6 / 24
5.テル/シュウ
しおりを挟む
食堂で起こったことを聞いたのは、全てが終わった午後の合同実技授業の最中に。
しかもそのことを聞いたのも、アスカからだった。
「シュウはテルには言わなくていいって言ったんだけど…。念の為…伝えておいた方がいいかなって」
大きなため息と共に「ありがとう」と、アスカにお礼を言った。
「何でユリアが泣いて…、シュウが慰めるんだよ……」
「ユリアが代わりに泣いてくれて嬉しいって、シュウはそう言ってた」
アスカは小さな頃からシュウのことを知っている。シュウが女の自分を否定して『男』であろうとしたことも…。
(そもそも、アスカはそんな王子のシュウが好きだったし)
「……それはシュウの本心だと思うよ…」
理不尽なことも、全て受け入れてきた強さを持っていることは、俺にも分かるけれど。
「……腑に落ちない」
「何が?」
「それって、シュウが全部我慢する必要あんのかなって」
「仕方ないよ。…小さい頃から酷い目に合ってて。それを受け入れていたんだから。それがシュウの普通なんでしょ?」
不条理なことで貶められて、傷を負って。その不条理を『当たり前』のことだと受け入れてしまう。
当たり前なんかじゃないのに。もっと怒ったり…泣いたりしてもいいはずなのに。
そんな不条理が当たり前だったお城で育ったシュウは、それが出来ないんだ。
「全然、普通じゃないのにな…」
呟きながら救護室のシュウへ視線を移した。
いつも通りの微笑みを浮かべながら、怪我人の治療をしてる。
「シュウさ…。テルに出会って、そーゆー所も変わったって思ったんだけど。まだ、変わらない所も多いから…」
アスカも同じようにシュウを見つめてから、俺に視線を移した。
「…甘えさせてあげてよ?」
「分かってる」
分かってはいるけど、人がいる所では俺に甘えるような隙をシュウは見せないから。
襲撃後は、多分心も弱ってて…。まぁまぁ甘えてくれたけど。
『嫌いにならないで』と泣いたり。一緒に寝ようって手を取ってきたり。
(…………)
(可愛いかったな……)
ニヤける俺をアスカが気持ち悪そうな目で見るから、咳払いして顔を覆った。
「何、ニヤけてんの…?」
「ごめん。何でもない…。」
『次…テル。モンスタールーム1番の部屋と…レイ、2番の部屋ね。準備が出来たら入ってね?』
アナウンスが聞こえて立ち上がった。
「アスカ。俺行くけど…シュウのこと、見ててあげて?」
「え…?久しぶりの合同演習中だし、そんな変なこと起きないでしょ?しかも、さっきファリスとミリヤにも『シュウを頼む』って言ってたじゃん」
「かもしれないけど…用心に越したことないだろ?見ない顔も多いし」
救護室への立ち入りは怪我した者か、天使族だと決められている。(治療の邪魔になるから)むやみに入ることはできない。
しかも今日は特進クラス、A~Dクラスまでの合同授業の日だ。
いつもより人が多い状態だから、余計な立ち入りは禁止だと救護室の教官に言われてしまった。
「……過保護……。まぁ、安心して?救護室の様子を気を配って見ておくよ」
アスカの返事を聞いてから、大剣を手に指定された部屋へと入って行った。
(すぐに終わらせよう…)
***
学校に来て初日が合同演習だったから、いつもよりも慌ただしかった。
「シュウ、もし…何かあったら言ってね?」
声をかけてくれたのはミリヤと、ファリスだった。
「そうそう。俺たちテルから任せられてるから」
「そうなんだ…ありがとう」
(…優しいな…)
周りから言われる雑言なんて、何も気にならないのに。
直接言ってくる人には、微笑んで適当な話しをしておけばいい。
(お城でもそうやってやり過ごしてきたし)
テル君は私が何か言われる度に威嚇したり、心配そうに私の顔を覗き込んだりしてくれた。
テル君自身も今回のことで、きっと嫌な思いをしてるのに。
今もこうやって心配してみんなに「お願い」もしてくれる。
(…なんだろ…お母さん?かな…)
嬉しいなんて思っちゃいけない。そう思ってはいるけれど、何となく顔がニヤける。
(……授業に集中しよ……)
三人で話していると足を怪我した子が入ってきたから。
今日はブラックドラゴンとの演習だから、怪我をする人も多くて…。救護室はあっという間に人だかりとなった。
「私がするからミリヤとファリスは、次に来る人の為に待機しててね?」
「あ…うん。分かったよ」
「シュウ、あんまり無理するなよー」
心配してくれる二人に笑顔で手を振った。
「あー!俺の治療してくれるのって、噂のサキュバスハーフのプリンセス?」
快活な大声で、そんなことを叫んだのは余り見かけない人だった。
近くにいたミリヤの顔が引き攣った。
「…クォーターだよ?」
(まただ…)
貼り付けた笑顔を浮かべながら、もう何度目だろうっていう言葉を口にする。
(さっさと終わらせよう…)
あくまでも治療に専念する。男の足の傷は深く出血量も多かった。
「俺さCクラスなんだけど、プリンセスの治療受けたの今日が初めてなんだよね。だから…初めて見たけど…。まぁ、さすが…サキュバスの血が混じってるだけあるね。普通に綺麗。俺的にもありだよ」
「………」
ニヤニヤ笑いながら全身を舐めるように見つめる。いやらしい視線に嫌悪感を覚えながら、治癒魔法を施していく。
「あっ…そうだ!!Aクラスの奴、みんなとヤッたって本当?」
「!!何言ってるのっ…!!そんなわけない…っ」
隣りで治療していた、ミリヤが耐えきれずに大声を出して立ち上がってしまった。
「へー。でも、プリンセスが治癒魔法の威力が高いのは、毎日悪魔族の魔力吸収してるからって聞いたけど?あ、因みに俺は悪魔族だから、バッキバキに魔力吸収できるから。今度相手してよ」
嫌な視線を私に向けて、ニタニタと笑うその顔から視線を逸らした。
「魔力吸収なんてしてないから。相手なんてしてもらわなくていいよ。……足の治療は終わったし…。もう授業に戻って下さい」
男にそう伝えると、立ち上がったミリヤに「騒ぎを起こしてごめん」と、謝った。
「テル君…呼んでくる…」ミリヤは、涙ぐみながらそう呟いた。
ユリアもだけど…私の周りはこうやって私の代わりに泣いてくれる子ばかり。恵まれてると微笑んだ。
「ミリヤ。大丈夫だよ?」
なだめるようにミリヤの手を握った。こんなしょうもないことで、授業中のテル君を呼ぶのは嫌だったから。
「テル君…?あ、そうか。プリンセスには変な噂がたたないように、仕立てあげた『ノーマル』の婚約者がいるんだよな?」
そのやらしい顔を睨みつけて大きく息を吐いた。
「……次の怪我人がいるから。出ていって……」
そう言った瞬間に、男に二の腕を掴まれて、思いっきり引かれた。
「そんなヤツのモノで満足できんの?俺が相手してやるよ…プリンセス様?」
舌舐めずりしながら、私の身体を舐め回すように見つめてほくそ笑んだ。
「へー。腕は華奢なんだ。身体つきはこんなエロいのにな」
引かれた腕に男の指が食い込む。睨み付けた、男の目がギラギラしててあの光景と重なった。
途端に身体から血の気が引いた。リアルに思い出すあの時の感覚に、額から汗が滲む。
息が吸えなくなって、浅い呼吸を繰り返す。手が冷たくなって身体が震えていく。
(気持ち悪い…)
膝から崩れ落ちそうになるのを、誰かの腕が受け止めてくれた。
「っったぁ…っ!」
男の絶叫に苦痛に恐る恐る目を開くと、私を受け止めてくれたのはテル君だった。
私を掴む男の腕を握りながら、睨んでいるのが目に入った。
「…何してんの?つーか、誰に許可を得てシュウに触ってんの?」
折れそうなくらい強い力で握られた男の腕から、ミシッと骨が折れる音がした。
「痛いって…!!離せよ……!!」
余裕だった男の顔は苦痛に歪んでる。
「っ…テル…くん…?」
このままじゃダメだ。テル君がこの男を殺してしまう。そう思って腕の中で何とか声をあげた。
私に気付いたテル君は、ホッと胸を撫で下ろして手の力を緩めた。
「っ……ちょっとした冗談じゃん」
男は握られた腕を摩りながら、後退りを始めた。それでも、テル君は睨むのを辞めない。
「…次に近づいたら殺すから」
いつものような優しい声じゃ無かった。
(…怒ってる…)
男が救護室を去っていくのを見届けると、やっとテル君は私へと視線を移した。
「シュウ…大丈夫?…ごめん…俺が傍にいなかったから……」
心配そうに私の顔に触れ、汗で額に張り付く髪を指で拭いながら焦っている。
(やっぱり優しい…)
抱き止めてくれた腕のチカラに安心する。心配そうに見つめてくれる、その視線は固まっていた私の身体を解していく。
頬に触れる手に、そっと自分の手を重ねた。
(……いい香りがする……温かい……)
今まで苦しかった息が吸える。指先に体温が戻ってくる。
「…うん…。授業中だったのに……ありがと……っうわっ」
身体がふわっと浮いた。軽々と横抱きに私を抱えて、テル君は救護室を出て行こうと歩きだす。
気がついたら、さっきまでいなかったはずのファリスが「カッコいいー。テル、マジもんの王子じゃん」なんて、からかいながら見つめていた。
「ファリス。シュウ、体調悪そうだからさ…。ここ、任せるわ」
「わ…私!?もう平気っ!!体調悪くない…!!っ大丈夫だよ…」
腕の中の私の言葉なんて聞いてない。
「うぃ~。任された」
ファリスも軽いノリでそう言うから、私はそのまま救護室を後にした。
しかもそのことを聞いたのも、アスカからだった。
「シュウはテルには言わなくていいって言ったんだけど…。念の為…伝えておいた方がいいかなって」
大きなため息と共に「ありがとう」と、アスカにお礼を言った。
「何でユリアが泣いて…、シュウが慰めるんだよ……」
「ユリアが代わりに泣いてくれて嬉しいって、シュウはそう言ってた」
アスカは小さな頃からシュウのことを知っている。シュウが女の自分を否定して『男』であろうとしたことも…。
(そもそも、アスカはそんな王子のシュウが好きだったし)
「……それはシュウの本心だと思うよ…」
理不尽なことも、全て受け入れてきた強さを持っていることは、俺にも分かるけれど。
「……腑に落ちない」
「何が?」
「それって、シュウが全部我慢する必要あんのかなって」
「仕方ないよ。…小さい頃から酷い目に合ってて。それを受け入れていたんだから。それがシュウの普通なんでしょ?」
不条理なことで貶められて、傷を負って。その不条理を『当たり前』のことだと受け入れてしまう。
当たり前なんかじゃないのに。もっと怒ったり…泣いたりしてもいいはずなのに。
そんな不条理が当たり前だったお城で育ったシュウは、それが出来ないんだ。
「全然、普通じゃないのにな…」
呟きながら救護室のシュウへ視線を移した。
いつも通りの微笑みを浮かべながら、怪我人の治療をしてる。
「シュウさ…。テルに出会って、そーゆー所も変わったって思ったんだけど。まだ、変わらない所も多いから…」
アスカも同じようにシュウを見つめてから、俺に視線を移した。
「…甘えさせてあげてよ?」
「分かってる」
分かってはいるけど、人がいる所では俺に甘えるような隙をシュウは見せないから。
襲撃後は、多分心も弱ってて…。まぁまぁ甘えてくれたけど。
『嫌いにならないで』と泣いたり。一緒に寝ようって手を取ってきたり。
(…………)
(可愛いかったな……)
ニヤける俺をアスカが気持ち悪そうな目で見るから、咳払いして顔を覆った。
「何、ニヤけてんの…?」
「ごめん。何でもない…。」
『次…テル。モンスタールーム1番の部屋と…レイ、2番の部屋ね。準備が出来たら入ってね?』
アナウンスが聞こえて立ち上がった。
「アスカ。俺行くけど…シュウのこと、見ててあげて?」
「え…?久しぶりの合同演習中だし、そんな変なこと起きないでしょ?しかも、さっきファリスとミリヤにも『シュウを頼む』って言ってたじゃん」
「かもしれないけど…用心に越したことないだろ?見ない顔も多いし」
救護室への立ち入りは怪我した者か、天使族だと決められている。(治療の邪魔になるから)むやみに入ることはできない。
しかも今日は特進クラス、A~Dクラスまでの合同授業の日だ。
いつもより人が多い状態だから、余計な立ち入りは禁止だと救護室の教官に言われてしまった。
「……過保護……。まぁ、安心して?救護室の様子を気を配って見ておくよ」
アスカの返事を聞いてから、大剣を手に指定された部屋へと入って行った。
(すぐに終わらせよう…)
***
学校に来て初日が合同演習だったから、いつもよりも慌ただしかった。
「シュウ、もし…何かあったら言ってね?」
声をかけてくれたのはミリヤと、ファリスだった。
「そうそう。俺たちテルから任せられてるから」
「そうなんだ…ありがとう」
(…優しいな…)
周りから言われる雑言なんて、何も気にならないのに。
直接言ってくる人には、微笑んで適当な話しをしておけばいい。
(お城でもそうやってやり過ごしてきたし)
テル君は私が何か言われる度に威嚇したり、心配そうに私の顔を覗き込んだりしてくれた。
テル君自身も今回のことで、きっと嫌な思いをしてるのに。
今もこうやって心配してみんなに「お願い」もしてくれる。
(…なんだろ…お母さん?かな…)
嬉しいなんて思っちゃいけない。そう思ってはいるけれど、何となく顔がニヤける。
(……授業に集中しよ……)
三人で話していると足を怪我した子が入ってきたから。
今日はブラックドラゴンとの演習だから、怪我をする人も多くて…。救護室はあっという間に人だかりとなった。
「私がするからミリヤとファリスは、次に来る人の為に待機しててね?」
「あ…うん。分かったよ」
「シュウ、あんまり無理するなよー」
心配してくれる二人に笑顔で手を振った。
「あー!俺の治療してくれるのって、噂のサキュバスハーフのプリンセス?」
快活な大声で、そんなことを叫んだのは余り見かけない人だった。
近くにいたミリヤの顔が引き攣った。
「…クォーターだよ?」
(まただ…)
貼り付けた笑顔を浮かべながら、もう何度目だろうっていう言葉を口にする。
(さっさと終わらせよう…)
あくまでも治療に専念する。男の足の傷は深く出血量も多かった。
「俺さCクラスなんだけど、プリンセスの治療受けたの今日が初めてなんだよね。だから…初めて見たけど…。まぁ、さすが…サキュバスの血が混じってるだけあるね。普通に綺麗。俺的にもありだよ」
「………」
ニヤニヤ笑いながら全身を舐めるように見つめる。いやらしい視線に嫌悪感を覚えながら、治癒魔法を施していく。
「あっ…そうだ!!Aクラスの奴、みんなとヤッたって本当?」
「!!何言ってるのっ…!!そんなわけない…っ」
隣りで治療していた、ミリヤが耐えきれずに大声を出して立ち上がってしまった。
「へー。でも、プリンセスが治癒魔法の威力が高いのは、毎日悪魔族の魔力吸収してるからって聞いたけど?あ、因みに俺は悪魔族だから、バッキバキに魔力吸収できるから。今度相手してよ」
嫌な視線を私に向けて、ニタニタと笑うその顔から視線を逸らした。
「魔力吸収なんてしてないから。相手なんてしてもらわなくていいよ。……足の治療は終わったし…。もう授業に戻って下さい」
男にそう伝えると、立ち上がったミリヤに「騒ぎを起こしてごめん」と、謝った。
「テル君…呼んでくる…」ミリヤは、涙ぐみながらそう呟いた。
ユリアもだけど…私の周りはこうやって私の代わりに泣いてくれる子ばかり。恵まれてると微笑んだ。
「ミリヤ。大丈夫だよ?」
なだめるようにミリヤの手を握った。こんなしょうもないことで、授業中のテル君を呼ぶのは嫌だったから。
「テル君…?あ、そうか。プリンセスには変な噂がたたないように、仕立てあげた『ノーマル』の婚約者がいるんだよな?」
そのやらしい顔を睨みつけて大きく息を吐いた。
「……次の怪我人がいるから。出ていって……」
そう言った瞬間に、男に二の腕を掴まれて、思いっきり引かれた。
「そんなヤツのモノで満足できんの?俺が相手してやるよ…プリンセス様?」
舌舐めずりしながら、私の身体を舐め回すように見つめてほくそ笑んだ。
「へー。腕は華奢なんだ。身体つきはこんなエロいのにな」
引かれた腕に男の指が食い込む。睨み付けた、男の目がギラギラしててあの光景と重なった。
途端に身体から血の気が引いた。リアルに思い出すあの時の感覚に、額から汗が滲む。
息が吸えなくなって、浅い呼吸を繰り返す。手が冷たくなって身体が震えていく。
(気持ち悪い…)
膝から崩れ落ちそうになるのを、誰かの腕が受け止めてくれた。
「っったぁ…っ!」
男の絶叫に苦痛に恐る恐る目を開くと、私を受け止めてくれたのはテル君だった。
私を掴む男の腕を握りながら、睨んでいるのが目に入った。
「…何してんの?つーか、誰に許可を得てシュウに触ってんの?」
折れそうなくらい強い力で握られた男の腕から、ミシッと骨が折れる音がした。
「痛いって…!!離せよ……!!」
余裕だった男の顔は苦痛に歪んでる。
「っ…テル…くん…?」
このままじゃダメだ。テル君がこの男を殺してしまう。そう思って腕の中で何とか声をあげた。
私に気付いたテル君は、ホッと胸を撫で下ろして手の力を緩めた。
「っ……ちょっとした冗談じゃん」
男は握られた腕を摩りながら、後退りを始めた。それでも、テル君は睨むのを辞めない。
「…次に近づいたら殺すから」
いつものような優しい声じゃ無かった。
(…怒ってる…)
男が救護室を去っていくのを見届けると、やっとテル君は私へと視線を移した。
「シュウ…大丈夫?…ごめん…俺が傍にいなかったから……」
心配そうに私の顔に触れ、汗で額に張り付く髪を指で拭いながら焦っている。
(やっぱり優しい…)
抱き止めてくれた腕のチカラに安心する。心配そうに見つめてくれる、その視線は固まっていた私の身体を解していく。
頬に触れる手に、そっと自分の手を重ねた。
(……いい香りがする……温かい……)
今まで苦しかった息が吸える。指先に体温が戻ってくる。
「…うん…。授業中だったのに……ありがと……っうわっ」
身体がふわっと浮いた。軽々と横抱きに私を抱えて、テル君は救護室を出て行こうと歩きだす。
気がついたら、さっきまでいなかったはずのファリスが「カッコいいー。テル、マジもんの王子じゃん」なんて、からかいながら見つめていた。
「ファリス。シュウ、体調悪そうだからさ…。ここ、任せるわ」
「わ…私!?もう平気っ!!体調悪くない…!!っ大丈夫だよ…」
腕の中の私の言葉なんて聞いてない。
「うぃ~。任された」
ファリスも軽いノリでそう言うから、私はそのまま救護室を後にした。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
つがいの皇帝に溺愛される幼い皇女の至福
ゆきむら さり
恋愛
稚拙な私の作品をHOTランキング(7/1)に入れて頂き、ありがとうございます✨読んで下さる皆様のおかげです🧡
〔あらすじ〕📝強大な魔帝国を治める時の皇帝オーブリー。壮年期を迎えても皇后を迎えない彼には、幼少期より憧れを抱く美しい人がいる。その美しい人の産んだ幼な姫が、自身のつがいだと本能的に悟る皇帝オーブリーは、外の世界に憧れを抱くその幼な姫の皇女ベハティを魔帝国へと招待することに……。
完結した【堕ちた御子姫は帝国に囚われる】のスピンオフ。前作の登場人物達の子供達のお話。加えて、前作の登場人物達のその後も書かれておりますので、気になる方は、是非ご一読下さい🤗
ゆるふわで甘いお話し。溺愛。ハピエン🩷
※設定などは独自の世界観でご都合主義となります。
◇稚拙な私の作品📝にお付き合い頂き、本当にありがとうございます🧡
伯爵令嬢のユリアは時間停止の魔法で凌辱される。【完結】
ちゃむにい
恋愛
その時ユリアは、ただ教室で座っていただけのはずだった。
「……っ!!?」
気がついた時には制服の着衣は乱れ、股から白い粘液がこぼれ落ち、体の奥に鈍く感じる違和感があった。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる