39 / 147
第一章 出会いからもう一度
運命の選択
しおりを挟む
まさに青天の霹靂である。
メアリーは魔力が少ないことをとてもコンプレックスに思っていて、魔力があるせいでフーブル学園に入学させられたのに、来年の選択では魔法学部に行く事はなくユアンと同じ行政学部を選ぶほど魔法との関わりを避けていたはずなのに──!
「メ、メアリーさん」
「?」
一瞬いろんな考えが頭の中を駆け巡る。何かがまた1つ大きく道を外していくようなそんな気がした。
ここで選択を間違えたら、きっとメアリーとの未来はなくなるそんな気さえした。
「ぼ、僕も入部します!」
ユアンはおもわず叫んでいた。
キラリとアスタの目が光った気がしたが、あえて見ないようにする。
「うれしいなぁ、いっぺんに新入部員が3人も増えるなんて」
一同を見渡しキールを素通りすると、アスタはそう言った。
(キールの恋はまずこの兄を倒してからでないと無理かも)
そんな思いが頭に浮かぶ。
「俺は来年から騎士学部に入る予定だから、クラブ活動は無理です」
騎士学部の生徒は、授業と別に訓練やら課外活動や遠征授業があるので、クラブ活動に割く時間などほとんどないのだ。
「でも体力には自信があるので、何か困ったことがあったら出来る限り協力します。だから遠慮なく言ってください」
キールはアンリに向かってそう言った。
「それはありがたい申し出だ。必要な時だけ声をかけるよ」
そんなキールの肩を掴み、自分のほうに向けながらアスタが含んだ言い方をする。
あれはアンリのいない時だけ呼びつけて、いいようにモルモットとして使ってやろうという顔だな。と、ユアンは思った。
「なんだ、今日はいやにたくさん人がいるじゃないか」
ちょうどその時扉を開けてアレクが帰ってきた。
「アレク大会は?」
アンリの呼び声に、アレクがニッと笑顔で親指を立てて見せる。
「楽勝♪」
どうやら、魔術大会はアレクが優勝したようだ。
(あれ、そういえばアスタは早々とこの小屋に帰ってきていたが……。まあ訪ねるのはやめておこう)
「で、この方たちは?」
アレクが聞いた。
「1人を除いて、入部してくれるみたいだ」
アスタの答えに、アレクがびっくり仰天と言う眼でユアンたちを見渡した。
「そりゃ凄い」
「これで部員は6人になったわ」
アンリが喜びの声を上げる。
それもそのはず、部員が5名以上そろえば、同好会からクラブ活動にランクアップされるのだから、これで正式に学園から認められる。
「魔法道具研究同好会改め、魔法道具研究倶楽部、略して魔具研へようこそ」
アンリたち三人が声をそろえる。
(改めなくても訳したら一緒じゃないか)とは、誰も突っ込まない。
こうしてユアンの一年目の学術祭は目まぐるしく、幕を下ろしたのだった。
メアリーは魔力が少ないことをとてもコンプレックスに思っていて、魔力があるせいでフーブル学園に入学させられたのに、来年の選択では魔法学部に行く事はなくユアンと同じ行政学部を選ぶほど魔法との関わりを避けていたはずなのに──!
「メ、メアリーさん」
「?」
一瞬いろんな考えが頭の中を駆け巡る。何かがまた1つ大きく道を外していくようなそんな気がした。
ここで選択を間違えたら、きっとメアリーとの未来はなくなるそんな気さえした。
「ぼ、僕も入部します!」
ユアンはおもわず叫んでいた。
キラリとアスタの目が光った気がしたが、あえて見ないようにする。
「うれしいなぁ、いっぺんに新入部員が3人も増えるなんて」
一同を見渡しキールを素通りすると、アスタはそう言った。
(キールの恋はまずこの兄を倒してからでないと無理かも)
そんな思いが頭に浮かぶ。
「俺は来年から騎士学部に入る予定だから、クラブ活動は無理です」
騎士学部の生徒は、授業と別に訓練やら課外活動や遠征授業があるので、クラブ活動に割く時間などほとんどないのだ。
「でも体力には自信があるので、何か困ったことがあったら出来る限り協力します。だから遠慮なく言ってください」
キールはアンリに向かってそう言った。
「それはありがたい申し出だ。必要な時だけ声をかけるよ」
そんなキールの肩を掴み、自分のほうに向けながらアスタが含んだ言い方をする。
あれはアンリのいない時だけ呼びつけて、いいようにモルモットとして使ってやろうという顔だな。と、ユアンは思った。
「なんだ、今日はいやにたくさん人がいるじゃないか」
ちょうどその時扉を開けてアレクが帰ってきた。
「アレク大会は?」
アンリの呼び声に、アレクがニッと笑顔で親指を立てて見せる。
「楽勝♪」
どうやら、魔術大会はアレクが優勝したようだ。
(あれ、そういえばアスタは早々とこの小屋に帰ってきていたが……。まあ訪ねるのはやめておこう)
「で、この方たちは?」
アレクが聞いた。
「1人を除いて、入部してくれるみたいだ」
アスタの答えに、アレクがびっくり仰天と言う眼でユアンたちを見渡した。
「そりゃ凄い」
「これで部員は6人になったわ」
アンリが喜びの声を上げる。
それもそのはず、部員が5名以上そろえば、同好会からクラブ活動にランクアップされるのだから、これで正式に学園から認められる。
「魔法道具研究同好会改め、魔法道具研究倶楽部、略して魔具研へようこそ」
アンリたち三人が声をそろえる。
(改めなくても訳したら一緒じゃないか)とは、誰も突っ込まない。
こうしてユアンの一年目の学術祭は目まぐるしく、幕を下ろしたのだった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる