王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第12幕 修学旅行はお遊びではありません

05

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 遠くに原爆ドームも見えて、ここ一体が焼け野原になったことなど信じられないほど建物が綺麗に並んでいる。お城も復元されたと展示に書かれていた。

「人間って凄いな……。失ったものをこんなに作り上げることができるんだ」
「みんな必死に生きてる。俺達も精一杯生きないとだね」
「うん。俺、修学旅行がここで良かった。これからどうやって生きていこうか悩んじゃうなー。未来の俺はなにしているんだろ」
「一日目から人生考えちゃうね? ねぇ、瀬菜……瀬菜は、俺が……」

 悠斗が問い掛けるように話し始めると、ゴォーーっと強い風が吹き抜けていく。

「──する……?」

 突風は悠斗の言葉を飲み込み、俺の耳を塞いでいった。首を傾げ再度確認すると、悠斗は視線を逸し「ううん、なんでもない。そろそろ降りようか」と、また顔を上げ笑顔を向けてきた。またきっと悠斗の戯れかと、そのときは気にせずにいた。


 場内はただ広くて広くて、一通り回るだけですっかり日も暮れていた。旅館まで帰る時間を計算すると、夕食を食べてギリギリといったところだ。
 夕飯は広島名物お好み焼きと決めていたので、色々なお好み焼き屋さんが一つのビルに入った場所へ向かった。所狭しとお店が入り、早い時間から飲み始めている赤ら顔の年配の人も多く賑わっていた。
 迷いながらも店に入ると、元気のいいお店の人に「修学旅行かい?」と気さくに声を掛けられ、オススメを五人で横並びになりながら、鉄板から直に熱々のお好み焼きを堪能した。
 小さいヘラを使って食べるのは一苦労だった。食べ終わった頃には唇がジンジンして、ちょっぴり痛かった。
 それでも濃厚なソースと、太めの麺、たっぷりなしんなりしたキャベツにお腹は満たされ、旅行っぽいなと幸せいっぱだった。



「五名様……遅刻っと」
「ちょい待ち! ギリセーフだろ⁉」
「先生、道に迷ったんです。今回は大目に見てくださいよ」
「そうだぞ! てかなんで居るんだ⁉」

 門限です。
 道に迷ってちょっとオーバーしました。
 決してアイスを食べたいと駄々を捏ねた訳じゃありません。
 唇火傷したから仕方なかったんです。

「時間厳守って知っているか? 守るために定めてる時間だ。俺だって我慢してこうしてお前らの帰りを待ってるってのに……ったくよ。明日罰として昼飯奢れよ?」

 生徒にたかるのはいかがなものか。きっとペナルティーなどないに違いない。

「佐上先生……さみしんぼ?」
「はぁ? ビッチちゃん今なんつった?」
「マジかよ……先生と観光とかしたくない」
「生徒の自主性を重んじるんじゃなかったんですか?」
「でも、佐上なら居ても居なくても一緒だぜ」
「はは……てか、急患出たら俺らも同行とかはなしっすよ?」

 保険医の佐上先生は、俺達の話も聞かず明日の観光に一緒に行く気満々だ。悠斗だけでも手一杯だというのに。

 ……って、アレ?
 そういえば悠斗……新幹線のあとから全くちょっかい出してこない。

 流石に今日の内容に心を痛めたのだろうか。それとも周囲の目を気にしてくれたのだろうか。
 みんなで部屋に戻りながら悠斗を窺えば、特に変わったことはなさそうだ。

 ……考え過ぎか……。

 ほかのお客さんに迷惑が掛からないように、大浴場は時間制だった。時間になるまで旅館内は好きに見学しても良かったので、お土産売り場など探索した。
 温泉ではなかったが、大きなお風呂は解放的で気持ちいい。由良りんは真っ赤になりながら俺と目を合わせてくれず挙動不審で、悠斗も構ってくれないので村上と終始はしゃいでいた。
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