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第12幕 修学旅行はお遊びではありません
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明日は金曜で平日だが修学旅行明けで俺達二年生は特別お休みだ。予定のある悠斗には申し訳ないが、久々に寝溜めしようと今決定した。
日頃お世話になっている祐一さんと会うなら、折角なので渡してもらおうと、お土産選びを再開させた。お菓子もいいがなにか残るものを使って欲しかったので、広島の工芸品を選んだ。
紅葉の絵柄が入った箸置きは、厳島神社の砂を入れ焼いた砂焼きという工芸品らしい。佐伯さんと二人で使って欲しかったので、色違いで二客購入しプレゼント用にラッピングしてもらった。
「いいのあった?」
「うん! 本当はお酒が良かったけど、買えないから。これ二人で使ってくださいって渡して?」
「うん、一生懸命だったことも伝えるね?」
「一生懸命はいいよ……いつも助けてもらってるし。でもさ、親戚中で集まるなんて盛大だな?」
「父方のお爺様が、古希のお祝いなんだ」
「へー……って、古希?」
「七十歳の長寿祝いだよ。まだまだ元気だし、見た目は七十歳には見えない人だけどね。それに尊敬できる凄い人なんだ」
そう言うと、悠斗は嬉しそうに頬を綻ばせた。
「そっか。それじゃ行かない訳にはいかないな!」
「久しぶりだしちょっと楽しみ。買い忘れはない? そろそろ時間だし、みんなと合流しよ」
沢山のお土産を抱えながら三人と合流し、新幹線のホームへと向かった。早めにホームに来たがチラホラとクラスのメンバーが到着しており、どこへ行ったかや面白事件がなかったかなど、旅の思い出を聞き合っていた。
話をしているうちに、気付けば帰る新幹線の時間が迫っていた。あっという間に終わってしまった修学旅行に、もっと滞在したかったと行けなかった場所や、また行きたい場所を思い浮かべた。
慣れない旅に新幹線に乗り込めば、みな静かに爆睡状態だ。目を覚ますと横浜辺りを通過しており、身体がエコノミー症候群のように強張ってバキバキだ。
「瀬菜……おはよ。クスッ……涎垂れてる」
「……うぉっ! ごめん! 悠斗のシャツ……びちょびちょ……」
「いいよ。瀬菜のだし」
「……そんなに嬉しそうに言われても……涎だぞ……」
俺の涎にすら喜びを訴える悠斗は、やはり頭がおかしい。取り敢えずハンカチで拭き取ると、間もなく東京と車内にアナウンスが流れる。
あちこちで疲れたと声が上がり、本当に修学旅行が終わってしまうのだと実感する。同時にレポート地獄を考えげんなりするが、書く内容は溢れるほど十分心に残っていた。
東京駅に到着しホームに足を落とせば、高校生活最初で最後の修学旅行は、何事もなくは……なかったが無事終了した。
日頃お世話になっている祐一さんと会うなら、折角なので渡してもらおうと、お土産選びを再開させた。お菓子もいいがなにか残るものを使って欲しかったので、広島の工芸品を選んだ。
紅葉の絵柄が入った箸置きは、厳島神社の砂を入れ焼いた砂焼きという工芸品らしい。佐伯さんと二人で使って欲しかったので、色違いで二客購入しプレゼント用にラッピングしてもらった。
「いいのあった?」
「うん! 本当はお酒が良かったけど、買えないから。これ二人で使ってくださいって渡して?」
「うん、一生懸命だったことも伝えるね?」
「一生懸命はいいよ……いつも助けてもらってるし。でもさ、親戚中で集まるなんて盛大だな?」
「父方のお爺様が、古希のお祝いなんだ」
「へー……って、古希?」
「七十歳の長寿祝いだよ。まだまだ元気だし、見た目は七十歳には見えない人だけどね。それに尊敬できる凄い人なんだ」
そう言うと、悠斗は嬉しそうに頬を綻ばせた。
「そっか。それじゃ行かない訳にはいかないな!」
「久しぶりだしちょっと楽しみ。買い忘れはない? そろそろ時間だし、みんなと合流しよ」
沢山のお土産を抱えながら三人と合流し、新幹線のホームへと向かった。早めにホームに来たがチラホラとクラスのメンバーが到着しており、どこへ行ったかや面白事件がなかったかなど、旅の思い出を聞き合っていた。
話をしているうちに、気付けば帰る新幹線の時間が迫っていた。あっという間に終わってしまった修学旅行に、もっと滞在したかったと行けなかった場所や、また行きたい場所を思い浮かべた。
慣れない旅に新幹線に乗り込めば、みな静かに爆睡状態だ。目を覚ますと横浜辺りを通過しており、身体がエコノミー症候群のように強張ってバキバキだ。
「瀬菜……おはよ。クスッ……涎垂れてる」
「……うぉっ! ごめん! 悠斗のシャツ……びちょびちょ……」
「いいよ。瀬菜のだし」
「……そんなに嬉しそうに言われても……涎だぞ……」
俺の涎にすら喜びを訴える悠斗は、やはり頭がおかしい。取り敢えずハンカチで拭き取ると、間もなく東京と車内にアナウンスが流れる。
あちこちで疲れたと声が上がり、本当に修学旅行が終わってしまうのだと実感する。同時にレポート地獄を考えげんなりするが、書く内容は溢れるほど十分心に残っていた。
東京駅に到着しホームに足を落とせば、高校生活最初で最後の修学旅行は、何事もなくは……なかったが無事終了した。
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