王子×悪戯戯曲

第21幕 卒業旅行は終わりで始まり

19

「えっ？　俺？　ほらこの通り元気！　へへっ、実千流大好き♪」
「ばっ、こら！　腰ぃ～～ッ！」

　伸しかかりギュッと抱きつくと、実千流は腰が痛い痛いと訴えている。
　これは……はは～ん。そういうことかと理解した。

「へへっ、実千流も幸せ。俺も幸せ～♪」
「そーだね！　それより、朝食作らなくていいの？」
「あっ、そうじゃん！　チャーハンだな！」
「だなってよく言うよね～。瀬菜、それしか作れないじゃん」
「へへっ、バレた？　でも今日は限定版だぞ！　あっ、実千流も食べる？」

　キッチンに向かい冷蔵庫を漁る。沖縄の特産品をチョイスし、ゴーヤとスパムをベースにすることにした。外で遊ぶみんなもきっと食べるかな？　と少し多めに用意した。


「あっちぃ～。すげぇ汗だく。お前らマジになり過ぎ」
「ふふっ、雅臣だってマジだったじゃん」
「あーー、やっぱ負けた。村上手抜くなよ」
「えー俺のせいなん⁉︎　これ筋肉痛になりそ～。おぉっ、いい匂いする！　柳ちゃんそれ、俺も食べたい～♪」
「うゎっ！　お前ら砂だらけじゃん！　食べる前に全員風呂行って来い‼︎」

　ヘイヘイ～と声を揃えて仲良くゾロゾロと風呂場へ行くのを見送ると、人数分のお皿を用意し温め直す。スープも多めに作っておいて正解だった。

「なんか瀬菜、お母さんって感じー」
「はぁ？　管理人さんとかにしとけよ。あんなにごっつい子供共を産んだ覚えはない。それよか早く味見して」
「えー、俺毒味係？　今さらしても遅くない？」
「だって、多澤とか絶対文句言うし！　心構えみたいな？」

　ドキドキしながら実千流が食べるのをジッと見ると、モグモグしながら「悪くない……けど、塩っぱいかも？」と言われた。そうこうしている内に、風呂から上がったみんなが「腹減った～」と言いながら戻って来てしまった。
　お腹が空いているなら、少しは誤魔化せるか……と諦め、ムシャムシャとガッつく姿に圧巻中だ。これはどういうことだろうか？

「あのさ……味、平気？」
「悪くねぇぞ」
「うん、ゴーヤの苦味が美味しいよ？」
「スパムも塩分強めで美味ぇ」
「うんうん。汗かいたから濃い味最高だぁね♪」
「なるほど……運動したあとにはいいみたい。よかったね瀬菜」
「へへっ……って！　塩っぱっっーー‼︎」

　慣れないキッチンと食材での調理は怪我の功名で成功した。ただ、俺と実千流には塩分が多過ぎて、その後バナナをいっぱい食べさせられました……。


※瀬菜の独り言マメ知識※
塩分の取り過ぎは怠くなったりするから注意だぞ。因みに塩分を取り過ぎた場合はカリウムを取ると排せつが進むんだって。バナナもそのひとつだ。あっちのバナナじゃないからな‼︎