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そして私は私の幸せを見つける

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 ──あぁ、私は気がつかないうちに多くの人に心配をかけてしまっていたんだな。自分がいなくなっても誰も悲しむ人はいない、気がつく人もいないだろう。そう思っていたのに……

「どうか、妹を、村の人達を助けてください」

 青年は私に涙ながらそう訴えた。

「わかりました」

 私は青年に必要な物資の手配を指示し町に向かわすと、自分は手製の薬草を持って青年の村に向かった。
 青年と一緒でないので、どうなるかと思ったが、村人たちも私を見るなり、神の使いが現れたかのような歓迎をした。

 村人に信用してもらうために青年に一筆書いてもらっていたが杞憂だったようだ。

 そして青年が報道陣とともに、ヘリで物資を運んできたころには、私は村人のほとんどの治療を終えていたのだった。

 もちろん、青年の妹も無事に峠を超え、あとは栄養をとり安静にしていればなんの問題もなく回復するだろう。

『行方不明の女性が、嵐で断絶され病魔で危機的状況の村に突如降臨!?』

 あっというまにそのニュースは日本中、いや世界中を駆け巡った。

『ナイチンゲールの生まれ変わり! 聖女現る!』

 しばらくはそんな見出しが紙面をにぎわせた。

 それから数年。私は山間の小さな村で、診療所を兼ねたカファを営んでいる。
 すっかり有名となってしまった村にはいまだに多くの観光客や信者が訪れるので経営のほうは順調だ。

 ちなみにあの時出会った青年は今は私の旦那様になっている。
 罠にかかっていた時も綺麗な顔立ちだと思ったが、明るい日の下で改めてよく見れば、それはそれは、都会にいたらモデル事務所もほっとかないほどの美青年だった。
 そしてその妹も頬ずりしたくなる美少女だった。

 私を溺愛してくれる旦那様がいて、可愛い義妹もいる。もうすぐ新しい家族も増える。

 のどかな村で村人達にも慕われながら、のんびりとカフェと診療所を営むスローライフ。
 今から異世界に行けますと女神が現れても、即答でお断りするだろう。 
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