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第15幕 変わりゆく日常
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膝の上から降り腕を胸の前で組み悠斗を睨みつけると、悠斗は俺の背後に回り宥めるように抱きしめてきた。うなじに啄むキスを何度かすると、「分かった。もう聞かない」と言う。ずいぶん諦めの早い悠斗に疑問を抱くが、その声を聞く限り怒ってはいないようだ。
「今日はもう予定ない?」
「うん、悠斗は?」
「俺も。美久の手伝いも終わったし」
「そうなの? 休み中はゆっくりできないかと思ってた」
「それじゃ俺が耐えられないよ。それに瀬菜から来てくれたのが嬉しくて。実千流ちゃんとのデートは楽しかった?」
「うん。凄く豪華だった。ほら、これ触ってみてよ」
お腹の上に悠斗の手のひらを導くと、ぽっこり膨れたお腹に触れさせる。妊婦さんみたいにパンパンだ。美久さんよりも俺のお腹のほうが出ている気がする。
それからは、今日行ったホテルが豪華だったことと、美味しい食事の話をし、いつか一緒に行こうと約束し、久しぶりに悠斗との時間を過ごした。
***
実千流とデザートバイキングに出かけてから特に外出はしなかったが、悠斗も美久さんのお手伝いから解放され、いつも通りに俺とのイチャラブライフにせっせと足を運んでいた。年が明けるとみんなで初詣に行き、冬休み後半は二人で宿題に追われることになってしまった。
冬休みは意外と短い。三学期が始まると卒業式までそう時間は残っていなかった。実千流は初めての大きな行事に毎日眉間に皺を寄せながら、それでも生徒会長らしく振る舞っていた。好意を寄せる相手の卒業ということもあり、かなり気合を入れている様子だった。そんな実千流を俺達なりにサポートし、お世話になった先輩達に恩返しのつもりで毎日躍起になっていた。
二年もあっという間に終わってしまう。妙な焦りを感じながら日常は穏やかに変化し、時間だけは刻々と過ぎていった。
二月、まだまだ寒さが肌に染みる晴天の日、柳家は朝からバタバタとしていた。
親父も一昨日から単身赴任先から有給休暇を利用して帰省していた。おふくろも昨日から休暇を使い、冬休みからそう時間も経たずに家族三人揃っていた。
「せ~な~! いい加減降りてらっしゃい!」
おふくろの大きな声が階下から響いている。
俺は決して寝ている訳ではない。鏡をじっと見つめ何度も身なりを整えていた。
今年で俺も十八歳になる。一年生の頃は間違いなく伸びるだろうと思っていた身長も、全く伸びる気配はなく現状維持だ。鏡越しに踵をあげつま先立ちするも、たいして変わりはない。
そんな俺に痺れを切らしたのか、親父が部屋の扉を開けた。
「瀬菜~入るよ~♪ 早くしないと母さんに角が生えちゃうよ」
「もう生えてるんだろ? なぁ、この格好おかしくない?」
「う~ん。相変わらず可愛いよ? なにが不満なの」
手を広げ親父に意見を求めると、なにもおかしいところはなく可愛いと連呼される。
「今日はもう予定ない?」
「うん、悠斗は?」
「俺も。美久の手伝いも終わったし」
「そうなの? 休み中はゆっくりできないかと思ってた」
「それじゃ俺が耐えられないよ。それに瀬菜から来てくれたのが嬉しくて。実千流ちゃんとのデートは楽しかった?」
「うん。凄く豪華だった。ほら、これ触ってみてよ」
お腹の上に悠斗の手のひらを導くと、ぽっこり膨れたお腹に触れさせる。妊婦さんみたいにパンパンだ。美久さんよりも俺のお腹のほうが出ている気がする。
それからは、今日行ったホテルが豪華だったことと、美味しい食事の話をし、いつか一緒に行こうと約束し、久しぶりに悠斗との時間を過ごした。
***
実千流とデザートバイキングに出かけてから特に外出はしなかったが、悠斗も美久さんのお手伝いから解放され、いつも通りに俺とのイチャラブライフにせっせと足を運んでいた。年が明けるとみんなで初詣に行き、冬休み後半は二人で宿題に追われることになってしまった。
冬休みは意外と短い。三学期が始まると卒業式までそう時間は残っていなかった。実千流は初めての大きな行事に毎日眉間に皺を寄せながら、それでも生徒会長らしく振る舞っていた。好意を寄せる相手の卒業ということもあり、かなり気合を入れている様子だった。そんな実千流を俺達なりにサポートし、お世話になった先輩達に恩返しのつもりで毎日躍起になっていた。
二年もあっという間に終わってしまう。妙な焦りを感じながら日常は穏やかに変化し、時間だけは刻々と過ぎていった。
二月、まだまだ寒さが肌に染みる晴天の日、柳家は朝からバタバタとしていた。
親父も一昨日から単身赴任先から有給休暇を利用して帰省していた。おふくろも昨日から休暇を使い、冬休みからそう時間も経たずに家族三人揃っていた。
「せ~な~! いい加減降りてらっしゃい!」
おふくろの大きな声が階下から響いている。
俺は決して寝ている訳ではない。鏡をじっと見つめ何度も身なりを整えていた。
今年で俺も十八歳になる。一年生の頃は間違いなく伸びるだろうと思っていた身長も、全く伸びる気配はなく現状維持だ。鏡越しに踵をあげつま先立ちするも、たいして変わりはない。
そんな俺に痺れを切らしたのか、親父が部屋の扉を開けた。
「瀬菜~入るよ~♪ 早くしないと母さんに角が生えちゃうよ」
「もう生えてるんだろ? なぁ、この格好おかしくない?」
「う~ん。相変わらず可愛いよ? なにが不満なの」
手を広げ親父に意見を求めると、なにもおかしいところはなく可愛いと連呼される。
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