[完結]アタンなんなのって私は私ですが？

プロローグ

「ルルーシュ・アーデン！貴様の様な性根の腐った奴とは今を持って婚約を破棄する!!」

　家庭の事情で長い間、休学していた私が久しぶりに登校すると正面玄関前で待ち構えていた常識はずれのバカな男性にいきなり叫ばれました。その男性の隣には服装は自由な学園とはいえ、胸の大きく開き裾が大きく広がる派手なドレスを着た女性がしがみ付いています。突然の出来事に驚きで何も言えない私に向かって彼等は勝手に話を続けています。

「貴様は、私の愛するグレーテルに対して、陰湿な虐めをしたそうだな！」

「そうなんです、ゲイブ様。私、怖くて中々言い出せなかったの」

「大丈夫だグレーテル。何があっても私が守るよ」

　なにコレ……ウザイわ。何かしらこの三文芝居。大根役者のグレーテルと呼ばれる女性は、どうやら貴族子息のゲイブ様に色仕掛けで取り入っている様子だしニヤリと嫌な笑みを私にみせているし……

「グレーテルのドレスに飲み物を掛けたり足を出してわざと転ばせたりしたそうだな！挙句の果てには教科書を捨て発覚した際に噴水に突き飛ばしたそうじゃないか!!」

「あの後、私、風邪をひいて寝込みましたのよ」

　はて？何時の話をしているのかしら？私は半年振りに登校しているのに、そんな暇あるわけないでしょう。そもそも……

「貴方方は、どなた？」

「はぁ!?貴様自分の婚約者を忘れたのか！ゲイブ・ハンソンだ！」

「ハンソン……ハンソン子爵様が私の婚約者ですか？」

「さっきから貴様は、白々し！」

　煩い人ね。さっきから正面玄関前なのに大声で叫ぶから人だかりが出来ているじゃない。

「先ほどから叫ばれておりますが、そもそも私に婚約者はおりません。何方かとお間違えではないでしょうか」

「さっきから余裕ぶっこいてんじゃないわよ！さっさと罪を認めなさいよ!!」

　あらグレーテルさん。被っていた猫が逃げ出しましたけど宜しいのかしら？