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第13幕 ひとりぼっち
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確かに父親の会社のことを細かく話す必要はない。
「僕の父親……悠斗君のお父さんの兄さんね。今はリッカの社長なんだ。爺様は会長でね。それで色々あって……歩……佐伯と一緒になることを伝えたんだ。爺様は大激怒で……それで……」
「リッカは歴史も長い。同族経営は今も続いている。子供ができないなら次期社長は継がせないとね。会長の目が悠斗君に移ってしまったんだ」
「悠斗君は賢いし、今から叩き込むのも遅くない。若いならなおさら好都合。半分は本気、半分は僕への当て付けなんだ。本当に……ごめんなさい……」
祐一さんはポロポロと泣き出してしまう。悠斗の様子が最近おかしかったのは、間違いなくこの案件のせいだ。
話を聞くと、それは俺達が修学旅行に行く前頃、問題になったようだ。それが大問題に発展したのが、数日前に行われた古希のお祝いだったらしい。
俺は……こんな大きな問題になにができる?
だから悠斗はひとりで悩んでたんだ……。
祐一さん達の幸せも壊したくない。
どうしたら……。
ふと悠斗と『別れる』という言葉が脳裏にチラつく。それで事は収まるのではないか。もしかしたら悠斗もそれを受け入れて……。サーっと体温が下がっていくのを感じ取ると、祐一さんが大きな声で佐伯さんに抗議し、ビクッとして現実に引き戻された。
「だから別れようって……何度も言ったじゃないか!」
「おいっ、今はやめろ……」
「だって、それじゃ瀬菜君達が! 僕は大切な子達の幸せを奪ってまで幸せになんてなれない!」
「──ッ……だからどうすればいいか考えるんだろ!」
言い争いをする二人の姿が、今後の自分達の姿に見える。
「えっと……俺、悠斗みたいに機転も効かないけど、祐一さんが俺達のこと思ってくれるように、俺も祐一さんと佐伯さんが大切です。だから……別れるなんて言わないでください。俺も悠斗も二人に別れられたら幸せになれないよ」
そう、自分達だけ幸せならいいなんて駄目に決まっている。
「──ッふぇっ……せな、くん」
「すまない……取り乱してしまって……」
「へへっ……普段見れない二人を見れて嬉しいです」
祐一さんは気丈に振る舞っていても、たまに目元に涙を溜めてこっそりと泣いていた。きっと俺が知らないところで、辛いことがいっぱいあったのだろう。
帰りも佐伯さんが車を出してくれた。しばらくは無言だったが、佐伯さんは申し訳無さそうに言った。
「悪いね……瀬菜君。食事に誘っておきながら辛い思いさせてしまって」
「いえ……俺も知りたかったことなので。祐一さんはずっとあんな感じだったんですか?」
「ああ、しばらくは別れるの一点張りでね。普段ヘラヘラしてるけど、頑固で困ったものだよ。俺が受け入れればきっとこんな大ごとには……。でも、俺には祐一を手放すのは無理だった。子供みたいな独占欲だ。大人になれないんだよ」
「佐伯さん。大人だって独占欲ぐらい持ちますよ?」
佐伯さんはスッと肩の力を抜く。
「ふふ……瀬菜君には敵わないね」
「俺も役に立っています? そうだ! 俺、佐伯さんにお願いがあるんですけど……」
「僕の父親……悠斗君のお父さんの兄さんね。今はリッカの社長なんだ。爺様は会長でね。それで色々あって……歩……佐伯と一緒になることを伝えたんだ。爺様は大激怒で……それで……」
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「悠斗君は賢いし、今から叩き込むのも遅くない。若いならなおさら好都合。半分は本気、半分は僕への当て付けなんだ。本当に……ごめんなさい……」
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そう、自分達だけ幸せならいいなんて駄目に決まっている。
「──ッふぇっ……せな、くん」
「すまない……取り乱してしまって……」
「へへっ……普段見れない二人を見れて嬉しいです」
祐一さんは気丈に振る舞っていても、たまに目元に涙を溜めてこっそりと泣いていた。きっと俺が知らないところで、辛いことがいっぱいあったのだろう。
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「悪いね……瀬菜君。食事に誘っておきながら辛い思いさせてしまって」
「いえ……俺も知りたかったことなので。祐一さんはずっとあんな感じだったんですか?」
「ああ、しばらくは別れるの一点張りでね。普段ヘラヘラしてるけど、頑固で困ったものだよ。俺が受け入れればきっとこんな大ごとには……。でも、俺には祐一を手放すのは無理だった。子供みたいな独占欲だ。大人になれないんだよ」
「佐伯さん。大人だって独占欲ぐらい持ちますよ?」
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「俺も役に立っています? そうだ! 俺、佐伯さんにお願いがあるんですけど……」
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