声をかけるなんてなんてふしだらなんでしょう」

 などなど出てくる出てくる。

 相当うっぷんがたまっていたらしいです。

 姉さまが彼女たちに内緒話をし始めました。

 あっ、これは聞かないほうがいい話ですね。

 はい、聞きません。

 聞きたくないです。

 できれば俺を巻き込まないでほしいです。

 着実に罠は仕掛けられ、それを突破された時のための罠を何重にも仕掛けました。

 トラップだらけですが仕方ありません。

 後は彼女がかかるのを待つだけです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

転生したら乙女ゲームの攻略対象者!?攻略されるのが嫌なので女装をしたら、ヒロインそっちのけで口説かれてるんですけど…

リンゴリラ
BL
病弱だった男子高校生。 乙女ゲームあと一歩でクリアというところで寿命が尽きた。 (あぁ、死ぬんだ、自分。……せめて…ハッピーエンドを迎えたかった…) 次に目を開けたとき、そこにあるのは自分のではない体があり… 前世やっていた乙女ゲームの攻略対象者、『ジュン・テイジャー』に転生していた… そうして…攻略対象者=女の子口説く側という、前世入院ばかりしていた自分があの甘い言葉を吐けるわけもなく。 それならば、ただのモブになるために!!この顔面を隠すために女装をしちゃいましょう。 じゃあ、ヒロインは王子や暗殺者やらまぁ他の攻略対象者にお任せしちゃいましょう。 ん…?いや待って!!ヒロインは自分じゃないからね!? ※ただいま修正につき、全てを非公開にしてから1話ずつ投稿をしております

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

ざまぁ!をされるつもりが… こんな展開、聞いてないっ

BL
そう、僕は姉上の戯言をいつものように聞き流していた。ここが乙女ゲームとやらの世界の中で自分は転生者なのだと。昔から、それはもう物心ついた頃には子守唄の代わりに毎日毎日、王太子がどうで、他の攻略者があーで、ヒロインがこんな子で、自分はそんな中でも王太子の婚約者でヒロインを苛め抜く悪役令嬢に転生したのだと、毎日飽くほど聞かされていた。 ───だから、僕はいつもと同じように気にも留めず聞き流していた。 それがまさか自分の身に降りかかる受難の始めになろうとは… このときはまだ思いもしなかった。 『…すまない、アラン。姉の代わりに殿下の… 王太子の婚約者を務めてほしい』 「は?」 呼び出された父の言葉に、一瞬 自分が何を言われたのか理解が出来なかった。 ───… これは王太子の婚約者だった姉上が平民と駆け落ちしたことにより、降りかかる僕の受難の物語である─。

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...