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第二章 青春をもう一度
小さな悩みは吹き飛んだ
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「おい、みんな心配してるぞ」
お昼が過ぎても帰ってこないユアンをキールが迎えにくる。
「うん……」
「で、何があったんだよ」
迎えには来たが、とりあえずユアンの横に腰を下ろす。
簡単な経緯は聞いたが、なぜユアンがその場を立ち去ったのか、キールを含めみんなにもわからなかったからだ。
「なにがって、いうことでもないのだけど」
ユアンがポツリと呟く。
「メアリーが、醜かった時の僕を本当は知っていたんだって気が付いたら、なんだかあの場にいるのがすごく恥ずかしくなって」
「醜いって──」
あきれ顔でユアンを見る。
「なんだそれ。だいたい昔からの知り合いだったんじゃないのか?」
それに対してユアンが首をかしげる。
「だって、前に誤解がどうのこうのって悩んでたのメアリーのことだろ」
「なっ、なぜ!?」
「見ていればわかるよそれぐらい」
「これでも幼馴染なんだぞ」とキールが言う。
ローズマリーに続き、あの恋愛というものに鈍感なキールにすらバレているとは、もう確認しなくても魔具研の全員が気が付いているに違いない。
もしやメアリーも、と思ったがそれはないだろうと首を振る。
「確かにそうなんだけど、彼女は僕を同一人物だと気がついていないと思っていままで接してきたのに」
甘いものが少し好きだけど、スマートでちゃんと自分の体重を管理できる男。そんな虚像を勝手に作り上げていた。
「はあ?」
鼻で笑われる。
「ユアンは昔からウダウダ考えすぎだ。太っていたことのどこが恥ずかしいんだ。俺は太っている姿も可愛くて好きだったぞ。それを醜いなんて」
本心なのだろう。キールはお世辞なんて言わない。ただ、ユアンに対して甘いとこがあるので可愛いといわれても、一般的にかどうかは疑問が残る。
「それと彼女は見た目で人を差別する人間じゃないとわかって、よかったじゃないか」
昔太っていたユアンをバカにしていた子供たちを、キールはよく追い払ってくれた。
そして人は見た目じゃないとよく言っていた。
「…………」
確かに、彼女は12歳の太った食い意地のはった情けないユアンを知っていながら、今も笑顔で隣にいてくれているのだ。
さらにいうなら前回の人生では、太ってままのユアンと結婚までしてくれているではないか。
死の間際、太っているせいでメアリーを助けられなかった。という思いが強すぎて、いつの間にか太っていた頃をユアン自身が嫌悪していたようだ。
(太ってたことを恥ずかしいと思うのも、情けないと思うのも自分なのに、ただ黙っていたメアリーを一瞬でも陰で悪口を言っていた昔の同級生と同じように感じるなんて)
ユアンは、自分のほっぺたを力いっぱい両手で挟むように叩いた。
お昼が過ぎても帰ってこないユアンをキールが迎えにくる。
「うん……」
「で、何があったんだよ」
迎えには来たが、とりあえずユアンの横に腰を下ろす。
簡単な経緯は聞いたが、なぜユアンがその場を立ち去ったのか、キールを含めみんなにもわからなかったからだ。
「なにがって、いうことでもないのだけど」
ユアンがポツリと呟く。
「メアリーが、醜かった時の僕を本当は知っていたんだって気が付いたら、なんだかあの場にいるのがすごく恥ずかしくなって」
「醜いって──」
あきれ顔でユアンを見る。
「なんだそれ。だいたい昔からの知り合いだったんじゃないのか?」
それに対してユアンが首をかしげる。
「だって、前に誤解がどうのこうのって悩んでたのメアリーのことだろ」
「なっ、なぜ!?」
「見ていればわかるよそれぐらい」
「これでも幼馴染なんだぞ」とキールが言う。
ローズマリーに続き、あの恋愛というものに鈍感なキールにすらバレているとは、もう確認しなくても魔具研の全員が気が付いているに違いない。
もしやメアリーも、と思ったがそれはないだろうと首を振る。
「確かにそうなんだけど、彼女は僕を同一人物だと気がついていないと思っていままで接してきたのに」
甘いものが少し好きだけど、スマートでちゃんと自分の体重を管理できる男。そんな虚像を勝手に作り上げていた。
「はあ?」
鼻で笑われる。
「ユアンは昔からウダウダ考えすぎだ。太っていたことのどこが恥ずかしいんだ。俺は太っている姿も可愛くて好きだったぞ。それを醜いなんて」
本心なのだろう。キールはお世辞なんて言わない。ただ、ユアンに対して甘いとこがあるので可愛いといわれても、一般的にかどうかは疑問が残る。
「それと彼女は見た目で人を差別する人間じゃないとわかって、よかったじゃないか」
昔太っていたユアンをバカにしていた子供たちを、キールはよく追い払ってくれた。
そして人は見た目じゃないとよく言っていた。
「…………」
確かに、彼女は12歳の太った食い意地のはった情けないユアンを知っていながら、今も笑顔で隣にいてくれているのだ。
さらにいうなら前回の人生では、太ってままのユアンと結婚までしてくれているではないか。
死の間際、太っているせいでメアリーを助けられなかった。という思いが強すぎて、いつの間にか太っていた頃をユアン自身が嫌悪していたようだ。
(太ってたことを恥ずかしいと思うのも、情けないと思うのも自分なのに、ただ黙っていたメアリーを一瞬でも陰で悪口を言っていた昔の同級生と同じように感じるなんて)
ユアンは、自分のほっぺたを力いっぱい両手で挟むように叩いた。
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