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第10幕 新学年と不良くん 〜高校二年生編〜
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「なら、俺が頼れる友達第一号に立候補する!」
「……やっぱお前面白いな。こんなチビで細かったら、頼れそうにはないけどな」
「酷い! 精神面が大事なんだ。意外と俺、役に立つよ?」
「そこまで自信たっぷりで言われると、頼りたくなるかもな」
ニカッと笑顔を見せる由良君に、笑ってくれたと喜んでいると、合流した悠斗が手を伸ばし、頰に付着いていたらしい石灰を拭ってくれる。
「ふふっ、真っ白だよ? お疲れさま。練習どうだった?」
「おう! お疲れ! もうさ、由良君が攻撃してくれないから、逃げ回るだけでヘトヘト」
「やっぱ瀬菜は逃げるのだけな。由良って俺と同じで、面倒くさいことしなそうだしな」
多澤の言葉に同意する由良君は、苦笑いを見せると自然と輪に入るように答えた。
「無駄に体力消耗したくねぇ。そっちは?」
「こっちは王子と多澤がマジで凄くて、練習相手の俺のチームはメタメタ。もう、身体ボロボロ……」
村上はぎこちない動きで、身体が痛いと訴えていた。
「二人とも上手いもんな! てかお前、くっつくなよ! 俺、汗いっぱいかいたし、砂埃塗れだから汚れるぞ!」
「別に汚れても構わない。あっ、ここ痣ができてる。痛くないの?」
「ん……そういえば痛い……かも」
「腕だけ? ほかは? 確認しておかないと……」
「ったく……家でやれよ……」
悠斗は襟元を引っ張って覗こうとしてくる。それを多澤が呆れた様子で止めてくれた。
「二人とも妙に距離近くね?」
「だよね。まぁ、そのうち慣れるから、気にしないほうがいいかもね~」
多澤や村上の前では触られることに慣れて? いるが、流石に由良君の前だと挙動不審になってしまう。俺と悠斗のことを知ったらどう思うか、気持ち悪いと言われたら結構ショックな訳で……。
折角仲良くなったのに、同性同士が気持ち悪いと友達解消されたら悲しい。きっと友達ってそういうことも気にしないでいてくれるものだとは思う。受け入れてくれとまでは言わないが、軽蔑されたくはない。
どんな風に思うかは人それぞれだけど。
由良君にもいつか話せるときがくるかな。
練習を終えるとみんなで途中まで一緒に、たわいもない会話をしながら帰宅した。
「瀬菜、寄って行ってもいい?」
「うん、ご飯一緒に食べよ」
「今日は瀬菜のチャーハンが食べたい」
「チャーハンでいいのか? じゃ俺、卵とトマトの中華スープ希望! できれば酸っぱいの!」
「ふふっ、なら一緒に作ろう」
「へへっ、やった! あー、でもその前に風呂だな……」
頭の中まで砂埃で気持ち悪い。
「そうだね……俺もベトベト……」
「一緒に入るの? 入るだけ?」
「なにその目……一緒に入るだけだよ?」
ニコッとする悠斗に怪訝な視線を送り、なにもするなよと訴える。ただいまと扉を開けて家に入ると、脱衣所へ直行した。
「ねぇ、泡黒くない?」
「クスッ、少し黒いかも。いっぱい走り回ったの?」
「うん。もうさ、身体中痛いんだけど……」
「若いね? もう筋肉痛?」
「若いって……お前だって若いだろ? 日頃動いていない証拠。悠斗はキャーキャー声援凄かった?」
「うーん。まぁ……瀬菜に見て欲しいけどね。きっと惚れ直す」
「ぷはっ! 自分で言う?」
「最近の瀬菜は……由良君に興味津々で、ちょっと妬ける」
不貞腐れたように悠斗は声のトーンを落とした。
「そんなことないだろ? 俺は由良君の心の内に秘めている信頼を呼び起こしているんだ」
「ふーん。違うものが呼び起こされなきゃいいんだけど……」
「違うものって? それなに?」
「なんだろうね? はい、流すから目瞑って?」
ぬる目のシャワーを上から掛けられサッパリする。悠斗に頭を洗ってもらうのは気持ちがいい。交代して悠斗の頭をワシャワシャする。悠斗の髪は良く泡立ち、絹のように柔らかく指先に絡んでくる。
お互いに背中を流し合って、早々に浴室を出る。裸の付き合いをしているときに、悠斗が手を出して来ないのも珍しい。
別に期待してる訳じゃないけど……。
お風呂に入るだけだと言っておきながら、そんなことを考えてしまう俺も相当だ。
「……やっぱお前面白いな。こんなチビで細かったら、頼れそうにはないけどな」
「酷い! 精神面が大事なんだ。意外と俺、役に立つよ?」
「そこまで自信たっぷりで言われると、頼りたくなるかもな」
ニカッと笑顔を見せる由良君に、笑ってくれたと喜んでいると、合流した悠斗が手を伸ばし、頰に付着いていたらしい石灰を拭ってくれる。
「ふふっ、真っ白だよ? お疲れさま。練習どうだった?」
「おう! お疲れ! もうさ、由良君が攻撃してくれないから、逃げ回るだけでヘトヘト」
「やっぱ瀬菜は逃げるのだけな。由良って俺と同じで、面倒くさいことしなそうだしな」
多澤の言葉に同意する由良君は、苦笑いを見せると自然と輪に入るように答えた。
「無駄に体力消耗したくねぇ。そっちは?」
「こっちは王子と多澤がマジで凄くて、練習相手の俺のチームはメタメタ。もう、身体ボロボロ……」
村上はぎこちない動きで、身体が痛いと訴えていた。
「二人とも上手いもんな! てかお前、くっつくなよ! 俺、汗いっぱいかいたし、砂埃塗れだから汚れるぞ!」
「別に汚れても構わない。あっ、ここ痣ができてる。痛くないの?」
「ん……そういえば痛い……かも」
「腕だけ? ほかは? 確認しておかないと……」
「ったく……家でやれよ……」
悠斗は襟元を引っ張って覗こうとしてくる。それを多澤が呆れた様子で止めてくれた。
「二人とも妙に距離近くね?」
「だよね。まぁ、そのうち慣れるから、気にしないほうがいいかもね~」
多澤や村上の前では触られることに慣れて? いるが、流石に由良君の前だと挙動不審になってしまう。俺と悠斗のことを知ったらどう思うか、気持ち悪いと言われたら結構ショックな訳で……。
折角仲良くなったのに、同性同士が気持ち悪いと友達解消されたら悲しい。きっと友達ってそういうことも気にしないでいてくれるものだとは思う。受け入れてくれとまでは言わないが、軽蔑されたくはない。
どんな風に思うかは人それぞれだけど。
由良君にもいつか話せるときがくるかな。
練習を終えるとみんなで途中まで一緒に、たわいもない会話をしながら帰宅した。
「瀬菜、寄って行ってもいい?」
「うん、ご飯一緒に食べよ」
「今日は瀬菜のチャーハンが食べたい」
「チャーハンでいいのか? じゃ俺、卵とトマトの中華スープ希望! できれば酸っぱいの!」
「ふふっ、なら一緒に作ろう」
「へへっ、やった! あー、でもその前に風呂だな……」
頭の中まで砂埃で気持ち悪い。
「そうだね……俺もベトベト……」
「一緒に入るの? 入るだけ?」
「なにその目……一緒に入るだけだよ?」
ニコッとする悠斗に怪訝な視線を送り、なにもするなよと訴える。ただいまと扉を開けて家に入ると、脱衣所へ直行した。
「ねぇ、泡黒くない?」
「クスッ、少し黒いかも。いっぱい走り回ったの?」
「うん。もうさ、身体中痛いんだけど……」
「若いね? もう筋肉痛?」
「若いって……お前だって若いだろ? 日頃動いていない証拠。悠斗はキャーキャー声援凄かった?」
「うーん。まぁ……瀬菜に見て欲しいけどね。きっと惚れ直す」
「ぷはっ! 自分で言う?」
「最近の瀬菜は……由良君に興味津々で、ちょっと妬ける」
不貞腐れたように悠斗は声のトーンを落とした。
「そんなことないだろ? 俺は由良君の心の内に秘めている信頼を呼び起こしているんだ」
「ふーん。違うものが呼び起こされなきゃいいんだけど……」
「違うものって? それなに?」
「なんだろうね? はい、流すから目瞑って?」
ぬる目のシャワーを上から掛けられサッパリする。悠斗に頭を洗ってもらうのは気持ちがいい。交代して悠斗の頭をワシャワシャする。悠斗の髪は良く泡立ち、絹のように柔らかく指先に絡んでくる。
お互いに背中を流し合って、早々に浴室を出る。裸の付き合いをしているときに、悠斗が手を出して来ないのも珍しい。
別に期待してる訳じゃないけど……。
お風呂に入るだけだと言っておきながら、そんなことを考えてしまう俺も相当だ。
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