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第17幕 上級生と下級生 〜高校三年生編〜
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「お引き取りください」
バサリと冷たい声が廊下に響くが、負けじと実千流が俺たちの目の前から去ろうとする相手を引き留めた。
「君ね~、年長者の話は最後まで聞くものだよ」
「ちょっ、実千流……そんな言い方。通川君、お願いだから話……」
俺が全てを言い終わる前に、威圧感たっぷりで上から深いため息が吐き出された。
「話は三日前にすでに伺いましたよ。これ以上ご足労いただいても、先輩方の要望にはお応えできません」
通川蓮司──。二年生のトップを維持する秀才だ。悠斗がキラキラ爽やか王子とすると、通川君は冷たいオーラを纏った氷結の王子だ。
彼の容姿は冷たいながらも整い、その姿に目を奪われ氷つけにされてしまうような、妖しい惹き寄せられるものがあった。口元のホクロが男性だというのに、色気を増幅させているのかもしれない。清潔感のあるサラサラな黒髪に、細い銀のフレーム眼鏡の奥にある鋭い瞳は、他人とは関わりたくないと物語っている。
俺も実千流も声を掛けるだけで戸惑い、クールな対応にある意味凍りついてしまっていた。
悠斗から情報を得て翌日早々に通川君のクラスに赴き、急な訪問に謝罪し自己紹介を終え生徒会の名前を出した途端に一刀両断されたのだ。三日前に伺ったと口では言うが、彼は実際最後まで俺たちの話を聞いていないことになる。
予め悠斗から一筋縄ではいかないとは言われていたが、まさかここまで難攻不落だとは思ってもいなかった。酷いことに今日は俺たちの顔を見るなり帰れと遠回しに倦厭される始末だ。けれどそれで引き下がれる俺たちではない。実千流は怒りを抑えながら冷静に柔らかく言葉を発した。
「応えられない? それはなぜかな?」
「聞かなくとも先輩方がなぜ僕を訪ねて来たか理解しているつもりです」
「へーー、凄いや! 通川君は予言者なの?」
「せっ、瀬菜⁉︎ なに馬鹿なこと言って!」
実千流に咎められるが、俺は至って真面目である。
「だって俺たちまだ全然説明していないのに理解しているなんて、超能力使えるとしか思えないじゃんか」
「そんな非現実的なことあるわけないだろ!」
「へへへ……だよなぁ~」
馬鹿な冗談はやめろと実千流に片頬をびよーんと伸ばされる。するとどういう訳か、もう片方の頬も伸び始めた。
「──ふへっ……?」
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