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第14幕 季節外れの天使ちゃん
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クラスに戻ると皆、口々に三浦さんと矢田さんに賞賛を送っていた。二人が奮い立ってくれなければ、入賞も難しかった。照れ臭そうにしながら「みんなで頑張ったからだよ~」と二人は謙遜気味だ。
「瀬菜? ご機嫌だね?」
「……そう見えるのか? 言っとくけど俺、お前に怒ってるんだからな!」
「ん? 何度も謝ったでしょ?」
「なら、行動で示せ! ほら、寄越せよ!」
三浦さんと矢田さんの照れながらも嬉しそうな姿を横目に、友人達の快挙に俺自身も頰を綻ばせた。そんな俺に、悠斗は機嫌が治ったと勘違いしたのか声を掛けてきた。
ブーっと頰を膨らませながら、手のひらを悠斗に差し出しスマホを寄越せと催促する。悠斗はとぼけた様子でそのまま俺の手を返し、手の甲にチュッとキスをしてきた。
「──ぎゃぁっ! ば、ばばばバカ‼︎ 教室でナニしてくれるんだ‼︎」
「紳士の嗜みだよ」
「──っ、いつの時代の人間だ!」
「敬意を払ったんだけど。瀬菜に許してって」
そう、俺は悠斗の変なプレイ中に撮られた画像を消すべく、お怒りモードで格闘していた。文化祭中に撮られたやつと、一昨日散々鳴かされ撮られまくったやつだ。
全く悪気を感じていない悠斗は、「俺嫌だったのに、クラスのために身を犠牲にしたからご褒美だもん」と、消す意思はまったくないらしい。挙げ句の果てに「消去したほうがいいか、三浦さんにジャッジしてもらう」と、恐ろしいことを言い出す悠斗に、結局最終的には俺が「許してなんでもするから~!」と、泣きを入れる事態に陥ったのだ。
放課後の生徒会室。新体制のための人選は着々と進んでいた。
悠斗のおかげで疲労困憊な俺に、追い打ちを掛けてくる環樹先輩は鬼だ。
「……あの……本気?」
「うん。だって悠斗さんの補佐にしたら、二人でイチャイチャして仕事にならないでしょ?」
「しないよ! 実千流だって俺と遊んじゃうだろ⁉︎」
「姫乃ちゃんは実千流にガツンと言えるからね。息も合うし、いい相談役になってあげて欲しいんだ。てことで次回も会長補佐よろしくね。ボディーガードに由良君も付けてあげるから安心でしょ?」
環樹先輩がそう言うと、橋口先輩も納得した様子で言う。
「まぁ、立花が副会長なら問題ないだろ。そのために一年間シゴいてきたしな」
「橋口先輩のおかげです。二人が遊ばないように目を光らせますよ。まぁ……環樹会長よりは真面だと思いますけどね」
「ひっどーい! 僕結構それなりにやってきたと思うけど? まぁ、新生生徒会、期待してるよ~」
生徒会の人選は会長によって決定される。先輩は当初、悠斗を次期会長に推薦する予定だったようだ。御家事情により、今までの計画が狂ったと実千流を何度も小突いていた。新体制が整い、これからさらに忙しい日々になりそうだ。
黄色い声援がキンキンと今から嫌でも耳に響いてくる。美形の会長と副会長。二人が並ぶ姿は目の保養になると話題になるだろう。
チラッと悠斗を見て笑顔を振り撒く姿に、ハァ……っと深いため息を吐いてしまう。平凡に穏やかにただ学生生活をしたかったなと、まだ見ぬ波乱に気が滅入ってしまう。自分でやろうと始めた生徒会だ。辛いこともあるかもしれないが、最後までやり切ろうと気持ちを奮い立たせたのだった。
「瀬菜? ご機嫌だね?」
「……そう見えるのか? 言っとくけど俺、お前に怒ってるんだからな!」
「ん? 何度も謝ったでしょ?」
「なら、行動で示せ! ほら、寄越せよ!」
三浦さんと矢田さんの照れながらも嬉しそうな姿を横目に、友人達の快挙に俺自身も頰を綻ばせた。そんな俺に、悠斗は機嫌が治ったと勘違いしたのか声を掛けてきた。
ブーっと頰を膨らませながら、手のひらを悠斗に差し出しスマホを寄越せと催促する。悠斗はとぼけた様子でそのまま俺の手を返し、手の甲にチュッとキスをしてきた。
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悠斗のおかげで疲労困憊な俺に、追い打ちを掛けてくる環樹先輩は鬼だ。
「……あの……本気?」
「うん。だって悠斗さんの補佐にしたら、二人でイチャイチャして仕事にならないでしょ?」
「しないよ! 実千流だって俺と遊んじゃうだろ⁉︎」
「姫乃ちゃんは実千流にガツンと言えるからね。息も合うし、いい相談役になってあげて欲しいんだ。てことで次回も会長補佐よろしくね。ボディーガードに由良君も付けてあげるから安心でしょ?」
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「まぁ、立花が副会長なら問題ないだろ。そのために一年間シゴいてきたしな」
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