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第24幕 甘い誘惑と苦い後悔
03
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「みたいって言うか……デートだけど?」
「はぁ?」
「いや、だからどう見たって、デートでしょ。今日は人目も気にせず手だって繋いだじゃん」
「あれは繋いだうちに入らないろ⁉︎ おっ、俺は男だ。それに玉夫とはごっこだろ⁉︎」
「男だろうとごっこだろうと、デートには変わりないし俺は嬉しい」
「変な奴……」
「お褒め頂き光栄です」
「褒めてねぇよ」
ニコニコと笑いながらワイングラスを傾ける玉夫は、贔屓目なしで様になっている。イケメンとはなにをしてもカッコイイものだ。
対する俺はといえば、こんな女装姿でなんて情けないことか。ずいぶん割に合わないお礼になってしまったと、コクコクと甘くて飲みやすい白ワインを喉に流していた。
「瀬菜ちゃんって、鈍感で無自覚ってよく言われない?」
「……確かによく言われるけど自分じゃ分からない」
「ははっ、だよね。理解してたらそうはならない」
「どうせ鈍感でアホだよ」
「そこまでは言っていないじゃん。むしろ可愛いって思うけど?」
「お前が言うことは本気かどうか分からん」
「本気かどうかなんて他人には分からないよ。けど、瀬菜ちゃんのそういうハッキリした物言い、俺は好きだよ」
玉夫の話はいつもフワフワしていて理解できない。
今までこんなタイプの友人は、俺の周りにはいなかった。思考が異なり過ぎているのだ。それでも一緒に連んでいて素の自分でいられる。要は気取る必要もなく楽なのだ。
お腹もいっぱいになり、苦手なワインも気付けばかなり飲んでいた。ワインはなぜか昔から身体に合わず、酒類の中で唯一酔が廻ることが多い。分かっていても飲み口がよかったせいもあり、いつも以上に飲んでしまった。
店を出る頃には膨れていた機嫌は収まり、ケラケラと笑い上機嫌になっていた。慣れないヒールが足元を怪しく振らつかせる。
「フッ、瀬菜ちゃんを酔わすアイテムはワインだったか」
「へへっ、酔ってない。普通らっ……ヒクッ」
「そうなの? なら次の店行く?」
「んーー、ユウにご飯」
「プッ! そこはちゃんとしてるんだ。じゃ、一回帰って餌やったら飲み直そう」
「おー! お前頭いいな! 家飲みだなー」
「あぁ、いいね。家飲み……」
家に帰りユウにご飯をあげると、玉夫にまた外へと連れ出された。タクシーに乗せられ酒でも買いに行くのか? と思っていたはずだが、着いた先は見慣れないマンションだった。
ポワポワな頭で首を傾げていると、玉夫に「家飲みだよ」と部屋に通された。
「ほらほら、入って俺んちだから。瀬菜ちゃんちでもいいけどさ、ワンコ怖いからゆっくり飲めないんだよね」
「……んー、ユウひとりで可哀想じゃん」
「俺もビクビクしながらじゃ可哀想じゃん。まぁ、座って座って」
フカフカなソファーに腰掛け、玉夫が用意したグラスにワインが注がれていく。黄色掛かった透明な液体をボンヤリ見ながら、さっきのワインも美味しかったと舌なめずりしてしまう。
「なんだ、瀬菜ちゃんワイン実は好きなの?」
「ううん、苦手。でもさっきの甘くて美味かった」
「へー甘いのが好きなんだ。いつも渋いのばっかだから意外。なら、これも好きだと思うよ?」
チンッとワイングラスが小気味よい音を立てながら、グルグルとグラスの中を液体が回っている。クンクンと匂いを嗅いで、口に含むとフルーティーで程よく甘い。
「……美味しい」
「よかった。俺実はワイン結構詳しいんだよね」
「はははっ、チャライな! そうやって口説いてんのか?」
「まぁねぇ~♡」
「はぁ?」
「いや、だからどう見たって、デートでしょ。今日は人目も気にせず手だって繋いだじゃん」
「あれは繋いだうちに入らないろ⁉︎ おっ、俺は男だ。それに玉夫とはごっこだろ⁉︎」
「男だろうとごっこだろうと、デートには変わりないし俺は嬉しい」
「変な奴……」
「お褒め頂き光栄です」
「褒めてねぇよ」
ニコニコと笑いながらワイングラスを傾ける玉夫は、贔屓目なしで様になっている。イケメンとはなにをしてもカッコイイものだ。
対する俺はといえば、こんな女装姿でなんて情けないことか。ずいぶん割に合わないお礼になってしまったと、コクコクと甘くて飲みやすい白ワインを喉に流していた。
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「……確かによく言われるけど自分じゃ分からない」
「ははっ、だよね。理解してたらそうはならない」
「どうせ鈍感でアホだよ」
「そこまでは言っていないじゃん。むしろ可愛いって思うけど?」
「お前が言うことは本気かどうか分からん」
「本気かどうかなんて他人には分からないよ。けど、瀬菜ちゃんのそういうハッキリした物言い、俺は好きだよ」
玉夫の話はいつもフワフワしていて理解できない。
今までこんなタイプの友人は、俺の周りにはいなかった。思考が異なり過ぎているのだ。それでも一緒に連んでいて素の自分でいられる。要は気取る必要もなく楽なのだ。
お腹もいっぱいになり、苦手なワインも気付けばかなり飲んでいた。ワインはなぜか昔から身体に合わず、酒類の中で唯一酔が廻ることが多い。分かっていても飲み口がよかったせいもあり、いつも以上に飲んでしまった。
店を出る頃には膨れていた機嫌は収まり、ケラケラと笑い上機嫌になっていた。慣れないヒールが足元を怪しく振らつかせる。
「フッ、瀬菜ちゃんを酔わすアイテムはワインだったか」
「へへっ、酔ってない。普通らっ……ヒクッ」
「そうなの? なら次の店行く?」
「んーー、ユウにご飯」
「プッ! そこはちゃんとしてるんだ。じゃ、一回帰って餌やったら飲み直そう」
「おー! お前頭いいな! 家飲みだなー」
「あぁ、いいね。家飲み……」
家に帰りユウにご飯をあげると、玉夫にまた外へと連れ出された。タクシーに乗せられ酒でも買いに行くのか? と思っていたはずだが、着いた先は見慣れないマンションだった。
ポワポワな頭で首を傾げていると、玉夫に「家飲みだよ」と部屋に通された。
「ほらほら、入って俺んちだから。瀬菜ちゃんちでもいいけどさ、ワンコ怖いからゆっくり飲めないんだよね」
「……んー、ユウひとりで可哀想じゃん」
「俺もビクビクしながらじゃ可哀想じゃん。まぁ、座って座って」
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「へー甘いのが好きなんだ。いつも渋いのばっかだから意外。なら、これも好きだと思うよ?」
チンッとワイングラスが小気味よい音を立てながら、グルグルとグラスの中を液体が回っている。クンクンと匂いを嗅いで、口に含むとフルーティーで程よく甘い。
「……美味しい」
「よかった。俺実はワイン結構詳しいんだよね」
「はははっ、チャライな! そうやって口説いてんのか?」
「まぁねぇ~♡」
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