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第一章 出会いからもう一度
そうだデートに行こう
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「今度アンリ先輩にキールのいいとこ話して聞かせないと」
特に何か言ったわけではないが、キールが買ってくれたクッキーを食べながら、ユアンはここ数週間で一番穏やかな気持ちでそんなことを考える。
「しかし、何か……すごく重大なことを、忘れてる気がする……」
ふとそんな思いがよぎり首をかしげる。
「…………」
そしてユアンは、自分がやらかしているとんでもない失態におもわず残りのクッキーを袋ごと粉砕するほどの衝撃を受けた。
「メアリーとまだケーキ食べ放題に行っていない!」
なんということだろう、あんな必死の覚悟でデートに誘ったのに。学術祭から今日まであまりに衝撃的な事柄が次々と起こったせいで、いまのいままですっかりそのことを失念してしまっていたのだ。
「人の恋路の応援してる場合じゃない!」
こうしてはいられん、粉砕して粉となったクッキーを口に流しいれながら、「今すぐケーキバイキングデートを実行しなければ」と、ユアンは闘志を燃やしたのだった。
──放課後。
いつもならメアリーが教室までローズマリーを迎えに来るので、そこで3人で魔法道具研究倶楽部の小屋(部室)まで行き、その後先輩であるあの三人兄弟が来るまで、メアリーとローズマリーが話しているのを聞くでもなく聞いて、3人が来たらそれぞれの分担をこなすってのがいつものパターンである。
そして帰りは学園の門の前でローズマリーはお迎えの馬車に乗り、メアリーとユアンと先輩たちとはそれぞれ道が違うのでそこでお別れである。
ちなみにアレク達三人は、寮だとアンリだけ別れてしまうのがかわいそうだという理由で(アスタ曰く)、三人で街に部屋を借りている。
昼休みも今はメアリーはクラスメートの女子たちと食べているので近寄りがたい。
はっきり言って、二人っきりで話せる時間などない、学術祭を誘う時は、まだクラブ活動もなかったし、ローズマリーもクラスの出し物の指揮を取っていたので、お昼や放課後など、メアリーが独りになる時間はちょいちょいあったので、そこをつかまえることができたのだが……
「どうにかして、呼び出せないか」
普通に呼び出せばよいのだが、前の人生でユアンは自分と一緒にいるせいで、キールもメアリーも変な目で見られていたという思いがあったので、普通にみんなと仲良くしてるところに割って入って連れ出すという発想は思いつかないのだ。
だからバレないように呼び出すことしか頭にない。
「う~ん……」
「あの、ユアン様」
ユアンが腕を組んで考えていると、ローズマリーが声をかけてきた。
「あ、はい。なんですか?」
「あの、今日急にクラス委員の仕事が入ってしまったので、すみませんが、メアリーが迎えに来たら、先にお二人で行っていただけませんかしら」
「えっ、いいんですか?」
「え、はい、お願いしますわ。どれくらいかかるかわかりませんもの」
ローズマリーはユアンが気を使ってくれたのだと思っているようだが、ユアンにとっては渡りに船である。
二人になる大義名分を得たのだから。
そうして、ユアンはメアリーと今度の休みにようやくケーキバイキングという名の初デートの約束を取り付けることに成功したのだった。
特に何か言ったわけではないが、キールが買ってくれたクッキーを食べながら、ユアンはここ数週間で一番穏やかな気持ちでそんなことを考える。
「しかし、何か……すごく重大なことを、忘れてる気がする……」
ふとそんな思いがよぎり首をかしげる。
「…………」
そしてユアンは、自分がやらかしているとんでもない失態におもわず残りのクッキーを袋ごと粉砕するほどの衝撃を受けた。
「メアリーとまだケーキ食べ放題に行っていない!」
なんということだろう、あんな必死の覚悟でデートに誘ったのに。学術祭から今日まであまりに衝撃的な事柄が次々と起こったせいで、いまのいままですっかりそのことを失念してしまっていたのだ。
「人の恋路の応援してる場合じゃない!」
こうしてはいられん、粉砕して粉となったクッキーを口に流しいれながら、「今すぐケーキバイキングデートを実行しなければ」と、ユアンは闘志を燃やしたのだった。
──放課後。
いつもならメアリーが教室までローズマリーを迎えに来るので、そこで3人で魔法道具研究倶楽部の小屋(部室)まで行き、その後先輩であるあの三人兄弟が来るまで、メアリーとローズマリーが話しているのを聞くでもなく聞いて、3人が来たらそれぞれの分担をこなすってのがいつものパターンである。
そして帰りは学園の門の前でローズマリーはお迎えの馬車に乗り、メアリーとユアンと先輩たちとはそれぞれ道が違うのでそこでお別れである。
ちなみにアレク達三人は、寮だとアンリだけ別れてしまうのがかわいそうだという理由で(アスタ曰く)、三人で街に部屋を借りている。
昼休みも今はメアリーはクラスメートの女子たちと食べているので近寄りがたい。
はっきり言って、二人っきりで話せる時間などない、学術祭を誘う時は、まだクラブ活動もなかったし、ローズマリーもクラスの出し物の指揮を取っていたので、お昼や放課後など、メアリーが独りになる時間はちょいちょいあったので、そこをつかまえることができたのだが……
「どうにかして、呼び出せないか」
普通に呼び出せばよいのだが、前の人生でユアンは自分と一緒にいるせいで、キールもメアリーも変な目で見られていたという思いがあったので、普通にみんなと仲良くしてるところに割って入って連れ出すという発想は思いつかないのだ。
だからバレないように呼び出すことしか頭にない。
「う~ん……」
「あの、ユアン様」
ユアンが腕を組んで考えていると、ローズマリーが声をかけてきた。
「あ、はい。なんですか?」
「あの、今日急にクラス委員の仕事が入ってしまったので、すみませんが、メアリーが迎えに来たら、先にお二人で行っていただけませんかしら」
「えっ、いいんですか?」
「え、はい、お願いしますわ。どれくらいかかるかわかりませんもの」
ローズマリーはユアンが気を使ってくれたのだと思っているようだが、ユアンにとっては渡りに船である。
二人になる大義名分を得たのだから。
そうして、ユアンはメアリーと今度の休みにようやくケーキバイキングという名の初デートの約束を取り付けることに成功したのだった。
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