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婚約破棄編
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「全ては侯爵様に頂いたこの指輪が原因という事でしょうか?」
私の言葉を聞いて兄とフリューゲル様の視線が私に向けられ驚いた私の身体は無意識に震えました。その事に気づいた兄が側にきて背中を擦って落ち着かせてくれます。
「すまないルナ」
「いいえ、お兄様。私は大丈夫です」
フリューゲル様も椅子に座る私の前に膝をついて気遣う様に覗き込んでいます。本当にお騒がせしてます。
「申し訳ない。急にこんな事をして驚かない令嬢はいない。私の失態です」
「いいえ、フリューゲル様も気にしないで下さい。緊急だったのですよね?」
「えぇ、そうです。この指輪はあなたの魔力を奪いハリソンに送るだけでなく、貴女から魔法の知識も共有出来る様になっていました」
こんな短時間で指輪を解析したのか、呪具の具体的な効果を説明するフリューゲル様。そして、知識を共有出来るという事は私の記憶・精神に直接干渉している事になると言う。
「精神干渉が一番危険です。一度、呪具が暴走すれば貴女とハリソンの精神が混ざりお互いに廃人となっていたでしょう」
『廃人』その一言にゾッとしました。偶然が重なり今日、たまたま解析に強いフリューゲル様とお会いしたから分かった事。下手すれば明日にも呪具が暴走して私は廃人になっていた事になる。喧嘩腰だった兄も事の大きさに怒りを鎮めた。
「それで、この指輪は外しても宜しいですか?」
「駄目です。呪具が貴女の身体に深く食い込んでいる為、無理に外せば後遺症が残るか指が切断されます」
「……そんな……」
フリューゲル様の言葉に、ただ驚くしか出来ない。龍人の村には呪具の解除に詳しい人がいるらしく、その人でないと外せないらしい。嘘でしょう。効果がなくなったのに、指輪を外して終わりじゃないの?
「それで呪具に精通している御仁とは何時会えるだろうか?」
「……」
即答しないフリューゲル様に視線が集まる。彼は困った様に眉尻を下げながら大きな体を申し訳なさそうに折り曲げた。
「そのお方は村の長老なので今は何とも言えないのです。至急、確認しますので暫しお待ちを」
「畏まりました。もう一つ確認したいのですが」
「はい、何なりと」
「私、魔法を使っても大丈夫ですか?」
失礼と一言言ったフリューゲル様が金色に輝く瞳で、私の顔を暫く見詰めると小さな唸り声を上げました。え?なんなの?私の顔を見て唸り声って、どういう事なの!?
「奪われた魔力は明日の朝には完全に回復するでしょう。ただ……」
言い淀むフリューゲル様の態度に嫌な予感がして、私は無意識に自分の身体に腕を回す。その手から今までに感じた事のない程の魔力が溢れ始めた。
「……何……これ……」
「ルナ、どうしたんだい?顔色が悪いぞ」
「お兄様、私の魔力が」
舞踏会用の裾の広がったドレスがパタパタとはためき、ユラユラと身体の中から魔力が外に流れ出す。授業で習ったはずの魔力制御が全く効かず、私の回りの物までカタカタと揺れ始めた。やだ怖い!
「やはり制御出来ないか……悪いが今はこれで我慢てしくれ」
フリューゲル様の声が随分、近くで聞こえる。どこから?と疑問が浮かんだが直ぐに私の意識は闇に溶けた。
私の言葉を聞いて兄とフリューゲル様の視線が私に向けられ驚いた私の身体は無意識に震えました。その事に気づいた兄が側にきて背中を擦って落ち着かせてくれます。
「すまないルナ」
「いいえ、お兄様。私は大丈夫です」
フリューゲル様も椅子に座る私の前に膝をついて気遣う様に覗き込んでいます。本当にお騒がせしてます。
「申し訳ない。急にこんな事をして驚かない令嬢はいない。私の失態です」
「いいえ、フリューゲル様も気にしないで下さい。緊急だったのですよね?」
「えぇ、そうです。この指輪はあなたの魔力を奪いハリソンに送るだけでなく、貴女から魔法の知識も共有出来る様になっていました」
こんな短時間で指輪を解析したのか、呪具の具体的な効果を説明するフリューゲル様。そして、知識を共有出来るという事は私の記憶・精神に直接干渉している事になると言う。
「精神干渉が一番危険です。一度、呪具が暴走すれば貴女とハリソンの精神が混ざりお互いに廃人となっていたでしょう」
『廃人』その一言にゾッとしました。偶然が重なり今日、たまたま解析に強いフリューゲル様とお会いしたから分かった事。下手すれば明日にも呪具が暴走して私は廃人になっていた事になる。喧嘩腰だった兄も事の大きさに怒りを鎮めた。
「それで、この指輪は外しても宜しいですか?」
「駄目です。呪具が貴女の身体に深く食い込んでいる為、無理に外せば後遺症が残るか指が切断されます」
「……そんな……」
フリューゲル様の言葉に、ただ驚くしか出来ない。龍人の村には呪具の解除に詳しい人がいるらしく、その人でないと外せないらしい。嘘でしょう。効果がなくなったのに、指輪を外して終わりじゃないの?
「それで呪具に精通している御仁とは何時会えるだろうか?」
「……」
即答しないフリューゲル様に視線が集まる。彼は困った様に眉尻を下げながら大きな体を申し訳なさそうに折り曲げた。
「そのお方は村の長老なので今は何とも言えないのです。至急、確認しますので暫しお待ちを」
「畏まりました。もう一つ確認したいのですが」
「はい、何なりと」
「私、魔法を使っても大丈夫ですか?」
失礼と一言言ったフリューゲル様が金色に輝く瞳で、私の顔を暫く見詰めると小さな唸り声を上げました。え?なんなの?私の顔を見て唸り声って、どういう事なの!?
「奪われた魔力は明日の朝には完全に回復するでしょう。ただ……」
言い淀むフリューゲル様の態度に嫌な予感がして、私は無意識に自分の身体に腕を回す。その手から今までに感じた事のない程の魔力が溢れ始めた。
「……何……これ……」
「ルナ、どうしたんだい?顔色が悪いぞ」
「お兄様、私の魔力が」
舞踏会用の裾の広がったドレスがパタパタとはためき、ユラユラと身体の中から魔力が外に流れ出す。授業で習ったはずの魔力制御が全く効かず、私の回りの物までカタカタと揺れ始めた。やだ怖い!
「やはり制御出来ないか……悪いが今はこれで我慢てしくれ」
フリューゲル様の声が随分、近くで聞こえる。どこから?と疑問が浮かんだが直ぐに私の意識は闇に溶けた。
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