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中編
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はぁ、疲れましたわ。折角、友人達との最後の別れの時間でしたのに、最後の最後で台無しですわ。
え?最後の別れの時間って、どういう事かと聞かれましても……
簡単に言えば、外国に嫁ぎますので何時でも会える状況では無くなりますわ。ですから、最後の別れでしたのに……はぁ。
「カナリア、お帰り」
自宅に着くと玄関に未来の旦那様がいました。まぁ、わざわざ迎えに来られたのですか?明日の夕方にはそちらに着きますのに……
「私が会いたかったんだ。私の奥さん」
あらあら、まだ入籍しておりませんから少し早いのでわ。え?この国の婚姻届は今から出しに行く?夜に手続き出来るのですか?私、知りませんでしたわ。
「嫌かい?」
「いいえ、嬉しいですわ。直ぐに着替えますから、少しお待ち下さいね」
旦那様が嬉しそうに笑います。5歳歳上の旦那様とは、両親の仕事の手伝いで行った先で知り合いました。
元婚約者は同い年でしたので、歳上の貫禄?落ち着きある態度と安心感が、婚約破棄で荒れる私の心を落ち着かせてくれました。それに、お仕事でもプライベートでも、頼りになり博識で安心の出来る方なので、今回のご縁は本当に運が良かったですわ。
ラフな服装に着替えて、髪は飾りを外しただけですが、これで良いかしら?少し不安になりながら、玄関に戻ると何やら話し声がします。この声は……元婚約者?
「誰だ貴様!人の婚約者を横取りして泥棒が!!」
……誰が泥棒ですか。それを言うならサラ様と親密にされていた貴方は、どうなるのでしょうね?
私が階段の上にいる事に気付いた元婚約者が、駆け上がろうとしましたが旦那様と私の家族に止められました。旦那様を睨み付けた後、元婚約者は家族に詰め寄ってます。婚約破棄なんて聞いてない?ですから自分のご両親に……え?絶縁したから帰って来るなと言われた?はぁ、それでどうして我が家に来られたのですか?
「俺の事を愛していたではないか。助けてくれ」
「まぁ、貴方の愛は何て都合の良いものでしょう」
「何を言ってる」
「そうでございましょう?私の様に腐った心根の女の言葉は、信用出来ないと言われたのは誰ですか?」
私の言葉を聞いた旦那様と家族は、元婚約者を睨んでいます。味方がいないと分かると、今までの強気な態度は消えてオロオロと落ち着き無い態度に変わりました。
「俺は……悪くない……絶対に……俺は悪くない」
は?馬鹿ですか?
今、玄関の居る元婚約者以外、全員が同じ事を思ったはずです。絶対に悪くない人なんていません。私にも悪い所はありました。元婚約者に説明するなり関係改善策をするべきでしたわ。でも、何もしませんでしたわ。早々に諦めて切り捨てましたから。
自分は悪くないと言える彼は無知なのでしょうね。
え?最後の別れの時間って、どういう事かと聞かれましても……
簡単に言えば、外国に嫁ぎますので何時でも会える状況では無くなりますわ。ですから、最後の別れでしたのに……はぁ。
「カナリア、お帰り」
自宅に着くと玄関に未来の旦那様がいました。まぁ、わざわざ迎えに来られたのですか?明日の夕方にはそちらに着きますのに……
「私が会いたかったんだ。私の奥さん」
あらあら、まだ入籍しておりませんから少し早いのでわ。え?この国の婚姻届は今から出しに行く?夜に手続き出来るのですか?私、知りませんでしたわ。
「嫌かい?」
「いいえ、嬉しいですわ。直ぐに着替えますから、少しお待ち下さいね」
旦那様が嬉しそうに笑います。5歳歳上の旦那様とは、両親の仕事の手伝いで行った先で知り合いました。
元婚約者は同い年でしたので、歳上の貫禄?落ち着きある態度と安心感が、婚約破棄で荒れる私の心を落ち着かせてくれました。それに、お仕事でもプライベートでも、頼りになり博識で安心の出来る方なので、今回のご縁は本当に運が良かったですわ。
ラフな服装に着替えて、髪は飾りを外しただけですが、これで良いかしら?少し不安になりながら、玄関に戻ると何やら話し声がします。この声は……元婚約者?
「誰だ貴様!人の婚約者を横取りして泥棒が!!」
……誰が泥棒ですか。それを言うならサラ様と親密にされていた貴方は、どうなるのでしょうね?
私が階段の上にいる事に気付いた元婚約者が、駆け上がろうとしましたが旦那様と私の家族に止められました。旦那様を睨み付けた後、元婚約者は家族に詰め寄ってます。婚約破棄なんて聞いてない?ですから自分のご両親に……え?絶縁したから帰って来るなと言われた?はぁ、それでどうして我が家に来られたのですか?
「俺の事を愛していたではないか。助けてくれ」
「まぁ、貴方の愛は何て都合の良いものでしょう」
「何を言ってる」
「そうでございましょう?私の様に腐った心根の女の言葉は、信用出来ないと言われたのは誰ですか?」
私の言葉を聞いた旦那様と家族は、元婚約者を睨んでいます。味方がいないと分かると、今までの強気な態度は消えてオロオロと落ち着き無い態度に変わりました。
「俺は……悪くない……絶対に……俺は悪くない」
は?馬鹿ですか?
今、玄関の居る元婚約者以外、全員が同じ事を思ったはずです。絶対に悪くない人なんていません。私にも悪い所はありました。元婚約者に説明するなり関係改善策をするべきでしたわ。でも、何もしませんでしたわ。早々に諦めて切り捨てましたから。
自分は悪くないと言える彼は無知なのでしょうね。
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