王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第12幕 修学旅行はお遊びではありません

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 展示方法を考え、お客さんを楽しませる工夫がされた館内は、あっという間に時間が過ぎていく。
 気付けばもうすぐお昼になりそうだった。時間がないながらも、お土産売り場でお気に入りのスメナリのポストカードと、悠斗とお揃いでボールペンを購入し、最後に厳島神社と大鳥居をフェリーから眺めながら広島駅へと向かった。


「やっぱ最後はもう一回お好み焼きっしょ!」
「うんうん!」
「間違いないな」

 村上の提案にみな賛同すると、駅の中にあるレストランフロアでお好み焼き屋さんに入る。濃厚なソースの匂いは、初日に食べたといえ唆られる。
 ハフハフと口の中に放り込めばソースと野菜が絡み美味しさで、幸せいっぱいだ。

「美味すぎる~♪ 由良りんのちょっともーらい♪」
「あっ、お前! それちょっとじゃねぇだろ?」
「瀬菜! 俺のあげるから!」
「なら俺は、瀬菜のもらいっと」
「じゃ、俺も~王子のもらい~♪」

 それぞれ頼んだものを味変で奪い合う。

「うう~ネギもいいね。ウマウマ♪」
「何で村上君が僕の取るの⁉」
「えーいいじゃん王子のケチ」
「……カナちゃん、足りなかったら俺の食っていいぞ」

 多澤にだけはみんな手を伸ばさず、寂しかったのか由良りんに勧めていた。

「いや……あとでほかのもん食うわ……」
「おいおい、お前そりゃどういう意味だ」
「多澤は怒りんぼだからだよ」
「ふふっ、雅臣のはあとが怖いって」
「私が食べてあげましょうか?」

 ヘラを両手で持ち、クネクネする村上夏子の登場だ。

「キモいぞ夏子……」
「夏子ーー‼」
「夏子?」
「懐かしいね。文化祭のときに村上君がメイドで女装した人物の名前だよ?」
「覚えて居てくれて嬉しいわ♪」

 由良りんに写真を見せると、案の定、爆笑しだす。笑い過ぎて泣きそうになっている。
 昔話や今回の旅の話を交えて食べるご飯は、楽しくて楽しくて日常生活に戻りたくないなと憂鬱にもなった。


 お土産売り場に行くと、テンションがさらに上がる。俺はなぜだか瀬戸内レモンのお菓子ばっかりチョイスしていた。デブなるぞと多澤に弄られたが、若いから平気だもんと両手いっぱいで幸せだ。

「瀬菜。落ちそうだよ。これに入れたら?」
「へへっ、おやついっぱい。サンキュー悠斗」

 悠斗がカゴを持って広げてくれる。溢れるまでにはなっていないが、こうして見ると結構な量だ。悠斗も珍しくお土産が多い気がした。

「お前も結構買うんだな」
「ああ、うん。明日本家で集まりがあって。修学旅行のことみんな知ってるし、流石に手ぶらもマズイかなって」
「そっか。旅行明けなのに大変だな?」
「うん。お祝い事だからね」
「そっか……親戚が集まるの? なら祐一さんも来る?」
「うん。来るよ」
「なら俺、祐一さんのお土産選んで来る!」
「ふふっ、瀬菜からのお土産ならなんでも喜ぶよ」
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