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幕間 Piece《悠斗side》
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朝はたまに一緒に登校するものの、柳君とそれ以外で会うことはなかった。
テスト勉強……大丈夫かな?
解らないところがあったら相談すると言っていたが、柳君から連絡が来ることはなかった。やはり俺では頼りないのだと、帰って来ればテスト勉強で気分を紛らわせた。
最近必要以上に記憶を追いかけるのもやめていた。不安が増幅し、余計にブレーキが掛かってしまう気もしたのと、病院で無理に引き出そうとすれば、精神的に負担がかかると注意を受けたのだ。確かに無理に思い出そうとすると、頭痛に襲われ現実とイメージが混同し、なにが真実なのかあやふやになっていた。
だからって思い出したくない訳じゃないけど……。
あーあ……柳君に会いたいな……。
この間抱きしめたとき、いい匂いがした。
白い肌を舐めたとき、エロい声だったっけ……。
あっ……うそ……やば……。
柳君のことを少し思い出しただけで、自分の息子が元気になっていることに呆れる。
そっと取り出し、数度擦ればすぐに射精感が込み上げてくる。
「……んっ……ッ!」
ビクっと身体を震わせ、急いでティッシュをあてがうと、ビュッ、ビュッ……と濃い精液が溢れ出す。あまりにも早い射精に、最近全くしていなかったなと苦笑い。
しかも自分は今、柳君で自慰をしていた。罪悪感を覚えながらも、可愛いく頰を染める柳君の顔を浮かべただけで、まだ萎えないペニスに指を絡めてしまう。
柳君は自分でしたりするかな?
どんな風にするかな……。
「ハッ、んっ……」
きっと……涙目で……こうやって……。
あの小さな手で……。
シコシコと竿を擦り、亀頭とカリを抉りながら柳君の涙に濡れた顔を思い浮かべる。
『あっ……立花、くんッ……やぁッ! だ、ダメッ……あぅ』
可愛い……なんであんな可愛いのかな……。
快感に委ねる柳君は、綺麗なんだろうな……。
どこもかしこも敏感で……。
泣きながら……。
「イク──ッ!」
荒い息を吐きながら、手のひらを拡げる。
二回目だと思えない精液が指先を伝い床に落ちていく。
「……すご……ごめんね……柳君……」
ここには居るはずのない柳君に謝罪する。性欲は衰えることはない。好きな子を思えば思うほど悪化する身体。
自分でも気持ち悪いと思うのだ。柳君がこんなことを知れば、軽蔑されてしまう。素早く白濁を拭うと、スウェットの中にそれを仕舞い込んだ。
ダメだ……今日はもう寝よう……。
その後勉強を続けたものの、柳君を浮かべては頭を振り集中しようとするが、全く集中できず早目にベッドに潜り込み、悶々とする身体を持て余していた。
***
柳君に会えない時間が増えると、補うように柳君で自慰をする。そんな日が何日も続いていた。罪悪感を覚えながらも止まらない。飢えている……そんな言葉がしっくりくる。
それと同時に柳君と一緒に居るときは、真面に顔を見れなくなってしまう。朝メッセージを送り、返事がないときには迎えに行ったが、返事があるときは一緒に登校しないようにしていた。
これは柳君不足だ……。
テスト期間になると、ほとんど一緒に過ごす時間はなく、一生会えない不安に苛まれる。どんよりと重い空気を背中に纏い、淡々とした毎日を過ごしていた。
「なんだよ悠斗。お前、最近うざいんだけど」
「環樹先輩もだけど、みんなため息ブームなの?」
「環樹先輩もって……一緒にされたくないんだけど……」
どうやらあちらこちらでため息が聞こえてくるらしい。
そんなつもりはないが、勝手に口から飛び出すのだ。
「瀬菜ロスだろ……どうせ……」
「どうせって、どうせそうですよ」
「柳ちゃんは、ひとり真面目に勉強頑張っているっていうのに」
「えっ? ひとりで? 俺、最低……」
村上君からの情報で、さらにどんよりとする。
柳君で自慰をしていたことを深く反省したのだ。
「はぁ? お前なんかしたの?」
「王子の輝きが……薄い」
「柳君にはなにもしていないよ! ちゃんと距離だって俺なりに保っている。村上君! なにその表現……」
「王子はいつも自信に溢れてるから、輝きを失っていて新鮮~♪」
「フッ……最近特に酷いよな」
「俺だって色々考えているんだ……」
もし自分が以前柳君にストーカーのように付き纏っていた人間だったら。もし酷いことを言って傷つけていたなら。
柳君があまり自分に懐いてくれない理由を考えていた。実際それを知っているのは柳君で、こんなことを考えても仕方がないとはいえ、依然として埋まらない記憶に焦りを感じていた。
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