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第10幕 新学年と不良くん 〜高校二年生編〜
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由良君の話はおしまいと、悠斗の指先が頰を撫で、傷を癒やすように唇に触れる。そのままそっと啄むキスを落とされ、まつ毛が揺れる。
「あ、あの……足……」
「うん。分かってる」
そういう空気なのは理解しているが、羞恥心に目を泳がせる俺に、悠斗はピタリと動きを止める。そっと見上げると、無表情に冷気を漂わせて目を細めてジッと見つめていた。
「瀬菜、俺の性格知っているでしょ? 拒否されると、求めたくなる。逃げられると、追いかけたくなる」
うしろに仰け反る俺を、悠斗はジリジリと追い詰め距離を詰めてくる。背中にベッドが当たると、悠斗が覆い被さってくる。
悠斗のシャツの袖をギュッと握り締め、瞳を閉じると、耳元にクスクスと笑う声が聞こえてきた。
「うっ……な、なんだよ! からかったな‼」
「ふふっ、だって必死な瀬菜が可愛いから」
「……意地悪だ……」
「なにもしないよ」
額にそっとキスを落とされる。
「……いいの?」
「いいもなにも、無理させてどうするの。今は安静に。もちろん、元気になったら手加減はしないけど」
「えー、悠斗は我慢すると反動が大きいから、その……口でする?」
ボソリと呟くと、悠斗は目を丸め驚き、苦笑いで首を横に振り「遠慮しておく」と、言っていた。
球技大会で怪我をしなければ、我慢していた分、思いっきりイチャイチャできた。自分の鈍くささにげんなりするが、それでも球技大会はいい結果を残すことができた。クラスの団結も深められ、由良君とも親密になれた。
スリスリと悠斗に甘え密着しながら、早く怪我を治して、思い切り悠斗に襲ってもらうのだと、荒ぶる身体を落ち着かせた。
***
足を捻挫してから五日目。だいぶ腫れも引いてきた。
曲げるのにはまだ違和感があるが、球技大会のときほどではなく、ひとりでも歩けるようになっていた。
三日間は家に帰ってから、悠斗がしっかりとアイシングをしてくれたおかげでもある。
「瀬菜、今日こそ保健室行ったほうがいいと思うよ?」
「えーーだって、保健医の佐上先生苦手なんだもん。……悠斗が見てくれてるし大丈夫じゃね?」
「ダメだよ? 捻挫は癖になったりするから、ちゃんと診てもらわないと」
「むぅーー。分かったよ……でも、ひとりで行きたくない」
悠斗は放課後、橋口副会長に呼ばれているらしく、付き合ってもらえないようだ。
こんなことなら、昨日行けば良かった。週明けではダメかと逃げ道を探していると、由良君から声が掛かる。
「なら俺が付き添う」
「本当に! いいの⁉ 用事とかない?」
「ねぇよ。帰りに肉まんでも奢ってくれれば構わねぇ」
「肉まん? 安いもんだしそれで手を打つ!」
「ちょ、ちょっと! 瀬菜!」
ムッとした顔で悠斗が話を中断させた。
「なんだよ……お前先輩に呼ばれてるだろ? 時間掛かるかもしれないし、先生帰っちゃうかもだし、由良君と行ってくる」
「なら、村上君か雅臣も一緒に!」
「俺らもダメだぞ。生徒会行きだから」
「王子、保健室行くだけじゃん。なにか問題あるの?」
多澤と村上は訝しげに悠斗に言うと、悠斗はボソリと悪態をつく。
「使えないな……」
「余裕のない男は嫌われるぜ? 立花は気にしないで仕事に励めよ」
「じゃ、決まり♪ はぁ~良かった~。あの先生セクハラなんだもん。由良君なら安心♪」
悠斗は納得いかない様子だったが、俺は佐上先生に今日はなにを言われるのだろうかと気が気ではなかった。
「あ、あの……足……」
「うん。分かってる」
そういう空気なのは理解しているが、羞恥心に目を泳がせる俺に、悠斗はピタリと動きを止める。そっと見上げると、無表情に冷気を漂わせて目を細めてジッと見つめていた。
「瀬菜、俺の性格知っているでしょ? 拒否されると、求めたくなる。逃げられると、追いかけたくなる」
うしろに仰け反る俺を、悠斗はジリジリと追い詰め距離を詰めてくる。背中にベッドが当たると、悠斗が覆い被さってくる。
悠斗のシャツの袖をギュッと握り締め、瞳を閉じると、耳元にクスクスと笑う声が聞こえてきた。
「うっ……な、なんだよ! からかったな‼」
「ふふっ、だって必死な瀬菜が可愛いから」
「……意地悪だ……」
「なにもしないよ」
額にそっとキスを落とされる。
「……いいの?」
「いいもなにも、無理させてどうするの。今は安静に。もちろん、元気になったら手加減はしないけど」
「えー、悠斗は我慢すると反動が大きいから、その……口でする?」
ボソリと呟くと、悠斗は目を丸め驚き、苦笑いで首を横に振り「遠慮しておく」と、言っていた。
球技大会で怪我をしなければ、我慢していた分、思いっきりイチャイチャできた。自分の鈍くささにげんなりするが、それでも球技大会はいい結果を残すことができた。クラスの団結も深められ、由良君とも親密になれた。
スリスリと悠斗に甘え密着しながら、早く怪我を治して、思い切り悠斗に襲ってもらうのだと、荒ぶる身体を落ち着かせた。
***
足を捻挫してから五日目。だいぶ腫れも引いてきた。
曲げるのにはまだ違和感があるが、球技大会のときほどではなく、ひとりでも歩けるようになっていた。
三日間は家に帰ってから、悠斗がしっかりとアイシングをしてくれたおかげでもある。
「瀬菜、今日こそ保健室行ったほうがいいと思うよ?」
「えーーだって、保健医の佐上先生苦手なんだもん。……悠斗が見てくれてるし大丈夫じゃね?」
「ダメだよ? 捻挫は癖になったりするから、ちゃんと診てもらわないと」
「むぅーー。分かったよ……でも、ひとりで行きたくない」
悠斗は放課後、橋口副会長に呼ばれているらしく、付き合ってもらえないようだ。
こんなことなら、昨日行けば良かった。週明けではダメかと逃げ道を探していると、由良君から声が掛かる。
「なら俺が付き添う」
「本当に! いいの⁉ 用事とかない?」
「ねぇよ。帰りに肉まんでも奢ってくれれば構わねぇ」
「肉まん? 安いもんだしそれで手を打つ!」
「ちょ、ちょっと! 瀬菜!」
ムッとした顔で悠斗が話を中断させた。
「なんだよ……お前先輩に呼ばれてるだろ? 時間掛かるかもしれないし、先生帰っちゃうかもだし、由良君と行ってくる」
「なら、村上君か雅臣も一緒に!」
「俺らもダメだぞ。生徒会行きだから」
「王子、保健室行くだけじゃん。なにか問題あるの?」
多澤と村上は訝しげに悠斗に言うと、悠斗はボソリと悪態をつく。
「使えないな……」
「余裕のない男は嫌われるぜ? 立花は気にしないで仕事に励めよ」
「じゃ、決まり♪ はぁ~良かった~。あの先生セクハラなんだもん。由良君なら安心♪」
悠斗は納得いかない様子だったが、俺は佐上先生に今日はなにを言われるのだろうかと気が気ではなかった。
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