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第14幕 季節外れの天使ちゃん
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……えっ……俺、なにを見てる?
いや、見せられてる?
お腹なら未だしも、思いっきり片方の胸を見せつけて来る斎賀さんに、顔を真っ赤にさせ固まってしまう。
女の子の裸など見たことはないが、色白な肌にピンクが際立っている。さっと俯きこれは事故だと、やましい気持ちを抱いたことに涙腺が緩みそうになる。悟られないように声を出し、斎賀さんの質問に馬鹿正直に答えた。
「…………あっ、そうっそうそう、そのうち女の子らしくなるよ。ほら、俺らまだ成長期……だし」
「瀬菜って可愛いね。悠斗さんがぞこんなのも分かるかも。けど、鈍感だとは聞いていたけど、まさかここまでとはね」
大きくため息を吐きながら、キャップでパタパタと扇ぎ出す斎賀さん。
やっぱ良く分かんないし、女の子怖い……。
宇宙人だ……人間じゃない……。
「ねぇ、瀬菜。私……いや、俺……オトコだから!」
そっか……それでか……。
マジ心臓止まるかと思った……。
…………えっ?
私……俺…………?
「えぇぇぇーーーー‼︎」
「うわ~、バカ声デカっ‼︎ てか机叩くな行儀悪いな!」
店内に響き渡る大声に、何事かと白い目で注目されてしまう。ペコリと一例すると、ぱすんっと放心気味で着席した。
「……行儀悪いのはお前だろ? 騙してたな!」
「騙してるつもりはない。それに昨日の時点でバレてると思ってた。一緒に居た彼は気付いていたっぽいけど……。待ち合わせしたとき、まだ女だと思ってるっておかしくて。可愛いからしばらく黙っていたんだ」
「……由良りん気付いていたなら、教えてくれてもいいのに~! てか女装して登校する奴なんて見たことねぇし! みんなだって普通に女の子たと思ってるだろ?」
「だって、女の子のほうが都合がいいんだもん♪ 瀬菜いじめるのも楽しかったし♪」
やっぱりいじめていたのか……。
「都合って……騙してまでするかよ」
「俺にしたら女装は重要なんだ」
「重要って……。あと、俺に突っかかってくる理由はなんなんだ」
「あぁ……瀬菜に嫌味言ったこと? 知りたい?」
ニーっと悪い顔で頬杖をつきながら俺を窺ってくる。こうしてマジマジ見ると、整った顔なのは違いない。男と言われても、可愛く幼い顔つきは男でもドキッとしてしまう。
「……ひと言で言えば、嫉妬かなぁ~」
「嫉妬って……悠斗のこと、本気で好きなの?」
「うん、悠斗さんは好きだよ。紳士だし優しい。それに頭もいいし顔もいい」
「悠斗は……ほら、外面いいけど頭イかれてるぞ! ああ見えて超変態だからなっ‼︎」
「あはは……瀬菜ってば必死すぎ! ほら、座って座って恥ずいから」
「ううぅぅ……」
ひとりで余裕がなくて馬鹿みたいだ。
「そんに牽制しなくても悠斗さんのことは取らないよ。悠斗さんは人として好き。恋愛対象じゃないから安心して。俺の秘密も守ってくれた……」
「……秘密って?」
「悠斗さんとお見合い……ってのは嘘で、単なる食事会。もちろん男の姿で会ったよ。俺、こんな性格だし同年代の友達居なかったけど、悠斗さんは話しやすくて俺の悩みも真面目に聞いてくれた。転校して再会したときも、あんな格好で驚いていたみたいだけど、俺が男だってこと黙ってくれていた。瀬菜にも話さなかっただろ?」
「そのせいで喧嘩したけどな」
「はは……恋人と他人のこと話すって普通のことだけど、秘密まで話されるのは好きじゃない。第三者に話した時点で内緒話じゃなくなるじゃん? 悠斗さんは区分けちゃんとしてるよね? だから好きだし、信用できる。瀬菜にしたら色々と説明不足で混乱したと思うけど」
恋人だからすべてを共有するのは当たり前……なんてことは確かにない。
俺も悠斗に内緒にしていることぐらい在るのだ。
「まぁ、あいつは言わな過ぎるところが、悪い癖だけど。特に自分のことは中々言わない」
「あー確かに、そんな感じだよな。瀬菜のこともいっぱい聞いた。それに……」
シュワシュワと炭酸が湧き出るコーラを口に含むと、俺の真横に座り直し内緒話でもするように、斎賀さんは小さな声で呟き始めた。
いや、見せられてる?
お腹なら未だしも、思いっきり片方の胸を見せつけて来る斎賀さんに、顔を真っ赤にさせ固まってしまう。
女の子の裸など見たことはないが、色白な肌にピンクが際立っている。さっと俯きこれは事故だと、やましい気持ちを抱いたことに涙腺が緩みそうになる。悟られないように声を出し、斎賀さんの質問に馬鹿正直に答えた。
「…………あっ、そうっそうそう、そのうち女の子らしくなるよ。ほら、俺らまだ成長期……だし」
「瀬菜って可愛いね。悠斗さんがぞこんなのも分かるかも。けど、鈍感だとは聞いていたけど、まさかここまでとはね」
大きくため息を吐きながら、キャップでパタパタと扇ぎ出す斎賀さん。
やっぱ良く分かんないし、女の子怖い……。
宇宙人だ……人間じゃない……。
「ねぇ、瀬菜。私……いや、俺……オトコだから!」
そっか……それでか……。
マジ心臓止まるかと思った……。
…………えっ?
私……俺…………?
「えぇぇぇーーーー‼︎」
「うわ~、バカ声デカっ‼︎ てか机叩くな行儀悪いな!」
店内に響き渡る大声に、何事かと白い目で注目されてしまう。ペコリと一例すると、ぱすんっと放心気味で着席した。
「……行儀悪いのはお前だろ? 騙してたな!」
「騙してるつもりはない。それに昨日の時点でバレてると思ってた。一緒に居た彼は気付いていたっぽいけど……。待ち合わせしたとき、まだ女だと思ってるっておかしくて。可愛いからしばらく黙っていたんだ」
「……由良りん気付いていたなら、教えてくれてもいいのに~! てか女装して登校する奴なんて見たことねぇし! みんなだって普通に女の子たと思ってるだろ?」
「だって、女の子のほうが都合がいいんだもん♪ 瀬菜いじめるのも楽しかったし♪」
やっぱりいじめていたのか……。
「都合って……騙してまでするかよ」
「俺にしたら女装は重要なんだ」
「重要って……。あと、俺に突っかかってくる理由はなんなんだ」
「あぁ……瀬菜に嫌味言ったこと? 知りたい?」
ニーっと悪い顔で頬杖をつきながら俺を窺ってくる。こうしてマジマジ見ると、整った顔なのは違いない。男と言われても、可愛く幼い顔つきは男でもドキッとしてしまう。
「……ひと言で言えば、嫉妬かなぁ~」
「嫉妬って……悠斗のこと、本気で好きなの?」
「うん、悠斗さんは好きだよ。紳士だし優しい。それに頭もいいし顔もいい」
「悠斗は……ほら、外面いいけど頭イかれてるぞ! ああ見えて超変態だからなっ‼︎」
「あはは……瀬菜ってば必死すぎ! ほら、座って座って恥ずいから」
「ううぅぅ……」
ひとりで余裕がなくて馬鹿みたいだ。
「そんに牽制しなくても悠斗さんのことは取らないよ。悠斗さんは人として好き。恋愛対象じゃないから安心して。俺の秘密も守ってくれた……」
「……秘密って?」
「悠斗さんとお見合い……ってのは嘘で、単なる食事会。もちろん男の姿で会ったよ。俺、こんな性格だし同年代の友達居なかったけど、悠斗さんは話しやすくて俺の悩みも真面目に聞いてくれた。転校して再会したときも、あんな格好で驚いていたみたいだけど、俺が男だってこと黙ってくれていた。瀬菜にも話さなかっただろ?」
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「はは……恋人と他人のこと話すって普通のことだけど、秘密まで話されるのは好きじゃない。第三者に話した時点で内緒話じゃなくなるじゃん? 悠斗さんは区分けちゃんとしてるよね? だから好きだし、信用できる。瀬菜にしたら色々と説明不足で混乱したと思うけど」
恋人だからすべてを共有するのは当たり前……なんてことは確かにない。
俺も悠斗に内緒にしていることぐらい在るのだ。
「まぁ、あいつは言わな過ぎるところが、悪い癖だけど。特に自分のことは中々言わない」
「あー確かに、そんな感じだよな。瀬菜のこともいっぱい聞いた。それに……」
シュワシュワと炭酸が湧き出るコーラを口に含むと、俺の真横に座り直し内緒話でもするように、斎賀さんは小さな声で呟き始めた。
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