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本編
お城を回るよ
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「失礼します!魔具の点検、修理に来ました」
「あぁ、待っていたよ。早速、頼むよ」
そう挨拶して入室する私の後ろに、ランバートさんがついてくる。王様が連絡した翌日から、早速、城内を一部屋づつ回っていた。
騎士団の点検は、休憩時間に継続的にしているから今のところ苦情や問題は起きてない。文官や貴族のお偉いさんも自分で持って行く必要が無いし、目の前で点検修理するから安心なんだとか。
「すみません、自分は椅子で休ませて貰えませんか?」
ランバートさんが、この部屋の貴族に声を掛けて椅子を借りる。私が今からやる事の説明をしている時に、ランバートさんは椅子に座って密かに魔具を調べていた。
「勇者様は、どうされた?」
椅子に座って目を閉じる彼は、メイクで隈を作っているから疲れている様に見える。
「寝不足だそうです。私も詳しくは教えて頂いておりませんので、申し訳ありません」
理由を聞かれても曖昧に笑って誤魔化して、はっきりした理由は言わない。寝不足としか言っていないのに、二日過ぎた頃には『勇者様は体調が悪い』と城内で噂になっている。噂が回るのは早いよね。
「部品の交換、完了しました。ご確認下さい」
魔具の確認が終わると、ランバートさんが目を開ける私を見て首を横に振った。ここにも無かったんですね~。次に行きましょう。
こうして一部屋づつ回っていても、魔具は全く見付からない。近くにある気配はするらしいけど、認識妨害されているのか場所が特定出来ないでいた。
そんな日々が続いたある日。中庭を通って隣の棟に移動しようとした時、ランバートさんが急に立ち止まると、地面に膝をついた。
「え?どうしたんですか?」
「……ココに何かある……下がって」
彼の静かな声に私は黙って後ろに下がった。彼は地面に触れたかと思うと、目を閉じて地面の中に魔力を流し始めた。陽炎の様に彼の回りの空気が揺らぎ、中庭から低い音が微かに聞こえ始める。
ギ……ギギ……ギギ
軋む様な音が続いた後、地面の一部が盛り上がり黒い塊が出てきた。直接触らない様に回りの土を落とすと、黒い小箱の様なモノが出てきた。
「今は作動していない……コレだろうな」
『奴ノ魔力ハ感ジナイゾ』
「繋がっていないからか?師匠にも見て貰うか」
お義父様から預かっていた遮断機能がついた箱に、彼が持っている魔具を入れるとスッと肩の力が抜けた気がした。無意識に力が入っていたんだろうな……肩が痛いや。それにしても……この穴深いよね?
「こんなに深い穴をどうやって見付からない様に掘ったんでしょう?」
フッと頭に浮かんだ疑問を口にすると、ランバートさんが上を見上げてもう一度地面を見る。
「……穴を作ったのは俺だ」
はい?俺って、ランバートさんが?何故に?
頭の中が疑問符だらけの私に教えてくれたのは、集まった闇を払った時、時間短縮で窓から飛び降りた話だった。
「宰相様の部屋の窓から飛び降りた?」
「あぁ、この上の階から降りた」
彼が示す部屋はお城の上部、四階の窓だった。身体強化の魔法を使ったから問題ない?……天然でしたね。普通、窓から飛び降りたりしないですから!
「この先に医務室があるんだ」
医務室とか関係ないでしょう!え?前に声を掛けてきた貴族の変な女性が公爵令嬢だった?私が闇に取り込まれた時、彼女も倒れて医務室で闇に囲まれていた?
「あの人が掛けた呪詛だったんじゃ……」
「無意識に使った反動だろうな。力を消したから二度と使えないはずだ」
笑顔で安心だと言うけど、力を消すって何ですか?私は聞いた事が無いですよ。魔力同士をぶつけて相殺すると消えるんですか。かなり強引な気がするよ。
ランバートさんって……怒ったら容赦無いですね……
「あぁ、待っていたよ。早速、頼むよ」
そう挨拶して入室する私の後ろに、ランバートさんがついてくる。王様が連絡した翌日から、早速、城内を一部屋づつ回っていた。
騎士団の点検は、休憩時間に継続的にしているから今のところ苦情や問題は起きてない。文官や貴族のお偉いさんも自分で持って行く必要が無いし、目の前で点検修理するから安心なんだとか。
「すみません、自分は椅子で休ませて貰えませんか?」
ランバートさんが、この部屋の貴族に声を掛けて椅子を借りる。私が今からやる事の説明をしている時に、ランバートさんは椅子に座って密かに魔具を調べていた。
「勇者様は、どうされた?」
椅子に座って目を閉じる彼は、メイクで隈を作っているから疲れている様に見える。
「寝不足だそうです。私も詳しくは教えて頂いておりませんので、申し訳ありません」
理由を聞かれても曖昧に笑って誤魔化して、はっきりした理由は言わない。寝不足としか言っていないのに、二日過ぎた頃には『勇者様は体調が悪い』と城内で噂になっている。噂が回るのは早いよね。
「部品の交換、完了しました。ご確認下さい」
魔具の確認が終わると、ランバートさんが目を開ける私を見て首を横に振った。ここにも無かったんですね~。次に行きましょう。
こうして一部屋づつ回っていても、魔具は全く見付からない。近くにある気配はするらしいけど、認識妨害されているのか場所が特定出来ないでいた。
そんな日々が続いたある日。中庭を通って隣の棟に移動しようとした時、ランバートさんが急に立ち止まると、地面に膝をついた。
「え?どうしたんですか?」
「……ココに何かある……下がって」
彼の静かな声に私は黙って後ろに下がった。彼は地面に触れたかと思うと、目を閉じて地面の中に魔力を流し始めた。陽炎の様に彼の回りの空気が揺らぎ、中庭から低い音が微かに聞こえ始める。
ギ……ギギ……ギギ
軋む様な音が続いた後、地面の一部が盛り上がり黒い塊が出てきた。直接触らない様に回りの土を落とすと、黒い小箱の様なモノが出てきた。
「今は作動していない……コレだろうな」
『奴ノ魔力ハ感ジナイゾ』
「繋がっていないからか?師匠にも見て貰うか」
お義父様から預かっていた遮断機能がついた箱に、彼が持っている魔具を入れるとスッと肩の力が抜けた気がした。無意識に力が入っていたんだろうな……肩が痛いや。それにしても……この穴深いよね?
「こんなに深い穴をどうやって見付からない様に掘ったんでしょう?」
フッと頭に浮かんだ疑問を口にすると、ランバートさんが上を見上げてもう一度地面を見る。
「……穴を作ったのは俺だ」
はい?俺って、ランバートさんが?何故に?
頭の中が疑問符だらけの私に教えてくれたのは、集まった闇を払った時、時間短縮で窓から飛び降りた話だった。
「宰相様の部屋の窓から飛び降りた?」
「あぁ、この上の階から降りた」
彼が示す部屋はお城の上部、四階の窓だった。身体強化の魔法を使ったから問題ない?……天然でしたね。普通、窓から飛び降りたりしないですから!
「この先に医務室があるんだ」
医務室とか関係ないでしょう!え?前に声を掛けてきた貴族の変な女性が公爵令嬢だった?私が闇に取り込まれた時、彼女も倒れて医務室で闇に囲まれていた?
「あの人が掛けた呪詛だったんじゃ……」
「無意識に使った反動だろうな。力を消したから二度と使えないはずだ」
笑顔で安心だと言うけど、力を消すって何ですか?私は聞いた事が無いですよ。魔力同士をぶつけて相殺すると消えるんですか。かなり強引な気がするよ。
ランバートさんって……怒ったら容赦無いですね……
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