463 / 716
第14幕 季節外れの天使ちゃん
14
しおりを挟む
……えっ……俺、なにを見てる?
いや、見せられてる?
お腹なら未だしも、思いっきり片方の胸を見せつけて来る斎賀さんに、顔を真っ赤にさせ固まってしまう。
女の子の裸など見たことはないが、色白な肌にピンクが際立っている。さっと俯きこれは事故だと、やましい気持ちを抱いたことに涙腺が緩みそうになる。悟られないように声を出し、斎賀さんの質問に馬鹿正直に答えた。
「…………あっ、そうっそうそう、そのうち女の子らしくなるよ。ほら、俺らまだ成長期……だし」
「瀬菜って可愛いね。悠斗さんがぞこんなのも分かるかも。けど、鈍感だとは聞いていたけど、まさかここまでとはね」
大きくため息を吐きながら、キャップでパタパタと扇ぎ出す斎賀さん。
やっぱ良く分かんないし、女の子怖い……。
宇宙人だ……人間じゃない……。
「ねぇ、瀬菜。私……いや、俺……オトコだから!」
そっか……それでか……。
マジ心臓止まるかと思った……。
…………えっ?
私……俺…………?
「えぇぇぇーーーー‼︎」
「うわ~、バカ声デカっ‼︎ てか机叩くな行儀悪いな!」
店内に響き渡る大声に、何事かと白い目で注目されてしまう。ペコリと一例すると、ぱすんっと放心気味で着席した。
「……行儀悪いのはお前だろ? 騙してたな!」
「騙してるつもりはない。それに昨日の時点でバレてると思ってた。一緒に居た彼は気付いていたっぽいけど……。待ち合わせしたとき、まだ女だと思ってるっておかしくて。可愛いからしばらく黙っていたんだ」
「……由良りん気付いていたなら、教えてくれてもいいのに~! てか女装して登校する奴なんて見たことねぇし! みんなだって普通に女の子たと思ってるだろ?」
「だって、女の子のほうが都合がいいんだもん♪ 瀬菜いじめるのも楽しかったし♪」
やっぱりいじめていたのか……。
「都合って……騙してまでするかよ」
「俺にしたら女装は重要なんだ」
「重要って……。あと、俺に突っかかってくる理由はなんなんだ」
「あぁ……瀬菜に嫌味言ったこと? 知りたい?」
ニーっと悪い顔で頬杖をつきながら俺を窺ってくる。こうしてマジマジ見ると、整った顔なのは違いない。男と言われても、可愛く幼い顔つきは男でもドキッとしてしまう。
「……ひと言で言えば、嫉妬かなぁ~」
「嫉妬って……悠斗のこと、本気で好きなの?」
「うん、悠斗さんは好きだよ。紳士だし優しい。それに頭もいいし顔もいい」
「悠斗は……ほら、外面いいけど頭イかれてるぞ! ああ見えて超変態だからなっ‼︎」
「あはは……瀬菜ってば必死すぎ! ほら、座って座って恥ずいから」
「ううぅぅ……」
ひとりで余裕がなくて馬鹿みたいだ。
「そんに牽制しなくても悠斗さんのことは取らないよ。悠斗さんは人として好き。恋愛対象じゃないから安心して。俺の秘密も守ってくれた……」
「……秘密って?」
「悠斗さんとお見合い……ってのは嘘で、単なる食事会。もちろん男の姿で会ったよ。俺、こんな性格だし同年代の友達居なかったけど、悠斗さんは話しやすくて俺の悩みも真面目に聞いてくれた。転校して再会したときも、あんな格好で驚いていたみたいだけど、俺が男だってこと黙ってくれていた。瀬菜にも話さなかっただろ?」
「そのせいで喧嘩したけどな」
「はは……恋人と他人のこと話すって普通のことだけど、秘密まで話されるのは好きじゃない。第三者に話した時点で内緒話じゃなくなるじゃん? 悠斗さんは区分けちゃんとしてるよね? だから好きだし、信用できる。瀬菜にしたら色々と説明不足で混乱したと思うけど」
恋人だからすべてを共有するのは当たり前……なんてことは確かにない。
俺も悠斗に内緒にしていることぐらい在るのだ。
「まぁ、あいつは言わな過ぎるところが、悪い癖だけど。特に自分のことは中々言わない」
「あー確かに、そんな感じだよな。瀬菜のこともいっぱい聞いた。それに……」
シュワシュワと炭酸が湧き出るコーラを口に含むと、俺の真横に座り直し内緒話でもするように、斎賀さんは小さな声で呟き始めた。
いや、見せられてる?
お腹なら未だしも、思いっきり片方の胸を見せつけて来る斎賀さんに、顔を真っ赤にさせ固まってしまう。
女の子の裸など見たことはないが、色白な肌にピンクが際立っている。さっと俯きこれは事故だと、やましい気持ちを抱いたことに涙腺が緩みそうになる。悟られないように声を出し、斎賀さんの質問に馬鹿正直に答えた。
「…………あっ、そうっそうそう、そのうち女の子らしくなるよ。ほら、俺らまだ成長期……だし」
「瀬菜って可愛いね。悠斗さんがぞこんなのも分かるかも。けど、鈍感だとは聞いていたけど、まさかここまでとはね」
大きくため息を吐きながら、キャップでパタパタと扇ぎ出す斎賀さん。
やっぱ良く分かんないし、女の子怖い……。
宇宙人だ……人間じゃない……。
「ねぇ、瀬菜。私……いや、俺……オトコだから!」
そっか……それでか……。
マジ心臓止まるかと思った……。
…………えっ?
私……俺…………?
「えぇぇぇーーーー‼︎」
「うわ~、バカ声デカっ‼︎ てか机叩くな行儀悪いな!」
店内に響き渡る大声に、何事かと白い目で注目されてしまう。ペコリと一例すると、ぱすんっと放心気味で着席した。
「……行儀悪いのはお前だろ? 騙してたな!」
「騙してるつもりはない。それに昨日の時点でバレてると思ってた。一緒に居た彼は気付いていたっぽいけど……。待ち合わせしたとき、まだ女だと思ってるっておかしくて。可愛いからしばらく黙っていたんだ」
「……由良りん気付いていたなら、教えてくれてもいいのに~! てか女装して登校する奴なんて見たことねぇし! みんなだって普通に女の子たと思ってるだろ?」
「だって、女の子のほうが都合がいいんだもん♪ 瀬菜いじめるのも楽しかったし♪」
やっぱりいじめていたのか……。
「都合って……騙してまでするかよ」
「俺にしたら女装は重要なんだ」
「重要って……。あと、俺に突っかかってくる理由はなんなんだ」
「あぁ……瀬菜に嫌味言ったこと? 知りたい?」
ニーっと悪い顔で頬杖をつきながら俺を窺ってくる。こうしてマジマジ見ると、整った顔なのは違いない。男と言われても、可愛く幼い顔つきは男でもドキッとしてしまう。
「……ひと言で言えば、嫉妬かなぁ~」
「嫉妬って……悠斗のこと、本気で好きなの?」
「うん、悠斗さんは好きだよ。紳士だし優しい。それに頭もいいし顔もいい」
「悠斗は……ほら、外面いいけど頭イかれてるぞ! ああ見えて超変態だからなっ‼︎」
「あはは……瀬菜ってば必死すぎ! ほら、座って座って恥ずいから」
「ううぅぅ……」
ひとりで余裕がなくて馬鹿みたいだ。
「そんに牽制しなくても悠斗さんのことは取らないよ。悠斗さんは人として好き。恋愛対象じゃないから安心して。俺の秘密も守ってくれた……」
「……秘密って?」
「悠斗さんとお見合い……ってのは嘘で、単なる食事会。もちろん男の姿で会ったよ。俺、こんな性格だし同年代の友達居なかったけど、悠斗さんは話しやすくて俺の悩みも真面目に聞いてくれた。転校して再会したときも、あんな格好で驚いていたみたいだけど、俺が男だってこと黙ってくれていた。瀬菜にも話さなかっただろ?」
「そのせいで喧嘩したけどな」
「はは……恋人と他人のこと話すって普通のことだけど、秘密まで話されるのは好きじゃない。第三者に話した時点で内緒話じゃなくなるじゃん? 悠斗さんは区分けちゃんとしてるよね? だから好きだし、信用できる。瀬菜にしたら色々と説明不足で混乱したと思うけど」
恋人だからすべてを共有するのは当たり前……なんてことは確かにない。
俺も悠斗に内緒にしていることぐらい在るのだ。
「まぁ、あいつは言わな過ぎるところが、悪い癖だけど。特に自分のことは中々言わない」
「あー確かに、そんな感じだよな。瀬菜のこともいっぱい聞いた。それに……」
シュワシュワと炭酸が湧き出るコーラを口に含むと、俺の真横に座り直し内緒話でもするように、斎賀さんは小さな声で呟き始めた。
0
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが
なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です
酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります
攻
井之上 勇気
まだまだ若手のサラリーマン
元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい
でも翌朝には完全に記憶がない
受
牧野・ハロルド・エリス
天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司
金髪ロング、勇気より背が高い
勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん
ユウキにオヨメサンにしてもらいたい
同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる