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気付いたら家でした

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「ロゼッタ、起きて。家に着いたよ」

 優しく温かな声が私を呼んでる。だれ?でも、あたたかくて、安心するの……もう少し……ねたいよ

「早く起きないとキスするよ?」

 ぼんやりしていた頭に届いた言葉の意味を理解して飛び起きると、私は大公様の膝の上で横抱きにされていた。何で膝の上!?寝惚けて、私から乗ったの!?何これ!!

「なっえっ、う!ご、ご、ごめんなさい!」

 言葉にならない悲鳴を押し込めて謝ると、慌てて降りようとしてふらつく。どうやら私は自分が思っていた以上に、疲れてしまっていたようだ。倒そうになった私を大公様が支えて、ネロが後ろに回る。どうやら相棒の彼も心配している。自分が心配かけた事に改めて気付いて、気分は落ち込んで俯いてしまう。

「さぁ、おいで」

 そう言われて顔を上げると、先に降りた大公様が手を差し出し待っている。エスコートなんて家族以外にされたことなかったから、少し恥ずかしい気持ちを隠してお礼を言って手を乗せた。

「ロゼッタ!どうしたの!」

 馬車から降りた私に気付いた義姉のリンデ姉様が、驚いた表情で駆け寄って来る。義姉の声で他の家族や従業員も気付いて、集まって来てしまった。いきなり大公様と同じ馬車で帰って着たら、誰しも驚くわよね。と、どこか他人事の様に考えていた。

「お久しぶりです。シェリーが彼女に逢いたがって落ち着かないので、学園まで押し掛けてしまったよ」

 笑いながらそう言った大公様と、私の後ろに隠れるシェリー。リンデ姉様は交互に大公様とシェリーを見た後、安堵のため息を吐いた。

「もう、ロゼッタに何かあったかと思いましたよ」

「驚かせてすまないね。突然で申し訳ないが伯爵に会えるかな?」

「お義父様なら執務室に居ますわ。誰か呼んで来てくれる?」

 リンデ姉様の言葉に近くに居た使用人が、返事をして家に入る。私は着替えの為に自室に戻り、大公様はリンデ姉様ご応接室へ案内する。別れ際、大公様に私にも話があるから着替えたら来て欲しいと言われて、不安になりながらも頷いた。

「待ってるよ」

 綿毛の様にふわりと笑いながら、私の手を取り手の甲に口付けを落としてから家に入って行った。余りにも自然にするから、最初は何が起きたか分からなかった。頭が理解すると、私の頬が一気に熱くなる。

「ロゼッタ、大公様と何があったの?」

 様子を見ていたもう一人の義姉のリサ姉様が驚いた顔で聞いてきたけど、混乱中の私は首を横に振った。

「……着替えてくる」

 何があったのか聞きたいのは私の方。話って何かしら?疲れと混乱で、余計にフラフラになりながらも、私は自室に向かって歩き出した。


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