王子×悪戯戯曲

そら汰★

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幕間 夢の中だけでも《瀬菜side》

02

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 俺は驚愕のあまり動けなくなった。

「俺達でいっぱい愛してあげる……」

 四方八方から声が投げかけられる。驚きに目を丸める俺を囲んで、複数の悠斗がそこには存在していた。

 なんの幻覚だ……悠斗が七人も居るぞ⁉

「母さんがポンポン産んでくれて良かったよね?」
「ねぇ、ひとり何回?」
「あんまり無理させると瀬菜が可愛そうだよ?」
「なら、最初はひとり一回だね?」
「二人で二輪挿ししたら、カウントは一回だよ?」
「そっか、それなら負担掛からないね?」
「お口と両手を使えばひとり一回以上できるんじゃない?」

 いや、ちょっと……俺、無理……。
 絶倫悠斗、七人も相手できないから‼

「さぁ、瀬菜、絆を深めようね」

 俺はあっという間に悠斗ズに取り押さえられ、服を破かれていった。手のひらが身体中を這ってくる。

「いや~~! 重い‼ 俺死んじゃうから~~ッ‼」



◇◇◇


 ──ハッと目を覚ます。
 嫌な汗よりも、セックスをしたあとの汗ばみ方。潤ませた視線を彷徨わせると、悠斗が俺に抱きつき片足を俺に掛けていた……。

 重いのは、このせいか……。
 夢の中だけでもとは確かに思ったけれど、なんて酷い夢だ。
 俺が悠斗を欲しているから?
 それとも欲求不満なの?

 やけにリアルだと思った途端に、悠斗が七人……目の前の悠斗にぶるっと震えると、ギュッと抱きしめ直され、ぬくもりに包まれた。恐怖で目覚めたものの、温かい布団の中は眠りを誘う。

 次はもう少し良い夢を……どうか……。

 まだ明けない夜の中で再び眠りに就いた……。



「柳君、昨日うなされていた?」
「ははは……ちょっと夢見悪くて……」
「うん。心配になって抱きしめちゃった。起こすのは良くないって言うし。どんな夢?」
「あーだから……ははは……簡単に説明すると、仔犬がいっぱい産まれて、毛色の違う一匹の仔犬を七匹が襲うみたいな感じ……」

 流石にエロい夢を見ていたとは言えず、オブラートに隠す。

「凄い夢だね……弱肉強食?」
「そんな感じかな……はは……」
「きっとその毛色の違う仔犬は、凄く美味しそうだったんだろうね?」
「たぶん大好物に見えたんじゃないかな……ははは……」
「クスッ……なんだか柳君みたいだね?」
「えっ……俺は美味しくないと思うけど?」

 悠斗は俺の夢まで覗いているのだろうか。
 ずいぶん理解が早い。

「ふふっ……その夢の続き、どうなったか気になる」
「いや……怖いから俺見たくない……。そういえばさ、立花君は二輪挿しってなにか知っている?」

 夢の中で悠斗がそう言っていた。俺には分からない単語で気になったのだ。悠斗は顔を真っ赤にさせ硬直している。

「柳君……そういうの……好きなの? イヤ……な、なんでもない! てか俺も知らないから聞かないで‼」

 口元を手で覆い慌てている悠斗。そのあとの悠斗は、どこか落ち着きがなく、帰るまでずっと俺の顔を見る度に真っ赤になっていた。


 ああ、神様……いい夢を……。
 この現実に潰されないように……どうか……夢だけでも……。
 幸せをください──。

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