王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第17幕 上級生と下級生 〜高校三年生編〜

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 純粋な森山君のことだ、悠斗から俺の人物像を植え付けられたのだろう。そんな森山君が一体どうやって難関な通川君を攻略したのか……気にならないと言えば嘘になる。
 実千流も真意を知りたいらしく、確認するようにストレートに投げ掛けた。

「率直に確認するけど、生徒会に入るってことでいいのかな?」
「ええ。先週も柳先輩と立花先輩には伝えましたが、森山も是非にとのことなので、僕でお役に立てるならよろしくご指導ください」
「それはありがたい……。もうひとついいかな?」

 実千流の質問に、通川君は無言で頷き言葉の先を促す。

「ただ生徒会に入ってくれという訳じゃないんだ。通川君には後々、生徒会長も引き受けて欲しい」
「ええ。お引き受けします。精一杯責任持って、森山と学園を盛り上げて行きたいと思ってます」

 満面の笑みで返され、実千流と俺は顔を見合わせ首を傾げると、視線を森山君に向けた。

「で? 森山君、どうやってこの氷の王子を説得したのさ」
「本当だよ。俺達の話なんて聞いてもくれなかったのにな」
「……それは……その……大したことは……」

 歯切れのよくない森山君に、通川君が紅茶を啜りながら呟く。

「やはり美味しいですね。柳先輩、お代わりいただいても?」
「あっ、うん。そんなに気に入ったのか?」

 カップに手を伸ばすと、サッと腕を掴まれてしまう。

「ええ、気に入りました。先輩って頬だけじゃなく、二の腕も柔らかいんですね。確か……二の腕の柔らかさは胸と同じと聞きますが」

 首を傾げる俺とは対象的に、ガタンと音を立てながら辺りがざわめく。悠斗に引き寄せられる俺と、森山君に腕を掴まれる通川君。
 二人の素早さにクスクス笑う通川君。実千流は冷静になりながらも「あー……」と声を上げていた。

「クッ──! 通川! 話しが違う!」
「クククッ……素晴らしくいい反応だ。話し? あぁ、悪い……すっかり忘れるところだった」

 悪びれた様子なく通川君は降参ポーズを披露し、悠斗や森山君にお小言を食らう前に自ら軌道修正にかかった。

「職務は全うしますからご安心を。もちろん暇潰しなんてことは誓ってしません。立花先輩を見習っていけないこと……なんてことは神聖な教育の場ではできませんよ。なぁ、森山……」
「……ゲスが……」

 森山君は問われると口調を荒くしながらも、みるみる顔を紅く染める。それを見た悠斗は目を丸めると、失笑しながらやれやれという感じだ。

「いけないこと? 悠斗、お前なにかしたのか?」
「……なにも。瀬菜が疑うようなこと、俺がすると思う?」
「いや、するだろ……」
「心外だな♪」

 話の流れがさっぱりな俺は、悠斗に新しいお茶を淹れてきてと、なぜか会長室を追い出されてしまった。あとで悠斗や実千流に聞いても、気にすることではないとはぐらかされてしまう始末。
 結局、通川君が嫌がっていた生徒会に入った理由は俺には解らず仕舞いだが、優等生はやはり応用も利いて、業務をどんどん吸収してくれたのは事実。
 生徒会室に挨拶しに来た日は、冷やかしや暇潰しなのかもと心配していたが、真面目に人の意見も聞いて取り組んでくれている。まぁ、口が悪いのは相変わらずだが。
 そして俺が知らないところで交わされていた通川君の要望に、俺はここ数日悩まされていた。
 それは────。
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