上 下
23 / 55

22

しおりを挟む
   何で俺はここにいるんだ。

   俺は殿下の婚約者でも何でもないのに何故姉様と一緒に並ばなければならないんだ。

   そんな事を考えていると、隣国の王子が挨拶に来た。

   「ご無沙汰しております」

   「小さい時以来だからな」

   「本当に立派になられて、後は結婚して後継ぎを見せてあげれば両親も安心するのに」

   「そうは思うのですが、いかんせん中々の理想の人に巡り合わずに今に至ります」

   「理想が高いからだろ」

   「君に言われたくないよ」

   怖いんですけど、何気ない会話なのに殺気がするんですけど、何でこんな場所に俺いるんだろ。

   遠い目になりながらもなんとか正気に戻り口元を痙攣らせながらも笑顔を作った。

   「俺にはこいつらがいるからな、二人に巡り会えて幸せ者だよ」

   蕩けるような目でこちらを見つめている。

   「これは惚気られてしまった」

   「殿下ったら嫌ですわ」

   「何を言う!
   本当の事だぞ、きちんと気持ちを伝えないとな」

   「こんな所で気持ち言われでも、恥ずかしいだけです」

   「相変わらず恥ずかしがり屋だな、そんなところも可愛らしくって好きなんだがな」

   マジ勘弁して下さい。

   恥ずか死ねるんですけど、早く部屋に戻りたい。

   笑顔を顔に貼り付けてニコニコしているが、もうすでにHPはゼロに等しい。

   「殿下もうからかうのは辞めて上げないとローの目が死んでますよ」

   「可愛いからつい構いたくなってしまうんだ」

   「仲が良く羨ましい、所で今日はローズ嬢はいらっしゃらないのですか?」

   「その事なんだが、後で話があるんだが」

   「わかった、後ほど」

   そう言うと去って行った。

   一通り挨拶が済むとダンス始まった。

   俺もダンスホールに出て父や兄さまの所に行こうとした時ご令嬢たちに捕まった。

   「ローズさま今日はどうなさったんですの?」

   「今日の衣装楽しみにしてましたのに残念ですわ」

   「勘弁して下さい」

   「今回残念がっているのは私たちだけではございませんわよ、あちらでチラチラこちらを伺っているご子息の方達はローズさまと踊りたかったのでしょうね」

   「こちらの格好でもよろしいと思うんですけど、男心ですかね」

   ウフフと言いながら去って行った。

   ようやく家族の元に辿り着いた時はすでに満身創痍だったということは言うまでもない。
   

   

   

  

   

   
   
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

ファントムペイン

粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。 理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。 主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。 手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった…… 手足を失った恋人との生活。鬱系BL。 ※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。

【R18+BL】ハデな彼に、躾けられた、地味な僕

hosimure
BL
僕、大祇(たいし)永河(えいが)は自分で自覚するほど、地味で平凡だ。 それは容姿にも性格にも表れていた。 なのに…そんな僕を傍に置いているのは、学校で強いカリスマ性を持つ新真(しんま)紗神(さがみ)。 一年前から強制的に同棲までさせて…彼は僕を躾ける。 僕は彼のことが好きだけど、彼のことを本気で思うのならば別れた方が良いんじゃないだろうか? ★BL&R18です。

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく

藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。 目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり…… 巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。 【感想のお返事について】 感想をくださりありがとうございます。 執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。 大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。 他サイトでも公開中

あなたの隣で初めての恋を知る

ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

処理中です...